Japanese
cadode
Skream! マガジン 2025年06月号掲載
2025.04.20 @東京キネマ倶楽部
Writer : 石角 友香 Photographer:村上純
cadodeが"STRATA=地層"と題した東京、大阪、仙台でのツアーを経て追加公演となるファイナルをキネマ倶楽部にて開催した。ファンには説明不要だろうが、そもそもヴォーカルとミュージック・プロデューサー、ゼネラル・マネージャーの3人で構成されている特異な形態も、"廃墟系ポップ・ユニット"という形容も、よく考えると音楽ユニットとしてはイレギュラーなもの。が、このユニットで初めて本格的に歌ったヴォーカルのkoshi、アニソンやポップスの世界でクリエーターとして活躍するeba、さらに通常メンバーにならないであろうゼネラル・マネージャーの谷原 亮を、チームのみならず演者としてインクルード。一見イレギュラーだが、テンプレートにはないクリエイティヴを生むうまくできた組成だったりするのだ。ちなみに"廃墟系"の由来はkoshiとebaの共通の趣味として、廃墟めぐりで親交を深めた経緯がある。人間が作り上げた建造物を植物が侵食してできる異空間に惹かれた2人の資質は、cadodeの音楽にもちろん関係があるだろう。
この日は生ドラムを加えた貴重なバンド形態。深いブルーのライティングとスモークが立ち込める演出の中、序盤は「Unique」、「TOKYO2070」とスケール感のある楽曲が続く。リズム隊が生であることでバンドのロー成分が際立ち、ライヴならではの臨場感を増していく。異国の祭りを思わせるSEの間を突いてkoshiのヴォーカルがよく通り、サビでクラップが起きた「IEDE」が実はカントリー調のリズムであることに驚く。というのも初めは四つ打ちのエレクトロ調だった音像が後半に至る程、オーセンティックなニュアンスを増していったからだ。cadodeの楽曲は1曲を通して印象が変化するものが実に多い。続く「ライムライト」はもう少しポピュラーな意味でカントリー調で、一気にフロアが賑わう。ここまでは『TUTORIAL RED』収録曲で、このライヴそのものがヒストリカルなセットリストを意識しているのかもしれない。
神父のような衣装を着たkoshiがフロアに"自由に楽しんで"と挨拶を兼ねて発言し、最近の楽曲のセクションに移る。大いなる航海を思わせるコーラスのレイヤーから始まる「縷々」、ダーク・ウェーヴからジプシー音楽まで飲み込んだような「祭りの終わり」へ、シームレスに繋いでいった先に、ライヴ当日に配信リリースされたばかりの新曲「天国行き」が曲紹介もなく披露された。必要最低限のMCのみで、オーディエンスを煽ることもない彼等のライヴのスタイルはどこまでもcadodeの軸が楽曲そのものにあることを意味している。ちなみに「天国行き」の音源にはCory WongやTom Misch等と制作や共演をするサックス・プレイヤー、Alex Boneが参加しており、この日のライヴはもちろん同期ではあったが、AORやポップスで用いられるサックスとはまた違う、空間を作る響きがユニークだった。
新曲のセクションに続いては谷原がマニピュレーターに徹し、予めkoshiが録音した朗読をイントロのように用い、楽曲の説明以上の雄弁さを与えていく。まずは神話的でアブストラクトなSEが印象的な「タイムマシンに乗るから」。ebaのギターはミュートしたオブリガートが緊張感を高める。そしてピアノ伴奏のSEの上でエモーショナルに、存分に美しいメロディを歌う「三行半」で、cadodeの音楽性の幅の広さを再認識。心の疲弊や別れを独特な言語感覚で表現するkoshiのヴォーカリストとしての王道感を味わえる曲でもある。映像や凝った演出がなくとも曲調やアレンジで多彩な世界を見せ得ることは、続くエレクトロニックでトライバルなビートを持つ「ポストスクリプト」でも明らかに。さらにメロウなSEに朗読が流れ、音源よりもグッと生感のあるサウンドにライヴ・アレンジされた「ワンダー」へと続いた。
歌う程に調子を上げていくkoshiを目の当たりにしたのは、「オドラニャ」や「感嘆符」等cadode流のファンクネスを感じるナンバー。「かたばみ」も朗読から本編に入っていくのだが、力強い四つ打ちのキックと歌声を軸に十分牽引していけるからこそ、ebaもイマジネーション豊かな上モノを施せるのだろう。空想的な音像でありつつ、"かたばみ=路傍の花"のようにその場から動けず生きていくという逃れられないリアルを歌う、その不思議なバランスにも大いに惹かれるのだ。そして厚みが加わる「寺にでも行こうぜ」でグッとグルーヴが増し、潔いエンディングから「逆風」に繋ぎ、短いドラム・ソロとギター・ソロを挟んで、koshiのシャウトが会場を震わせた。フロアから思わず"最高!"と声が飛ぶのも納得の熱が生まれていた。
ほとんどノーMCで進んできたライヴの終盤にkoshiが今回のツアー・タイトル"STRATA"に触れる。いわく、地層の複数形であるこの単語は自分たちが作ってきた数々の曲と、オーディエンスと作ってきた時間や空間を総称しているのだとか。"今日で終わりってことじゃなくて、これからもよろしく。みんながいるってことが大事だから"とファイナルに相応しい意思を表明してくれた。アンコールを行わない彼等はここでグッズの紹介等を行い、DIYセンス溢れる活動の片鱗をここでも見せる。
終盤は様々な時期から代表曲と言えそうなナンバーが並ぶ。谷原がベースを弾き、勇壮さもある「暁、星に」、cadodeの音楽を一気に広い層へ届けた人気曲「回夏」へと連なっていく。クラシカルな要素を含む高低差のある歌メロを駆け抜け、さらにオーディエンスの集中力が増していくなか、水のテクスチャーを感じさせるSEから「さかいめだらけ」がスタートし、バンド形態ならではの重厚感のあるアンサンブルが展開した。また、「カオサン通り」ではフロアから裏打ちのクラップも起こり、自然と数多くの手も挙がる。それでも一方向の一体感というより、人それぞれの楽しみ方とリアクションが見受けられるのが居心地がいい。それはcadodeというユニットとの出会い方が多様であることの証左でもある。
ラストは歌舞伎の幕開きの音声を用い、コーラスのSEが視界を広げてくれる「旅に立ってまで」。"旅に立ってまで"という不思議な言い回しは、koshi自身の移動する人生から得た実感なのだろうし、座って哲学する人とは違うタフさを感じたりもする。開かれたポップネスを感じるこの曲が最後にあることで、我々が会場を出てそれぞれの日常に戻る際のよすがをくれるような感じだ。"次のバンド・セット、いつやるか分かかんないけど、みんな生きてろよ! また絶対会おうな"――意外にも熱いkoshiの一言が強く印象に残った。
なお、7月、8月には"SLICE OF SEKAI"と題したライヴも決定している。
[Setlist]
1. Unique
2. TOKYO2070
3. IEDE
4. ライムライト
5. 縷々
6. 祭りの終わり
7. 天国行き
8. タイムマシンに乗るから
9. 三行半
10. ポストスクリプト
11. ワンダー
12. オドラニャ
13. 感嘆符
14. かたばみ
15. 寺にでも行こうぜ
16. 逆風
17. 暁、星に
18. 回夏
19. さかいめだらけ
20. カオサン通り
21. 旅に立ってまで
■音楽配信サイトでセットリスト配信中
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