Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

LIVE REPORT

Japanese

redmarker

Skream! マガジン 2024年08月号掲載

2024.06.26 @Spotify O-Crest

Writer : 吉羽 さおり Photographer:YUYA KOIZUMI

1stフル・アルバム『redmarker (the red album)』のリリースに伴い全国5ヶ所を巡るツアー"redmarker New Album redmarker 【the red album】Release Tour 2024"が、6月26日に東京Spotify O-Crestでファイナルを迎えた。ゲストには親交のある3バンド、nakishirabe、human.、totemぽぉるが駆けつけ、アルバムのリリースを祝し、またそれぞれにアグレッシヴなパフォーマンスで、互いに刺激を与え合っているバンド同士の良き関係性が見えるステージとなった。

まず登場したのは、男女ツインVoによる3ピース・オルタナティヴ・ロック・バンド、nakishirabe。さすうきょう(Vo/Gt)はredmarkerに"めっちゃいいアルバムだった"と熱く語り掛け、また自身も昨年末シングル「DREAMING」を発表し、共に前だけを向いて夢を掴み走り続ける情熱を力強いサウンドに乗せて放った。哀愁を帯びたハーモニーとメロディックなギター、爆裂なドラムのアンサンブルが激情を誘い、ファイナル公演を派手に幕開けてくれた。

続いて、女性ヴォーカル 87no(読み:ハナノ)を中心とした4ピース human.は、前半からじっくりと編み上げるようなアンサンブルで、歌へと昇華した心の機微を詩的に、エモーショナルに表現した。前身のyouth時代の曲「ユメノナカ」などの静かな高揚感から、後半はアッパーで躍動感あるサウンドへとギアチェンジしていく。そのステージは、観客に一対一で語り掛け、「ヒーロー」や「晩冬歌」でいつの間にかフロアをひとつにしていくようなドラマチックなものとなった。

"redmarkerと飲むとろくなことがない"とぼやきつつも、かっこいい先輩としてフルスロットルで盛り上げたのはtotemぽぉるの3人。年間130本を行うというライヴ・バンドの底力で、初見の観客を巻き込んで「プラトニック・ラブ」でコール&レスポンスを巻き起こし、蘇我 涼(Vo/Gt)は早々に被っていたキャップを振り飛ばす勢いでフロアを盛り上げていく。普段下北沢のライヴハウスを拠点とするが、なぜかredmarkerとの思い出は渋谷が多いという蘇我。この日もまたその思い出を増やす熱いステージで、redmarkerへとバトンを渡した。

フロアを埋めた観客の歓声に迎えられて登場したredmarker。"来てくれてありがとう。O-Crest(redmarker)、上げていこうぜ"といういっ太(Gt/Vo)の声でスタートしたのは、アルバム『redmarker (the red album)』の1曲目を飾る「dancing alone」。ぐっと観客の腕が上がって、続く「134boyz」では自然とコーラス・パートのシンガロングが起きる。バンドにとってはこれが初のフル・アルバムとなるが、観客とのいい関係ができているのはキャッチーな曲が真ん中にあるのはもちろん、しっかりとライヴを積み重ねてきたからこそだろう。

いっ太、斗夢(Ba)、サネトモ(Dr)によるアンサンブルはダイナミックさだけでなく、いい塩梅のルーズさもあって、それがカラッとした陽性のサウンドやポップさにも繋がっている感じだ。ドライヴ感のあるグランジ・ロックな「22」から、ノイジーなポップ・パンク「i don't care」と続き、前半のハイライトとなったのはアルバムからのシングルとなった「i'm happy i was born.」。
コード感や乾いたディストーション・ギターやなどサウンドのタッチにもNIRVANAへのオマージュが詰まった曲だが、90年代当時のヒリヒリとした空気感とは違う。令和を生きるredmarkerの3人が人生は最高だと高らかに、ポジティヴに歌い上げる曲だ。観客の盛り上がりや反応も一段と大きく、その勢いのまま「distortion」へとなだれ込んだ。

ツアー・ファイナルでいい光景が生まれているフロアを目にして、いっ太のMCは興奮と楽しさが溢れまとまらない状態ではあったが、"曲で伝わっているといいなと思う"と語る。後半は、みんなで歌ってほしくて作ったという「ame」で始まり、イントロから観客の声が上がる。"聞こえてるよ、めっちゃ嬉しい"といういっ太の声で、演奏のボリュームが上がっていく。
そこに「love」、「heaven」とキャッチーなメロディが冴えるギター・ロックや爽やかなグラスゴーのサウンドをも思わせる曲が並ぶ。"いろんな曲があるから、対バンが難しいと言われたこともあった"といっ太はMCで言う。この日の対バンはジャンルやスタイルにこだわらず自由に感情を爆発させるロックを描くredmarkerの姿勢が見えるものだった。

いっ太いわく"今回は歌を大事にするバンドを集めた"という。バンドの名詞と言えるフル・アルバムを作り上げ、サネトモの地元である沖縄含め全国5ヶ所を回った充実感をラストの「nami」に注入し、パワフルに打ち鳴らし本編を締めくくった。アンコールには新曲「young blood」(アートワークのイメージはNIRVANAやMUDHONEYあたりだろうか)も披露され、アルバム以降も止まることなく走り続ける姿を見せるツアー・ファイナルとなった。

[Setlist]
■nakishirabe
1. DECIDE
2. 生命線を断ち切って
3. 55
4. YOUR SONG
5. DREAMING
6. 夜鷹
7. Life is Amazing

■human.
1. ユメノナカ
2. 東京海溝
3. 9
4. アワーライフ
5. ヒーロー
6. 僕の物語
7. 晩冬歌

■totemぽぉる
1. I don't
2. LOVE
3. プラトニック・ラブ
4. 僕ら星になって
5. とびっきり!!
6. with all my love
7. たそがれの街

■redmarker
1. dancing alone
2. 134boyz
3. 22
4. i don't care
5. i'm happy i was born.
6. distortion
7. ame
8. love
9. heaven
10. nami
En1. young blood
En2. mado

  • 1