
Overseas
THE ROYAL CONCEPT
Skream! マガジン 2014年06月号掲載

2014.05.07 @原宿 ASTRO HALL
Writer 山口 智男
今夜はTHE ROYAL CONCEPTの単独公演!とはりきって出かけたら、隣の駅で事故が起こり、電車が止まってしまったため、自宅の最寄り駅でいきなり足止めを食らってしまった。ちぇっ、ついてないと思っているところに運転再開は18時30分を予定していますと追い討ちをかけるように駅のアナウンス。それを待っていたらライヴが終わっちゃうよ、と思い20分ほど歩いて別の路線を使うことに。遠回りになるけどしかたない。
開演時間を15分ほど回った頃、ようやく会場にたどりつき、慌ててホールの扉を開けると、うわ、中に入れないぐらい混んでいる。なんとか、そこに潜りこむと、ちょうどバンドがデビュー・アルバム『Goldrushed』のオープニングを飾る「World On Fire」を演奏しはじめたところだった。
昨年8月、デビュー・アルバム・リリース前にもかかわらず、SUMMER SONICに出演。ダンサブルかつエレクトロなポップ・ロック・サウンドによって、会場をたちまちダンス・フロアに変えたスウェーデンのイケメン4人組の再来日を心待ちにしていたというファンが多かったことは、この日のライヴがソールド・アウトになったことに加え、4曲目にして早くも熱気がむんむんと渦巻いている会場の盛り上がりからも容易に想像できた。
ふわふわと鳴るシンセやファルセットのコーラスが80年代風のヴァイブを感じさせる「World On Fire」が持っている高揚感がそんな盛り上がりをさらに高めたようだ。バンドが続けて演奏したメランコリーが心地いい「Cabin Down Below」では客席から自然にシンガロングが沸き起こった。
因みに『Goldrushed』の日本盤の発売日は、単独公演が行われたまさにこの日。もちろん、輸入盤を手に入れれば、ライヴの予習はたっぷりできたわけだけれど、それにしても観客の反応から窺える曲の浸透度には終始、感心させられっぱなしだった。いや、曲だけじゃない。ツアー活動から離れたFilip Bekic(Gt)に代わって、新たにバンドに加わったDavid Larson(Vo/Gt/Key)の弟、Johnathan(Key)に飛んだ"ジョナサーン!"という黄色い歓声からは、バンドの存在そのものがしっかりと浸透していることが窺え、彼らはここ日本でももっともっと大きな存在になるに違いないと期待させたのだった。
ダンス・オリエンテッドなポップ・サウンドとはいえ、さすがは元々、ジャズをやっていた連中だけあって、演奏の熱度は満点だ。「Damn」ではMagnus Nilsson(Ba/Gt)がキーボードを奏で、DavidがPovel Olsson(Dr)と一緒にドラムを叩いた。また、キーボード担当のJohnathanもたびたびドラム・パッドを打ち鳴らし、演奏を盛り上げた。メンバーたちがインタビューで言っていたようにインプロヴィゼーションがもっと増えれば、ライヴにまた違った面白さが加わると思うが、それはまた別の話。この日、畳みかけるように曲を繰り出す、エネルギッシュな演奏にファンは大満足。終始、体を揺らしつづけた。その顔に浮かんでいた満面の笑みがとても印象に残っている。
たぶん、今、多くのバンドがこんな曲、欲しい!と思っているに違いないアンセミックな「On Our Way」で本編を終えたバンドはアンコールに応え、DAFT PUNKの「Digital Love」のカヴァーと「Girls Girls Girls」を演奏。"人生で最も大事なことを歌っている。日本の女の子の歌"と紹介した「Girls Girls Girls」ではギターをかき鳴らしながらDavidがジャンプをキメた。
アンコールを含め1時間強。誰もが抱いたに違いない、もうちょっと観たかったという気持ちはそのまま3度目の来日を待ち焦がれる想いに変わったはずだ。
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