Nabowa

LIVE REPORT

Japanese

Nabowa

Skream! マガジン 2012年08月号掲載

NABOWA

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2012.07.07 ＠青山CAY

Writer 伊藤啓太

七夕にちなんでお願い事（聴きたい曲のリクエスト）をすると、応えてくれるというコンセプトのワンマン・ライヴ “ナボワのライヴ”が7月7日の七夕に行われた。

当日券の販売も無く既にSOLD OUTしている青山CAYの居心地はいかがと気になってはいたが、バンドのはからいなのか、会場の都合なのかはわからないが、超満員という窮屈さは全く無くゆったりと踊るには最適な距離感を保つことができた、まさに彼らの音楽を楽しむにはうってつけの環境と言えるだろう。

この記念すべき日の1曲目に演奏されたのは1stアルバムに収録されている「continental landscape」で、緩やかに幕を開ける。続いて演奏された「凪と宴」の優しいビートとメロウなバイオリンの響きに今日を心待ちに会場に集まったファンは徐々に体を揺らし始め、「キッチンへようこそ」のイントロが流れ始めると会場は早くもピークを迎えるかのような盛り上がりを見せる。アルバム『Nabowa』ではヴォーカルにレーベル・メイトであるACOを迎えての楽曲だったが、今回は彼らのみで演奏され、ヴォーカルのメロディ・ラインは山本啓 (Vio)によって紡がれたのだが、勿論ACOのヴォーカルも素晴らしいが、彼らのみのアレンジも優しいエモーショナルな響きに満ちて素晴らしい。そして景山奏 (Gt)の伸びやかなギターが映える「Ries」Nabowa的なポストロック・アプローチともいえる「sunpeko」で第一幕が幕を閉じる。

暫しの休憩をはさみ『DUO』からは唯一のランクインとなった「つばめ」そして今回の人気投票で1位となった「mego」を演奏。Nabowaは決して音楽を強要せず、そっと空間と人に寄り添う音だが、それをしっかりと支える川上優 (Dr&Per)、堀川達 (Ba)のリズム・セクションの作り出すグルーヴは非常にダビーで黒いスパイスを感じる、そこが彼らの音の振り幅に繋がっているのだろう。硬さと柔軟性をもったリズム隊に、彩りと響きをあたえる、この決して同じ源泉から湧き出たわけではない音と音が絶妙にブレンドされることによりNabowaの音が生み出されるのだろう。

そして本編のラストは「River」、多幸感に満ちたプレイで一旦幕を引き、アンコールでは今回のランキングには入らなかったが、このライヴを締めくくるに相応しいであろうダンス・ナンバー「SUN」で幕を閉じる、このライヴを終え会場を埋めたファンに挨拶をしている彼らの顔を見ればこのライヴが彼らにとってもいかに充実したものになったかはうかがい知れる。

このライヴは本当に今日という日を待ち望んでいた人の願いを叶えただろう、人気曲を惜しげもなく披露した今回のライヴは集大成と言える。ただそれは決算ではなく更なる高みに登っていっている過程の彼らの軌跡だ。あいにく快晴とはいかなかったがこの七夕の夜に最高にロマンチックな空間を演出してくれたNabowa。9月に3rdアルバムをリリースし、彼らがどこまで広がっていくのか、興味は尽きない。