
Overseas
THE MORNING BENDERS|SUMMER SONIC 2011

2011.08.14 @QVCマリンフィールド&幕張メッセ
Writer 山田 美央
THE MORNING BENDERS、なんと愛らしいバンドなのだろう。多種多様でドリーミーなポップ・センスが披露されるSONIC STAGEの中でも、彼らの知的でどこか垢ぬけない無垢さは飛び抜けていた。屋外のMARINE STAGEやBEACH STAGEではおそらく、最高潮に達した日差しが容赦ない熱を降り注いでいたに違いない。しかしSONIC STAGEでは、暖かなカリフォルニアの日差しの下で培養されたレトロ・サウンドが、慌ただしいコンクリート・ジャングルで暮らす我々に緩やかなひと時を与えてくれた。
この日、ベースなしでステージに立った3人は、幾分緊張気味の様子。華奢な細腕でギターを抱えるChris Chu(Vo&Gt)の姿は、日常への思いを切々と歌う少年が、背伸びをしているかのようだ。ブルース色漂う「Promises」で始まると、ギターとドリーミーなヴォーカルが心地よさを誘う。パフォーマンスに目を引くような突飛さや派手さはないが、じわりじわりとまどろんだ空気にフロアを包んでいく。
「踊りたい?」――Chuの問いかけとともに、「Waiting For A War」の美しいメロディが展開。メランコリックでレトロなサウンドや、新曲「Halfway To Heaven」、「Stiches」には、どこか哀愁が滲む。自分の呼吸する世界の匂いをきちんと感じ取り、そこにあるものを見つめているからだろう。そしてキャッチーなナンバー「All Day Day Light」では、なるほどの盛り上がりを見せた。
昨年話題をさらった2ndアルバム『Big Echo』はもちろん、VAMPIRE WEEKENDをもっとソフトに、MGMTをより身近でカジュアルにした楽曲は、聴きこむほどに感情が咳をきって溢れ出てくる。だからこそ実際に音を共有できるライヴで、初見のオーディエンスをどれだけ巻き込めるかを見ておきたかった。今年3月に行われる予定だったが地震の影響で中止になってしまった来日公演の分までもと意気込んだためか、若干の前のめりなステージではあったが、今後の彼らに確かな手ごたえを感じた。
BEACH BOYS的なサウンドの「Excuses」では、「ウタイマショウ!」と懐かしきアイドルのような愛嬌を振りまくChu。しかし無条件に明るいわけではなく、どこか現実に踏み留まったヴォーカルが、気だるさとは一線を画した切なさを感じさせる。幼いころ家で流れていたレコードを彷彿とし、時代は巡りゆくとしみじみ。現実だけれど日常ではない、まどろみを惜しむ気持ちが強まってしまった。
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