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LIVE REPORT

Overseas

SMITH WESTERNS|SUMMER SONIC 2011

2011.08.14 @QVCマリンフィールド&幕張メッセ

Writer 山田 美央

SUMMER SONIC 2011、東京2日目のSONIC STAGE。オープニング・アクトを務めたガールズ・ロック・バンド ねごとが温めたステージに登場したのは、SMITH WESTERNSの面々。アメリカはシカゴからやってきた彼らは、今年1月にリリースした2ndアルバム『Dye It Blonde』で見せたローファイで、ポップで、チープなサウンドを披露した。「Image」「Only You」では、曲に込められた思いを声にするCullen Omori(Vo)のヴォーカルが響く。ガレージ・ロックを引きのばしたような相変わらずのギター・ノイズ。成熟し切っていないサウンドの喚起する心地よさは、ヴォーカルのムラやヘロッとしたパフォーマンスを補ってなお、余りある。

「Still New」、「All Die Yound」など、キャッチーでドリーミーな空気を構築していく。社会の中では溺れてしまうのではないだろうか――無造作に束ねた髪から垣間見えるCullenの眼差しに、そんな不安を抱いてしまう。しかし同時に、大人になることで得るものと失う感情を思い起こされたことも事実だ。夢見がちな彼らの姿こそ、良くも悪くも大人へと成長をしようとする動きの中にある曖昧さなのだと思う。

その後も「Weekend」、「Smile」、「Dye The World」と己のスタンスを崩さずに演奏を続けていく。広がる音楽の中に詰まった、キレイな女の子や、思い悩む自分の姿。理想に燃えたぎるような熱量はないけれど、少年が抱く甘酸っぱい空気がステージに漂う。WAVVESを柔らかくしたようなポップ・センスに、フロアから見守るオーディエンスは、勢いに飲まれて音に乗るよりも、包まれ身を任せるといった感じだった。不甲斐ない日常からの解放が、音楽だったこ頃の自分を思い出すのかもしれない。完成されすぎない力の抜けた雰囲気が心地よく広がり、灼熱に燃える幕張を甘く包み込んだ。

SMITH WESTERNSはまだまだ音作りは荒く、オーディエンスを圧倒して自分たちに引き込むとまではいかないかもしれない。しかし、全9曲という短い時間の中で見せた、ポップでスイートな楽曲たちには、その可能性が秘められている。

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