Japanese
The Birthday
Skream! マガジン 2011年06月号掲載
2011.05.12 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 道明 利友
「Hello,Shibuya! We Are The Birthday! One,Two,Three,Four,Five,Six!」
ライヴの幕開けは、会場からはちきれそうな大歓声を切り裂くように響いたクハラカズユキのシャウト! この時点ですでに、その場の空気が沸点を迎えたような熱気をはらんでいる。バンドのボトムを支えるドラマーのカウントに、ベース、ギター、ヴォーカルが一体となって続いたオープニング・ナンバーは「6つ数えて火をつけろ」。渋谷クラブクアトロの幕を切って落とす、The Birthdayの極上のロックンロールが突き刺さった。
「Buddy」、「なぜか今日は」、そして「爪痕」など、ニュー・アルバム『I’M JUST A DOG』収録の新曲をいち早くお披露目する場所となった、今回の<Quattro×Quattro Tour'11>。2011年の幕開けとともに新メンバー・フジイケンジを迎え、新体制で臨む初ツアーでもある記念すべき舞台だ。そのファイナル・ステージとなった渋谷クラブクアトロを飾った楽曲たちはみな、とにもかくにも躍動的! ライヴ全編に疾走感がひとつの軸となってつらぬかれていたこの日のセット・リストは、興奮度はもはや問答無用だった。クアトロの人波を終始揺らし、ときにクラウド・サーファーが激しく転がる圧巻の盛り上がりを、The Birthdayだからこそ奏でられるロックンロール・ナンバーは見事に演出してみせた。
そして、これもまた彼らだからこそ伝えられる感動も素晴らしかった。例えば、「愛でぬりつぶせ」。<あの娘を お前を この星を 愛でぬりつぶせ――>。日常のあらゆる場面で“愛”が求められているこの時代だからこそ、「愛でぬりつぶせ」の一言一言は強く強く心打たれた。激しさだけじゃなく、この温かさがあるからこそファンはThe Birthdayに惹きつけられるのではないだろうか。爆音で全身を包み、人間味たっぷりな言葉とメロディで心のすき間を埋める――。気の利いた言葉を使ったお決まり盛り上げ的MCなど無くても、The Birthdayは音楽で聴き手と強く繋がっている。そんな両者の信頼関係が、この日のライヴであらためて見えた気がした。メンバーとファンの絆を感じるシーンは、さらに続く。優しい感触のギター・ストロークを響かせながら、「カモン!」と手招きしながらチバが叫ぶ。フロアからはすぐさま、「涙がこぼれそう」の大合唱が湧き上がった。<電話探した あの娘に聞かなくちゃ 俺さ 今どこ?>。熱き大合唱に、チバは応える――。「今、渋谷クアトロだ!!!!!!」。耳がイカレるくらいの爆音の中で、さらなる歓声が沸き上がる。アンコールで披露した「ローリン」も、笑顔と汗と高らかな叫びの応酬が何度も何度も続いた。
音楽制作の現場では技術革新が進み、音を加工処理できるツールもたくさん生まれ、バンド・サウンドにデジタル・サウンドを共存させることなども現在はごく一般的な手法になった。そんな中で、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムを生身の身体を使って鳴らすThe Birthdayのスタイルは、ある意味無骨にさえ見える。しかし、生身のプレイで生身の感情を音に叩き込んでいるかのように見えるその姿からは、ギミックなしだからこそ演者の体温がダイレクトに伝わってくる。身体をうずかせ、躍らせ、一緒に叫び歌いたくなる――。音楽の醍醐味をこんなにも感じることができるものに、他に何を足す必要があるだろうか。本物のロックンロールを愛する者だからこそ表現できる興奮、そして感動を、いよいよリリースが目前に迫った『I’M JUST A DOG』からも必ず感じ取れるはずだ。
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