
Overseas
PIXIES

2010.08.08 @千葉マリンスタジアム&幕張メッセ
Writer 道明 利友
いよいよエンディングが近くなってきた今年のサマソニ、STEVIE WONDERがラヴ&ピースな空間を作っているはずのMARINE STAGEにもかなり後ろ髪を引かれるが……。ロックファンにとってのサマソニの大トリは、PIXIESで文句なし! 約10年の空白を経て2004年に再結成、日本のフェスティバル出演は6年前のフジロック以来となるオルタナティヴ・ロックの先駆者を目撃しようと、SONIC STAGEは黒山の人だかりだ。
弦楽とピアノの二重奏がかもし出す登場SEの厳かなムードを、あのビートが切り裂く! 硬質で、重厚で、疾走感に満ちあふれたPIXIESの世界にSONIC STAGEは一瞬で染められた。アルバム『Bossanova』のオープニングを飾ったサーフ・テイストのインストナンバー『Cecilia Ann』でいきなりヒートアップした日本のオーディエンスに、PIXIESベスト盤と言ってもいい数々の名曲たちがプレゼントされる。ライヴ序盤のハイライトは、なんといっても『U-Mass』だろう。NIRVANAの『Smells Like Teen Spirit』は、あのKurt Cobainがこの曲にインスパイアされて生み出したという逸話が残っている楽曲だ。Kurtが魅了された理由は、轟音リフがたまらなく刺激的なこの曲を聴けば納得できる。そして、『Winterlong』はNeil Youngのカヴァーだ。Blackのドスの効いた歌声にKim Dealの女性的な歌声が重なり、荒々しい中にも柔らかな雰囲気をかもし出す。『Nimrod’S Son』は、軽快なリズムから一転、地鳴りのような轟音ギターにFrankの狂ったような笑い声が重なる。 そんな彼らの楽曲たちは、激しさで聴き手を貫き、かつ、どこかファニーでユニークな面も感じさせるのが愛らしい。多くのロックファンを魅了し、多くの同業ミュージシャンから彼らがリスペクトされた理由が、今回のステージからあらためてうかがえたような気がした。
そして、Joey Santiagoは、演奏途中でおもむろにステージ中央へ歩を進めてエフェクターをいじりまくりノイジーなギターかき鳴らし、さらに……。David Loverringから投げられたドラムスティックをキャッチ、そのスティックでさらにガキガキとノイズを鳴らす(笑)。かと思えば……。セットリスト全曲が終了して大団円のエンディングを迎えたかと思ったら、“もう1曲やらせてくれ!”といわんばかりにFrankが苦しそうに悶える(笑)。その姿にKimは苦笑いしながらも、再びメンバー全員が揃って再演奏を開始! 音楽性の相違やメンバー間不仲など、憶測を含めて、解散時には様々な情報が伝えられた彼らがこんなに楽しげなムードでステージを楽しんでいる姿を観られただけでも、一ロックファンとしては最高の気分だ。
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