Overseas
THE RADIO DEPT.
2010.04.05 @新代田FEVER
Writer 佐々木 健治
THE RADIO DEPT.のインタビューが終り、楽屋からフロアに出ると、まさにパンパンのフロア。FLEETING JOYSはほとんど観ることができず、THE DEER TRACKSのライヴ。背後にヴィジュアルが映し出される中、美しいトラックと絡み合う男女ツイン・ヴォーカル。と言うか、David Lehnbergはめちゃくちゃフェミニンで、最初女性なのかと思ってしまった。MEWを想起させるライヴにじっと聴き入る超満員のフロアが印象的。
フロアは、全く前に進めず、バーカウンターにも辿り着けそうもないので、お酒は諦める(笑)。
アメリカのニューゲイザー・バンドFLEETING JOYSとスウェーデンのTHE DEER TRACKS、THE RADIO DEPT.によるジャパン・ツアー<Into Your Dream>最終日。
大雑把にくくれば、シューゲイザー影響下のバンドを3組ということになろうが、3者3様のスタイルで、クオリティの高い美しいアルバムを放っているだけに、大阪、名古屋ともに好調だったというこのツアー。
ラストを飾るTHE RADIO DEPT.の登場と共に、大きな歓声が上がる。新作は、ほとんどシューゲイザーなんて枠組みも必要ない、モノクロームに広がる景色が浮かび上がるアルバムだった。
先ほどまで行っていたインタビューでは、しきりにアンチ・コマーシャルな態度を表明していたTHE RADIO DEPT.。オリジナルでありこと、D.I.Yであることを実践し、3年もの時間をかけられた新作『Clinging To A Scheme』に宿っていた暖かくもエッジの効いた音像をしっかりと体現していくライヴ。
日本盤ボーナス・トラック「Freddie And The Trojan Horse」では、しっかりとスウェーデン政府に毒づいていたけれど、それよりも彼らの温もりに満ちたサウンドの雄弁さは素晴らしかった。
「This Time Around」などでは、アルバムよりもシューゲイザーのフィードバック・ノイズを感じさせられる部分もあったが、やはり彼らの描き出す音像は、シューゲイザーの音に呑み込まれるような感覚とは異なり、その音にしっかりと風景を描き出すことができるタイプのもの。
ファースト・アルバム『Lesser Matters』収録の「1995」も披露しつつ、『Clinging To A Scheme』の芯の強いビート、ギター、シンセ、少し物憂げな美しいメロディ・ラインが見事に調和した世界の心地よさを体現する美しいライヴだった。

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