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LIVE REPORT

Overseas

PAVEMENT

2010.04.07 @新木場 STUDIO COAST

Writer 遠藤 孝行

1999年の解散から11年。2010年限りの活動ではあるが再結成を果たしたPAVEMENTの来日公演。昨年秋の再結成そして来日アナウンスに胸は高鳴ったが、当日を迎えると楽しみではあるものの少し複雑な気分にもなっていた。個人的な話をするとPAVEMENTの出会いは高校時代。初めて聴いた時は大きな感動や驚きを感じるというよりかは、自分の好きな音楽はこれかもという変な感覚があった。音楽が好きな人ならそんな感覚になる事はあると思うのだけれど、初めて聴いたアーティストに「今まで自分が聴きたかった音はコレなんじゃないか」という変な思い込みに陥ったバンドはPAVEMENTが初めてだった。そしてまた通学中にもよく聴いた。PAVEMENTを聴くとその頃の特別楽しくも悲しくもなかった日常が思い出される。だから、このタイミングでしか多分二度と観れないであろうこのライヴに少し感傷的になったりしながら新木場へ向かう。(その後SUMMER SONC2010に出演が決定!)

ライヴは定刻にスタート。さくっとメンバーが登場し「In The Month A Desert」、「Shady Lane」と立て続けに演奏される。ベスト盤がリリースされての来日だっただけに今回は初期を中心とした代表曲満載のセット・リストだったが、もうこの2曲で涙腺が緩む。特に「Shady Lane」がこんなに早く演奏されるなんて思ってなかったから、驚いたものの早くも今日来て良かったなんて思ってしまう。
メンバーは淡々とした様子だったが、フロアはかなり暖かくすでに良い雰囲気。サラリーマンも20歳そこそこの男の子も一緒に体を揺らす。リアルタイムでファンだった人も昨今のUSインディー・ブームからPAVEMENTへたどり着いた若者もこの日を待ちわびていたという気持ちが伝わってくる様だった。演奏は完璧ではないし、声もよく出ているとは言いがたかったけれど、そのラフなバンド・アンサンブルから伝わってくるメロディは胸を締め付けるし、それはやはり彼らしか出せないものになっていたと思う。
少し気の抜けたようなMCを挟みながらバンドは次々に曲をこなしていく。再結成のライヴを心から楽しんでいるような彼らの姿はとても微笑ましく、会場を暖かく包んでいた。圧巻は終盤の「Stereo」「Summer Babe」「Unfair」「Cut Your Hair」の4曲の流れ。流れというか、ここまで代表曲を立て続けに演奏されたら盛り上がらないわけがない。この日一番の盛り上がりだった。

そしてアンコールではこのツアーではたまにしか演奏されないラスト・アルバムから「Spint On A Stranger」が演奏された。メンバー内に亀裂を産んでしまったと言われるこのアルバムからの柔らかいナンバーは会場から暖かく迎えられる。
解散以降評価がここまで高まったバンドも珍しいし、「ロウファイ」と呼ばれた彼らの音楽性が今またスポット・ライトを浴びフォロアーを産んでいるという現状もまた彼らの偉大さを物語っている。今回の再結成は今年を代表する出来事の一つと言っていいだろう。そして今回のライヴではバンドがこんなにもアグレッシヴだったことも嬉しい驚きだった。彼らのバンド・マジックは消え失せない。PAVEMENTに出会えて良かったと改めて思う。

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