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LIVE REPORT

Overseas

JACK PENATE

2009.08.07 @千葉マリンスタジアム&幕張メッセ

Writer 榎山 朝彦

海とJACK PENATE。このシチュエーションに興奮しないファンなどいないだろう。ロカビリーとパンクとブルー・アイド・ソウルから、とびきりスイートな部分だけ凝縮したようなサウンドを武器に、2007年ロンドンから世界へと飛び出したJACK PENATEは、最近リリースした2ndアルバム『Everything Is New』でいきなり方向転換を見せた。アフロ・ビートを呑み込んだ、非西洋的な音楽への大胆なアプローチ。歌詞やメロディーはぐっとメランコリックな情感を増し、どこか異国の海辺で夕暮れを見つめるようなロマンに満ちた作品となった。BEACH STAGEの夕暮れに出演が決定した時は、思わず膝を打ってしまうほどだった。

今年最も聴いているアルバムが『Everything Is New』である自分にとって、胸の高鳴りが抑えられないステージ。BEACH STAGEは他のどのステージよりもリラックスしたムードに満ちているが、ステージ前に駆けつけた人々のテンションは最高潮だ。登場から間髪いれずに「So Near」等の小気味いいナンバーを披露、砂浜は一気にダンスフロアーと化す。JACK PENATE自身もかなりノリノリで、「Let’s All Die」では曲中に観客の中へと飛び込んだほど。それも、ほぼ曲中ずっと(笑)。MCで、ステージから見える景色が美しいとこぼす一幕なんかもあり、幸せなムードがBEACH STAGE全体を包み込んでいた。

しかし、そんなステージ上空には、徐々に暗雲が空を浸食し始めていたのだ。ポツポツと降り出した雨粒はみるみるうちに大きくなり、ゲリラ豪雨となってビーチを襲った。さっきまでのムードから一転、逃げ惑う人々、やけくそ気味に踊る人々、呆然と立ち尽くす人々と、笑っちゃうくらいカオティックな状況に。そんな中JACK PENATEが繰り出したのは、シングルにもなった2ndの大名曲、「Tonight’s Today」!屋根の下へ避難しておきながら、イントロを聴いた瞬間に豪雨の砂浜へと再ダッシュするミュージック・ラヴァー、多数。次に繰り出されたこれまた大名曲、「Second, Minute, Or Hour」が、豪雨による機材トラブルで音が消えてしまうという、あまりに悲しいオチがついてステージは終了したものの、得体の知れない高揚感が消えることはなかった。都市型フェスの快適さをかなぐり捨てて、人々が一心不乱にダンスする様は、間違いなく今年のSUMMER SONICでベストな光景のひとつとなっただろう。

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