
Overseas
APHEX TWIN

2009.08.07 @千葉マリンスタジアム&幕張メッセ
Writer 榎山 朝彦
おそらく、このアーティストが出演決定したのをきっかけに、SUMMER SONIC一日目行きを決意した人は、かなりの数に上るのではないだろうか。90年代最大の天才にして孤高の異端児、Richard D JamesことAPHEX TWIN。音の強度に対する概念を更新し、ダンス・ミュージックを怠惰な連帯感から解き放ち、そして世界中のベッド・ルームからフォロワーを引っ張り出して、APHEX TWIN以前 / 以降と言えるほど、ミュージック・シーンの景色を一変させた男。テクノ・モーツァルトとか、ブレイン・ダンス・ミュージックとか、いろんな形容が飛び交い、あらゆる方面から解剖が試みられてきたものの、00年代も終わりの現在、その音楽は未だ神秘のヴェールに包まれたままである。
7年ぶりの来日となる、SUMMER SONIC初日、SONIC STAGEトリのライヴ。夏フェスという祝祭空間にはおよそ似つかわしくない、神妙な面持ちの人々がフロア中に集結。言葉少なに交わされる会話の内容は、「本当にRichardは来るのだろうか?」「そっくりさんがミックス音源を垂れ流すだけじゃないか?」等々、他のアーティストでは考えられないような不安に満ちたものばかり。僕もシンプル極まりないステージを見つめながら考えていた。本当にRichardは来るのだろうか?
彼は来た。そして彼にしかできない、圧倒的なパフォーマンスを残して去って行った。賛否両論だったようだが、あのステージが駄目だったと言う人は、いったい何をAPHEX TWINに期待していたのか全く分からない。それくらい圧倒的だった。
機械から人間への最後通告とでも言うべき、英語と日本語の字幕を経て、DJプレイがスタート。ゆっくりと腰を上げるように、夜空を映し出すVJに合わせて、BPM110前後のアシッド・ハウスが流れ出す。「Phonatacid」だ。オールド・スクールなブレイク・ビーツを絡めながら、徐々にサウンドは凶暴な牙を剥きだしていく。90年代初頭辺りのレイヴィーなトラックも、レゲエ・ライクなトラックもかかるが、全く連帯感のないものに変質している。連帯を持たない大人数が一緒に踊るという、奇妙な光景が展開されていく。
その先に待ち構えていたものは何か。まさかの、MICHAEL JACKSON「Rock With You」だったのだ。原曲のメロウなムードを破壊するブレイク・ビーツ、顔面が崩壊する映像を映し出すVJ。世相を容赦なくぶった切る一幕。歓声とも悲鳴ともつかないような雄叫びがフロア前方から上がる。そして「Windowlicker」。代表曲のひとつ。どうしたって上がる熱。それに応えるようにビートはみるみる加速し、ハード・テクノ、シュランツ辺りまでつり上がる。ここからはもう、APHEX TWINの毒が完全解放だ。ダブ・ステップを経て展開される、悪意に満ちたドリルンベース。自分のことなんて誰も分かっちゃくれない、という人を惹き付けて止まない、あのビートである。VJには動物の屠殺、スカトロの映像。倫理を、正義を超えて放たれる、純度100%の毒気が体中に染み渡る。ラストはブレイク・コアと死体の映像で、この世の果てを見せてくれた。
これまでメディアが嬉々として取り上げてきた、ギミックと遊び心に満ちたAPHEX TWINはそこにいなかった。着ぐるみに入ったり、観客に見えないようにDJをするAPHEX TWINはそこにいなかった。最初の字幕にしろ、その後の映像にしろ、すべてのテイストが分かり易過ぎるくらいにAPHEX TWINしていた。そこにいたのは、とうとう猿にでも分かるような律儀さでもって、自らの毒を証明しにかかったAPHEX TWINだったのだ。長年の沈黙を一気に突き破る、すばらしいプレイだった。
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