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LIVE REPORT

Japanese

Mega Shinnosuke

Skream! マガジン 2025年01月号掲載

2024.12.08 @Zepp Shinjuku (TOKYO)

Writer : 西平 歩由 Photographer:Goku Noguchi

今年6月にリリースした「愛とU」がTikTokでのバズをきっかけにSNS総再生回数6億回を突破、"2024 FNS歌謡祭"への出演を果たし、年末には"COUNTDOWN JAPAN 24/25"への出演も決定しているMega Shinnosuke。次世代のスターとして躍進してきた彼が、このたびツアー"Mega Shinnosuke ONEMAN TOUR 2024「君にモテたいっ!!」"ファイナルとして自身初のZepp単独公演を開催した。

会場BGMとして「あの子とダンス(feat.chelmico)」が流れ、自然とリズムに身を委ねて盛り上がり、開演前から態勢万全なフロア。バンド・メンバーに続いて登場したMegaはスーツを身に纏っており、普段パーカーやTシャツ等カジュアルなスタイルでライヴをする彼のフォーマルな装いに、いつもとは気合の入りようが違うことを感じる。

1曲目に披露されたのは「ao」。オートチューンが掛かりざらついたヴォーカルや、ステージをやわらかく染め上げる青い照明に、海の底にいるような感覚を覚え、このままたゆたっていたいという心地よさが全身を包み込む。"人類は消滅します!!!!!"という初音ミクの声が鳴り響き、「iPhone feat.Skaai」が投下されると会場の雰囲気は一変。デジタル社会を嘆きつつも軽やかに駆け抜けていく爽快なリリックと、疲弊しがちな日々を吹き飛ばす程のエネルギッシュなパフォーマンスでギアを上げていく。

"ブチ上がる準備はできてますか、皆さん!"と投げ掛けてスタートした「Thinking Boyz!!!」では期待に応えるかのごとく盛大なシンガロングやクラップが起こった。「Sports」ではMegaがビニール製のサッカーボールを蹴り飛ばし、Kohei Shimizuのザクザクと刻むギター・リフと古市健太の力強いドラミングでフロアを喧噪の渦に巻き込む。

「東京キライ☆」ではステージ後方のモニターと、ステージ上から吊り下げられた6つのモニターに同曲のMVが映し出される。"I♥TOKYO"というTシャツを着て背中が燃やされたマネキンが、無人の駐車場を猛スピードで走っているという混沌とした映像と、東京へのアンビバレントな感情をアイロニカルに歌う痛快さがたまらない。

バンド・メンバーがはけ、Megaがアコースティック・ギターに持ち替えると、崎山蒼志がサプライズ・ゲストとして登場。プライベートでも交流があり、"今日もお互い予定が入っていなかったら飲みに行っていた"(Mega)と話す程仲の良い2人がステージに並び、会場がどよめくなか演奏されたのは「海をみにいこう(with 崎山蒼志)」だ。ささやくような歌声と優しく心に溶け込むアルペジオに、Megaのアンニュイな一面を感じられたのも印象的だった。

再びバンド・メンバーが登場し、ラフなセッションから流れるように「ぼくの部屋においでヨ」を披露。自身が育った福岡での思い出を歌ったという「18才の夏休み」、18歳のときに作られた「甘ったるい呼吸」とフォーク・サウンドをセンチメンタルに聴かせる。シンプルなバンド編成やDJ編成でのライヴ、初の弾き語りツアー等、様々なアプローチを試みてきたからこその選び抜かれたパフォーマンスだ。

「愛とU」、「桃源郷とタクシー」とSNSを中心にヒットした楽曲が続き、タイト且つグルーヴィなビートに合わせフロアのボルテージもどんどん高まっていく。インターネット・シーンの歌姫をフィーチャリングに迎え、炸裂するラップ・フローとMegaならではのダンサブルなトラックが特徴的な「アイシテル人生 feat.初音ミク」でラストスパートへ。

"あと2曲、全部出しません?"と「あの子とダンス(feat.chelmico)」が披露されると、思わず踊りだしたくなるビートに身を委ねるオーディエンス。この日chelmicoは上海でのライヴだったそうで、"上海なう"と書かれた自撮り画像がモニターに映し出されると、会場から笑い声が上がる。ラストを飾ったのは「ふたりの映画」だ。別れをテーマに1つの物語を描き、映画のエンドロールに流れるような同曲で、このライヴが1本の作品だったかのような気分にさせてくれるのは、自身でMVの監督等を務めるMegaならではだろう。

ライヴ中の撮影を一切禁止していた本公演だが、アンコールでは"みんなに自慢したいでしょ?"と撮影を許可し、「愛とU」をもう一度披露。「永遠の少年」で"今夜、僕らだけが正義さ"と高らかに歌い、ピュアなロック・サウンドが胸を打つ。ありのままでいいと肯定する優しさに溢れた楽曲たちで、一人一人の心に宝物みたいにきらきら輝く思い出を残し、ステージを締めくくった。

[Setlist]
1. miss u situation (remix)
2. ao
3. iPhone feat.Skaai
4. Thinking Boyz!!!
5. Sport
6. 東京キライ☆
7. 明日もこの世は回るから
8. 一生このまま
9. 海をみにいこう(with 崎山蒼志)
10. ぼくの部屋においでヨ
11. 18才の夏休み
12. 甘ったるい呼吸
13. 愛とU
14. 桃源郷とタクシー
15. Sweet Dream feat.Jinmenusagi
16. アイシテル人生 feat.初音ミク
17. あの子とダンス(feat.chelmico)
18. ふたりの映画
En1. 愛とU
En2. 永遠の少年

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