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LIVE REPORT

Japanese

いゔどっと

Skream! マガジン 2021年01月号掲載

Writer 蜂須賀 ちなみ Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)

いゔどっとが12月19日、"いゔどっとStreaming Live -幽世-"を開催した。本来は3月に初のワンマン・ライヴを行う予定だったが、残念ながら中止に。このライヴは彼にとって、初の無観客配信ライヴであると同時に初のワンマンでもあった。なお、3月のライヴはチケットがソールド・アウトしていたほか、7月にリリースされた1stアルバム『ニュアンス』がタワレコメンに選出されるなど、注目度が上昇しているタイミングでのライヴとなる。

事前に発表された通り、井手上 誠(Gt)、御供信弘(Ba ※曲によってはコントラバスを演奏)、片山タカズミ(Dr)、まっかつ(Manipulator)をサポートに迎えたバンド・セットでライヴに臨んだいゔどっと。開演時刻を迎えると、「累累」から演奏が始まった。暗がりのなか、ステージ上ではスモークが焚かれている。繊細な歌声や、曲の持つ幻想的な雰囲気を引き立てる演出だ。初ワンマンならではの緊張感も手に取るように伝わってくる。2曲目「ナイトクルージング」に入り、バンドの音が広がっていくなか、カメラの向こうにいる観客へ挨拶するいゔどっと。軽くステップを踏んだり、手をひらひらと動かしたりしながら歌う姿は、ファンにとっても新鮮だったのでは。

この日演奏された曲のほとんどは『ニュアンス』の収録曲。『ニュアンス』はいゔどっと自身が書いた曲だけではなく、多方面のクリエイターが書き下ろした曲も収録したアルバムで、ヴォーカリストとしての表現力も必然的に求められる。今回は、チル・ポップ系のゆるく踊れる楽曲を序盤に、ロック調のアッパー・チューンを終盤に配置したグラデーション式のセットリストを用意し、1時間のライヴを作り上げた。多展開ゆえに難易度の高い「続く青」は、それをバンドで鳴らすからこそのゴツゴツとした手触り、なにくそ根性に近いものがグッと伝わってくる。初めて書いた曲と紹介された「余薫」、そして「赤色と水色」とバラード2曲を続けた場面では、丁寧に想いを込めるような歌唱だ。衝動とともに駆け抜けたラスト2曲=「エンドマークパーク」、「着火」は熱量が高く、"歌っていくんだ 僕はここで/憂や後悔 全部乗せて"という宣言を体現するかのよう。初ワンマンがこの形になったのは想定外だったと思うが、MCで語られた"観てくれているみんなには120パーセントのものを届けたい"という想いは、演奏にもしっかり表れていた。

加えて、配信ライヴならではの演出も。例えば、「アカトキツユ」と「エンドマークパーク」でライヴ映像とMVを重ね合わせる演出があったほか、「forever」は照明を工夫し、シルエットのみで魅せる方式だった。というか、ドロップ的なパートが設けられていたりと、EDM色の強い「forever」をあえてドラマーとふたりで鳴らしているのが面白い。ライヴならではのアレンジ、プレイヤーとしてのふたりの個性が浮き彫りになっている。

本編終了後の「やっぱり」はフロアから、アコースティック・アレンジでの演奏。演奏前にはライヴを振り返るトークもあり、バンド・メンバーとの和気あいあいとした空気が伝わってきた。さらに、ライヴ終了後には12月25日の新曲投稿を告知するVTRが。ライヴが終わってしまったという寂しさを打ち消すように、次の楽しみをプレゼントとして置いていくところも、ある意味彼らしいのかもしれない。なお、このライヴの模様は、12月26日23時59分まで、アーカイヴ配信で視聴可能(チケットの販売は同日19時まで)。当日見逃してしまったという人は、ぜひそちらをチェックしてみてほしい。


[Setlist]
1. 累累
2. ナイトクルージング
3. 水槽
4. 夜半の雨
5. アカトキツユ
6. 続く青
7. forever
8. 余薫
9. 赤色と水色
10. エンドマークパーク
11. 着火
12. やっぱり

LIVE STREAMING INFORMATION
"いゔどっとStreaming Live -幽世-"

※ストリーミング・ライヴ
12月19日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
アーカイヴ配信:~12月26日(土)23:59まで
詳細はこちら

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