Japanese
killing Boy
2011.03.29 @恵比寿LIQUIDROOM
Writer 島根 希実
ART SCHOOLの木下理樹が、同バンドの元メンバーにして盟友日向秀和と再びタッグを組んだことにより生まれたバンドkilling Boy。昨年末結成を公式に発表し、その2ヶ月後にはアルバムをリリース。そして今回早くもツアーである。しかし、本ツアーは3月12日の名古屋公演が東北地方太平洋沖地震により延期。同様に本公演も延期になるであろうことが予想されたが、彼らの公式サイトにもアップされた通り、音楽を届けたいという木下の強い希望により開催されることとなった。
そんな“想い”によって会場の扉を開くこととなったこの日は、“今、やらないでいつやるんだって思ったからです”と語る木下の言葉の通り、“ライヴで音楽を届ける”“表現し、同じ空間でそれを共有する”という当たり前を改めて見直し、ライヴという表現行為そのものの意味と、今音楽をやるべき意味というものを強く体に刻みつけるような、その熱き想いの証明の夜であったといえるだろう。
オープニング・アクトはキノコ帝国。孤独を煽るような、全体的に裏寂しいステージ。重く暗い空気のようにどんよりと漂う演奏の中で、絞り出すように歌うヴォーカルが暗闇を照らし出す。静かに息を吐くように一音一音を丁寧に慎重に共鳴させていく演奏は、ノイズという形でもって痛みを吐き出しているようであり、ヴォーカルによってやがてはそれを光へと昇華されていく、とても繊細なステージだった。
続く、andymori。昨年11月にドラムの後藤大樹が脱退し、新メンバーとなってから彼らを観るのを今回が初めて。このニュースを知ってからずっと気になっていたことがある。それは、一度でも彼らのステージを観たことがある者ならばどうしても譲れない一点、“小山田壮平(Vo&Gt)の速さについていけるのは後藤大樹だけだったのは?”ということだ。
次から次へと言葉を投げていく、小山田の頭の回転の速さを具現化したような彼らのライヴ。その圧倒的なスピード感についていける者がそう簡単に現れるのだろうかということ。矢継ぎ早に、次から次へと思想と思考を吐き出していく小山田の速さは、脳内で浮かんできた思想をそのまま一気に流しだすような電光石化のものであり、その速さと吐き出される言葉の膨大な情報量故に、時に飛ばし過ぎてつんのめっている感さえあった。しかしどれだけつんのめっても、小山田がどれだけ走っても、最後までついていくことの出来る無敵のスリー・ピースというのがこれまでのandymoriだったのだから。
その不安への答えとして、彼らが見せてくれたものは、スピードで補いきれない部分を、パワーで強引に埋めるということだった。3人一列に並んでいた編成をやめたように(現在の編成は、ドラムが後ろに下がったオーソドックスなトライアングル型)、速さについていけない分を、小山田自らのヴォーカルで補っていたのだ。具体的には、彼のヴォーカルがよりエモく、より強くなっていた。スピードに乗りきれていないというフラストレーションを強引に押し切る、後藤が牽引していた部分をパワーでカヴァーしていたのだ。
つまり、メンバー脱退という局面で、バンドはヴォーカルの更なる成長という最初の答えを出していた。結果、その表現世界は何一つ失わることはなく、どんどん速くなっていく感情速度に現実世界すら置いてけぼりをくらって、残像のように時間差でそれが滲み出してくるようなステージは変わっていないのだと安心させられた。
その美しい感傷を、熱きグルーヴと肉体的なステージによって炎上させたのは8otto。ニュー・アルバム『Ashes To Ashes』があまりに素晴らしかった彼ら。では、ライヴではどれほどの衝撃を与えてくれるのだろうかという期待が高まっていたのだが、結果は期待以上。アルバムで見せたバンドとしてのモチベーションの高さ、一度燃やし尽くしてそこから生まれ変わるというキーワードの通り、バンド全員の表現者としての著しい成長が見てとれる素晴らしい内容だった。この日一番直接的なエモーショナルを放っていたのは間違いなく彼らだっただろう。
具体的に、“新生8otto”と冠するほどのアルバムを完成させたことで、彼らはどのような変化を遂げたのか。簡潔に言うと、全員がマエノソノマサキ(Vo&Dr)みたいな感じ。メンバー全員の意識とモチベーションが上がったことで、4人が同じラインに立って同じだけのパワーで音を爆発させることが可能となった。結果、凄まじい力量を持つことに。全プレイヤーが衝動を刻み、4音全てが爆発するグルーヴなのだ。
クラップのようなパーカッションから始まり、やがてそれが本当のクラップをまき起こしていった1曲目「Hand Clap MF」での肉体的で野性的なグルーヴからしてそうであったが、常にヒリヒリとして、初めから終わりまで一度もダレることのない緊張感あるステージは、以前とは比べものにならないほどに研ぎ澄まされていた。いや、以前だってかっこよかったのだが、今この姿を見てしまうと、以前の姿さえ生ぬるかったような気さえしてくる。どんなにマエソンが叫んでも、それにまったく負けない3人の演奏。4人それぞれが全方位に向けたサラウンド・スピーカーのように主張してくる。青い炎でじりじりと燃やし、ライヴ後半には、全部の音が爆音で燃えたぎる炎となり、また時には過激なほどスパークしカラフルな火花を撒き散らす。ラスト・ナンバーの「RIWO」まで、ただ叩く、ただ弾くという、シンプルな情動をぶっ叩き、ぶちかまして終了した。ニュー・アルバムと過去曲を交互にプレイするようなセットリストであったが、現在のバンドの状態を知るには十分なすぎるステージであった。
そして、本日の主役killing Boyの登場だ。やんちゃに主張する日向のベースが響く中始まったのは、アルバムでもオープニングを飾ったナンバー「Frozen Music」。メイン・プレイヤー全員にスポットライトが当たり、それぞれが先鋭された音を鳴らしていくような始まりから、やがてバラバラに作用するものが要所要所でカチッと噛み合っていき、やがてはバンド・サウンドとなっていく。のっけからもう、その圧倒的な演奏力は圧巻であり、特に見事なのはスリリングかつダンサンブルなベースとドラム。極上の土台を築いていくリズム隊。しなやかな筋肉はよりしなやかで躍動的なパフォーマンスを可能にするとはいうが、日向と大喜多の描くリズムは、パワフルかつダイナミックでありながら細部まで木目細かにリズムが弾け、そして撓る。続く「1989」より全てがより多弁になっていった。木下の歌う軽快なメロディが冴えわたり、そのフォローにまわることはせず同様に歌い上げる伊東のギター。まるでツイン・ヴィーカルだ。それは「Perfect Lovers」も同様で、その胸につかえるようなメロディは、木下のヴォーカルと伊東のギターという2人のヴォーカルによってフロアを切なく染め上げていく。
それにしても、本当に多弁なバンドだ。前述したヴォーカル同様に歌うギターや、主役級の存在感で主張するリズム隊。圧倒的な演奏を繰り広げるメンバーの一番左端で切々と歌うという木下の図式も相まって、全員がそれぞれの立ち位置から、それぞれの武器でもってストリーテラーであろうと自己主張しているよう。それほどに全員のポテンシャルが高いのだろう。
そして、それがバンドとして作用する瞬間は本当に美しい。「black pussies」では、その圧倒的な演奏力と、それとは対照的な感情的なメロディラインは、結果として伝えたい一つの想いを4人全てで彩っていくようであり、4人が絡み合ったその果てには、細部まで繊細な、眩しくも暗くひんやりとした地下世界を築き上げていた。そして、「xu」、新曲「no love lost」と、更にバンドの熱が上がっていくにつれて、ますます多弁になり、更にヒート・アップしていく演奏は、徐々にフロアを置き去りにするほどのクオリティとなっていき、ますます圧巻としかいいようのない状況を作り上げていった。フロアはその秀逸な表現世界に熱狂していたというよりは、killing Boyに酔い、圧倒されていたといった方がいいだろう。
MCの後、静かに始まったのは「Sweet Sixteen」。そして、そのセンチメンタルなメロディから、ラスト「Confusion」でステージの一気にヴォルテージを上げてみせる。金切声をあげるような演奏の、“うるせぇ!”と全てを一蹴するようなその迫力は、木下のヴォーカルさえも、ともすれば飲み込まれてしまいそうだ。
アンコールで披露されたセッション後に、木下は改めて語ってくれた。“今日は来てくれてありがとうございます。まずは、やっぱりお客さんに感謝。そして、スタッフに感謝。僕たちの音楽を聴いてちょっとでも気分がマシになってくれたり、明日も頑張ろうと思ってくれたりしたら本望です。普通に生きて普通に音楽があればいい。今日は爆音でやってるから、現地にも届いてほしい。そして、ちょっと元気になって欲しい。全ての人に感謝しています。killin Boyでした”その言葉の直後に始まった「Call 4 U」は、最後にして最も美しいこの日のハイライトだった。優しく強く響くそのメロディは“伝えたい”、“届け”と切に祈るようで、“誰かを救済したい”という想いを真摯に訴えかけていた。
承知の通り、彼らは単なる新人バンドではない。全メンバーがしっかりとしたキャリアを持つミュージシャンであるからこそ、音楽活動においても実にクレバーであるし、演奏スキルも非常に高い。だが、それ故に、難解になりすぎて逆にメッセージは伝わり難いのではないだろうか?という不安があった。しかしラスト「Call 4 U」を観て、そういった不安は全ては吹っ飛んだ。表現者として、そして一人の人間としての木下の想いが、本人は意図せずとも、こらえようのない涙のようにこぼれ落ちていたあのステージ。あの真摯な姿は、熱き表現者そのものだったからだ。
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