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DISC REVIEW

Japanese

人間遊び

久しぶりに脱力してしまった。一言一言の痛々しさに胸が締め付けられ、気が付けば楽曲に同調し、立ちすくんでいた。漫然と日々を過ごしていたシノヤマコウセイ (Vo&Gt) の紡ぐ言葉は、世界とのつながり方がそのまま“生”を思わせる。 その派生としての“自己”に対する想い。何者でもない自分への憤り。深く枯渇した感情が溢れ出す。シノヤマの歌詞にノイズのようなサウンドを被せるSuck a Stew Dry は、2009年に結成し、翌年から活動を開始した非常に若い5ピースのバンドだ。息苦しいほどの気だるさの中 “誰でもない自分”を求めるが故の苦しさを歌う。壁を作って心を押し殺しながら、一方では心を追い求める。太宰 治が描くような不完全な歪さが、インクのような感染力を持つのだ。彼らが“帰ろう”とする場所は、過去かまだ見ぬ未来か。すべてはこれからだ。(山田 美央)