アイスランド発のポスト・ロックバンドSIGUR ROSのフロントマン、Jónsiがソロアルバムを今年3月にリリースし、現在ワールド・ツアーの真っ只中。今回のロンドン公演の会場に選ばれたのは、キャパ約2,400人程の中規模会場のForum。ロンドン公演2days共、もちろんチケットはソールドアウト。SIGUR ROSの音作り・ライヴパフォーマンスのクオリティの高さは周知の通りで、その中心であるJónsiのパフォーマンスを期待するファンで会場がいっぱいになっていた。Jónsiのバックバンドのメンバーには、彼のもう一つのサイドプロジェクトのユニット・Jónsi & AlexのAlexが参加。AlexはSIGUR ROSのアルバムワークを手掛けるヴィジュアル・アーティストでもあり、またプライベートでJónsiのパートナーであることでも有名。

ステージには何やら豪華な舞台セットが組まれ、雰囲気のあるBGMも流れる中、ライヴ開始前から会場はすでに異空間。どんな素晴らしいライヴパフォーマンスが繰り広げられるのか、期待でいっぱいになった。

大拍手の中Jónsi がステージに登場し、「Stars In Still Water」でライヴがスタートした。アコースティックギターとピアノのみのシンプルな演奏に、Jónsiの美しいファルセット・ヴォイスが映える。続いて「Hengilás」では、いきなりJónsiの音の世界に引き込まれそうになる。グロッケンとオルガンの奏でる音に心地よく包まれる。同時に舞台セットのスクリーンに動物や蝶々が映し出され、音と映像の融合も素晴らしい！の一言に尽きるといった感じ。「Icicle Sleeves」でも彼の歌声と音に魅了される。
「Kolniður」では後半からの盛り上がりで、只々圧巻。私、鳥肌が立ちました(！) と同時に、曲の途中で観客からも拍手が起こっていた。音の迫力に圧倒される一曲だった。「Tornado」ではJónsi含む3人でのグロッケンのイントロ演奏のアレンジを披露してくれた。ピアノとオーケストラの美しい演奏とドラムの複雑なリズムの掛け合いが見事。続いて「Sinking Friendships」では、Jónsiの高音ファルセット・ヴォイスが美しく響く。こちらでも美しい音に引き込まれるという感覚を感じさせてくれた。
「Saint Naive」、「K12」とシンプルな曲を披露してくれた後に、お待ちかねの「Go Do」を披露。イントロから拍手と歓声が上がる中、会場のヴォルテージも最高潮に。Jónsi自身もライヴを楽しんでいる雰囲気が伝わってきて、とっても楽しい一曲だった。続いて「Boy Lilikoi」は、音の美しさと迫力は言うまでも無く、スクリーンセットに映し出されるヴィジュアル・エフェクトも素晴らしく、またまた音と映像の世界に酔わされた。「Around Us」では、一見打ち込みかと思わせるドラムのリズムと、ピアノや他の音が幾重にも重なる感じで、迫力のある音ながら実に美しかった。

アンコールでは「Animal Arithmetic」と「Grow Till Tall」を披露。本当に素晴らしい、の一言。特に「Grow Till Tall」では後半の音の迫力と盛り上がりが凄過ぎて、またもや鳥肌が立つ始末。Jónsiの音の世界に引き込まれ過ぎて、一瞬ここがどこか分からなくなる位にまで感じた。期待以上の本当に、本当に素晴らしいライヴで、久しぶりに余韻に浸っていたいという気持ちにさせてくれるライヴだった。SIGUR ROS、Jónsiとも独特の音の世界観で、パフォーマンスのクオリティの高さは格違いということを改めて感じさせてくれた。是非SUMMER SONIC2010で彼の素晴らしいライヴを体験してほしい。