‘95年にイギリスはスコットランド・エジンバラで結成以来、15年ものキャリアを誇るIDLEWILD。7thアルバム『Post Electric Blues』を引っ提げてのUKツアーを開催中の彼等のライヴを鑑賞してきた。

今回のロンドン公演の会場に選ばれたのは、Camdenから程近い、Kentish townにあるForumという会場。キャパシテイ約2400人の中規模なライヴ会場ながら、’93年のオープン以来、数々のロックバンドのライヴが開催されてきた。中にはOASIS、RADIOHEAD、 PRINCE、VELVET UNDER GROUNDのようなビッグネームも。今夜のチケットももちろんソールドアウト。IDLEWILDのキャリアの長さを表すかのように、客層が幅広い。20代～30代が中心のファンに混じって、10代のファンもわりと多くみられた。こういう光景をみると、新旧のファンから愛され、現在進行形で成長を続ける実力派バンドということが証明されるようで、今から始まるライヴが更に楽しみになった。
ブリットポップが終焉を迎えた頃の90年代中盤に活動開始以来、ややノイジーでエネルギッシュなギター・ロックが特徴的な彼らだが、ニュー・アルバムをチェックしてみた印象は、今までより少しポップさが加わったように感じた。がしかし実際にライヴで聴いてみると、彼等の力強いギター・サウンドは健在。ポップではなく、やはり正統派ギター・ロック・バンドであると改めて感じた。

オープニング・チューンはニュー・アルバムからの「City Hall」。初っ端からギターとベースの音の迫力に圧倒される。音源でこの曲を聴いていた限りでは、少しポップなギター・サウンドという印象があったのだが、やはりライヴで聴くと大迫力なのに驚き。
次には初期のアルバムからの「I’m A Message」をプレイ。ヴォーカルRoddyのスコッティッシュ訛りの曲紹介(これが何ともチャーミング！)で観客から歓声があがる。3曲目には2000年に発表の3rdアルバム『100 Broken Windows』から「Little Discourage」を披露。ベースの低音が響くロック・ナンバーの中、サビのメロディが頭から離れない曲で、観客のみんなも大盛り上がりだった。
その後も立て続けに3rdアルバムからの「I Don’t Have The Map」、「These Wooden Ideas」、「Roseability」、「Idea Track」を披露し、コアなファンを沸かせる。その後もニュー・アルバムからの数曲「Younger Than America」、「Post Electric」、「Readers And Writers」を披露しつつ、これまでの作品を織り交ぜた、総勢22曲の大満足のセット・リストでファンを楽しませてくれた。特に初期のアルバムからの代表曲「When I Argue I See Shapes」ではギターのイントロが始まった時点で観客の興奮も最高潮に。
かなりロック色の強い「A Modern Way Of Letting Go」ではみんな曲に合わせて歌う、暴れるといった感じだった。本当にギター・ロック・バンドってかっこいい！て思わせてくれる瞬間でもあった。
アンコールでは前述の新曲「Readers And Writers」や名曲「American English」など計4曲を披露。「Readers And Writers」はこれまでのIDLEWILDとは少し違った、ポップな一面が加わって、これからの彼等がますます楽しみになった。変化の激しいミュージック・シーンを長年に渡ってサバイバルしてきた彼等のキャリアや、パフォーマンスのレベルの高さは不動のもの。時代の流れにあわせて彼等も常に変化しているが、やはり正統派ギター・ロックのかっこよさに魅了されたライヴだった。