MUMFORD & SONSやFLEET FOXESなどの様なフォーク・ロックバンドに人気が高まる最近のミュージック・シーンに、新たにLOCAL NATIVESが加わった。LOCAL NATIVESはアメリカ・オレンジカウンティ出身のバンド。オレンジカウンティといえばハードロックやミクスチャーロックバンドを多く輩出したエリアで、少しラウドなイメージがあるが、彼らはそれらとは違った正統派インディー・フォークロックバンド、というギャップがおもしろい。彼等のデビューアルバムは昨年イギリスでリリースされた後、アメリカでもビルボードのニューアーティスト・チャート第3位にチャート・インするなど、UK、USでともに注目されている。

この日の会場のShepherd’s Bush Empireは、20代くらいのわりと若めでカジュアルな観客で埋め尽くされていた。以前に観た、同じくフォーク・ロックバンドのMUMFORD & SONSの客層は若者から中年という幅広い年齢層だったのに対し、今回の客層はそれに比べて若め。フォークだけど、ポップでインディーロックな要素も持ち合わせている彼等の音楽は若者に根強い人気があるように思った。

｢Camera Talk｣でライヴがスタート。驚いたのはメンバー4人が横並び＆コーラスも4人という迫力。メインのツインヴォーカルのハーモニーも綺麗で、ついつい聴き入ってしまう。
｢World News｣ではイントロで観客から拍手が巻き起こった。美しいメロディとコーラスで魅了しつつも、ツインドラムの迫力は見事といった感じ。続いてTAIKING HEADSのカバー曲｢Warning Sign｣ 切ない雰囲気のギターラインと、4人ヴォーカルの迫力と美しさに惹きこまれてしまった。｢Cards & Quarters｣はしっとりと聴かせてくれるバラード曲。シンプルな曲だからこそ、コーラスとギター、ドラムの音が映えて彼等のパフォーマンスのレベルの高さを証明するようだった。美しい、の一言。続いて｢Wide Eyes｣では、またまたイントロで大拍手と歓声が挙がった。ここでは間奏のドラム・パフォーマンスに圧巻。さすがメディアからもhyperactive drumming(ハイパーアクティブドラム)と評されているだけあって、ライヴで観るとさらに圧倒された。同じく｢Who Knows Who Cares｣でのドラムも圧巻。その後も｢Shape Shifter｣、｢Cubism Dream｣、｢Stranger Things｣としっとりと聴かせてくれながらも、サウンドの迫力に惹きこまれるパフォーマンスを披露してくれた。大人気の曲｢Airplane｣では予想通りの大盛り上がりに。みんなで歌い出したくなるようなメロディは、LOCAL NATIVESの持ち味といった感じ。

アンコールの｢Sun Hands｣まで、最後までしっかりと楽しませてくれた。
まだフレッシュな彼等だが、ライヴパフォーマンスの完成度はかなりのもの。一度聞いたら口ずさんでしまいそうなメロディの良さに加えて、メンバー4人で織り成されるコーラスとハーモニーの美しさには惹きこまれてしまう。フォーク・ロックの枠の中に留めてしまうと少し近寄り難い印象になってしまいそうだが、彼等のサウンドはそんな枠を超えて誰もが楽しめるポップな要素もあり、正統派でありながら色んな魅力をみせてくれる。
この夏にはFUJI ROCK FESTIVALで初来日が決まっている。ぜひライヴで彼等のサウンドの美しさと迫力を体験して欲しいと思う。