PRIMAL SCREAM ライヴレポート
去年に引き続き、今年も来日を果たしてくれたPRIMAL SCREAM。東京ではZepp公演が二日間行われた。会場は8割くらい埋まっており、仕事帰りのスーツ姿の人たちの姿も目立つ。いかにもライヴ仕様!という様相の人は、ラウドロック系のライヴに比べると俄然少ない。
定刻から少し押して、ライヴスタート。「XTRMINTR」からの不穏なイントロが鳴り響き、「Kill All Hippies」で幕が上がった。大歓声が轟音のように鳴り響き、重い演奏とシンクロしていく。尚、舞台には大きな映像装置が取り付けられ、「XTRMINTR」のイメージ映像が次々と流されていた。

しかしBobbyは細い!どんな食生活をしたらあんなに細い身体がキープ出来るのだろうか。そんな細い身体をくねらせながら吐き捨てるように歌うBobbyのカリスマ性は、あまりにも圧倒的。そして新作「Beautiful Future」から「Can’t Go Back」へなだれ込む。ギターのディストーションで一気にフロアがヒートアップ。今回のツアーもLITTLE BARRIEのBarrieが参加しているのだが、若いながらもベテランのメンバーに負けじと自己主張しており、とてもたくましく演奏を支えている。
PRIMAL SCREAM至上一番ラウドなナンバー「Miss Lucifer」は2バスのアレンジになっており、一層攻撃性を増していた。緑のレーザー光線がフロアを飛び交い、どんどん非現実的な世界に没頭させてくれる。そして雰囲気が一転し、「Jailbird」ではフロアの緊張感が少し解け、皆陽気に手拍子を送っている。「Miss Lucifer」も「Jailbird」も、紛れもなくPRIMAL SCREAMの曲ではあるものの、ここまで広い触れ幅を持ちながらロックンロールを追求しているバンドなんて他にはいないよなぁと、改めてPRIMAL SCREAMの凄さを見せ付けられた場面だった。

そしてこの日一番のハイライトは、やはり「Higher Than The Sun」であったのは言うまでもないだろう。サイケデリックで幻想的で病的な世界観に引き込まれ、キーボードから織り出されるフレーズの美しさに息を呑み、しばし言葉を失い、思考回路も停止した。
そこから「Beautiful Summer」「Deep Hit」「Exterminator」「Suicide Bomb」までの流れは圧倒的に素晴らしく、ただ踊ったり拳を上げたりするだけではない、ショウの本当の真髄というものを感じさせてくれた。
「Swastika Eyes」は打ち込みが強調され、さながらレイヴのような盛り上がりになり、「Movin’on Up」「Rocks」と、祝祭感たっぷりの曲で、本編が終了し、アンコールは「Uptown」「Necro Hex」「Country Girl」と、BPMが20くらい早くなったアレンジの「Accelerator」。ギターのフィードバック音が鳴り響いたままメンバーが去り、少しの間放心状態に陥った。ノイズがいつまでも耳を劈き、忘れられないライヴ体験となった。