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[SONY MUSIC JAPAN]
SICP 3545 \2,310 (税込)
2012.8.8 ON SALE



ALL TEXT BY 伊藤 洋輔

Track.1「Take A Walk」

アルバムに先駆けリード・トラックとなった1曲であり、生ドラムとプログラミングが絶妙にミックスされた力強いビートが新境地を開拓するよう鳴り響くオープニング・ナンバー。ファルセットは控えめにだが叙情性溢れる歌心に満ちている。日本盤のボーナス・トラックにはBURNS’ SFTCRとm-floの☆Taku Takahashiによるリミックス収録。

Track.2「I'll Be Alright」

「Take A Walk」に続き公開されたダンサブルなナンバー。プロデューサーは前作に引き続きChris Zaneが担当しており、アップ・ビートにヴォーカル・チョップ的なエフェクトとPASSION PITらしさが出され、圧倒的なオリジナリティを感じる。ちょっとグロくて摩訶不思議、とにかくヘンてこりんなPVも必見(笑)。

Track.3「Carried Away」

PASSION PIT流ビバリーヒルズ青春白書?もしくはグリー的な、ベタベタな学園ドラマのサウンド・トラックとなりそうな軽快なポップ・ナンバー。80’sで煌びやかなエレクトロに女性コーラスとMichaelの歌声に清涼感があり、とにかく耳触りの優しいサウンド・プロダクション。心を仄かに暖める心地良さがいい!

Track.4「Constant Conversations」

緩やかなチル・アウト感とセクシーなコーラス・ワークにアーヴァンなシティ・ポップ感を併せ持ったR&Bナンバー。Michaelのセンチメンタリズムが全面に押し出されているような世界観だが、ソウル・フルな歌声が胸を打つ。“恒常的な会話”なるタイトルだけに歌詞の内容が気になるが、まずは美しいメロディに酔い痴れてほしい。

Track.5「Mirrored Sea」

まるで若返ったNEW ORDERか!かつての「Sleepy Head」や「The Reeling」を想起するセンチメンタル・ダンス・ナンバー。キャッチーなエレクトロ・メロディで突き抜ける疾走感や躍動感はシングル化してもおかしくない出来栄えだ。すでにライヴでは定番とされ、ヴォコーダーを駆使しながら激アゲ状態になっていくMichaelも要チェックです。

Track.6「Cry Like A Ghost」

「Constant Conversations」と同列に捉えれそうなミドル・チューン。ソフィスティケートされたシンセ・サウンドにファルセット・ヴォイスの絡まりがどこか幻想的な雰囲気を感じさせる。アルバム通しで聴いていくと、“わび・さび”を利かせるように静と動の押し引きの巧みさを痛感するナンバーとも呼べるだろう。

Track.7「On My Way」

Ben Folds FiveやMelee辺りが浮かぶようにピアノが活かされた、スウィートかつシネマティックなポップ・ソング。ちょっと大袈裟に言うとQUEEN風。ホーン・セクションや壮大なコーラス・ワークも取り入れ、これまでとは違ったオーケストラルなプロダクションとなっている。ソングライターとしてMichaelの振り幅の広さを感じる。

Track.8「Hideaway」

感覚の違いはあれど、個人的にはこれぞサマー・アンセム!と叫びたいナンバー。アップリフティングなビートに煌びやかなエレクトロ、そして夏空に木霊しそうなほど爽快なファルセット・ヴォイス。どこまでも浮遊するような心地良さはPASSION PITならではの圧倒的オリジナリティ!理屈抜きに身を委ねてくれ!

Track.9「Two Veils To Hide My Face」

これはインタールード的な意味合いがあるかもしれない。想像を掻き立てる “私の顔を隠す2枚のベール”なるタイトル――憶測だが、男女混声で歌われる表現は2枚のベールだろうか?たった34秒間だ……しかし歌心溢れるこの数秒に、されど34秒間に詰まったマジックがここに、と表現したい。

Track.10「Love Is Greed」

“欲張りな愛”ゆえにおもちゃ箱をひっくり返したような、ワクワク&ドキドキの楽しさが満ちているナンバー。エレクトロとストリングスの細やかなアレンジにコミカルなコーラス・ワークと、とにかくキャッチーでとことんポップ。ラジオフレンドリーな仕上がりに、PASSION PITが世代問わず幅広い層に愛される理由がわかるだろう。

Track.11「It's Not My Fault, I'm Happy」

前作のレコーディングでMichaelは自分の声を40回ぐらい重ねて独自のハイトーン・ヴォイスを追求したそうだが、このナンバーもサビでもその手法を活かしたかな?そう感じさせるほど透き通ったファルセットが印象的なミドル・チューン。アルバムのエンディングにも近づき、切なさ漂う世界観が余計に寂寥感を誘ってくる。

Track.12「Where We Belong」

ラストはコズミックなエレクトロ・サウンドを大胆に取り込み、ストリングスを壮大に活かしたり、大仰ながら細部までアレンジの効いた職人芸を感じさせるナンバー。とりわけソウルフルな歌声とサウンドの妙味は感動的なまでに美しい。タイトルに倣い“私達はどこに属すか?”と問われれば、真意にオンリー・ワンと応えたい。
07年、PASSION PITはMichael Angelakosのソロ・プロジェクトとしてスタートした。その後、Ninja TuneよりSHUTTLE名義でアングラ・ヒップホップ~ブレイクビーツ作品をリリースしているNate Donmoyer、インディー・フォーク作品をMyspace上で発表しているIan Hultquist、ハルトクイストとバークリー音楽大学のクラスメイトでAngelakosの幼馴染みとルームメイトの関係にあったAyad Al Adhamy、そしてニュージャージー出身のJeff Apruzzeseを加え、5人編成のバンドとして活動を始める。

08年8月、Michaelが当時のガール・フレンドのためにバレンタイン・デーのプレゼントとして書き上げたとされる作品が評判になり、アメリカのインディー・レーベルFrenchkiss Recordsより6曲入りEP『Chunk Of Change』をリリースする。結局ガール・フレンドとは別れてしまったが、そのエピソードと共に内容が高く評価されインディー盤EPにして米MTVで特集が組まれるほどの話題となった。また収録曲「Sleepyhead」はNeon Gold Recordsの第1弾リリースとして7インチ・レコードでも発売、米iTunes Storeでは発表初週だけで15万以上ダウンロードされた。09年5月、Frenchkiss Recordsより1stアルバム『Manners』をリリース。前述の「Sleepyhead」の他に「The Reeling」や「Little Secrets」といった曲をヒットさせ、堂々のアルバム・デビューとなった。

10年、1stアルバム『Manners』に関する活動が一段落すると、Michaelが自身の双極性障害について語り始めた。精神病院に入院したことや自殺未遂の経験について話し、アルバム製作中は症状がひどく薬を飲んでいたことや、抽象的で曖昧な歌詞はダークなテーマに関するものだと明らかにした。またブレイクのきっかけになった最初のEPについて「ガール・フレンドのためのバレンタイン・デーのプレゼントとして作った作品」というエピソードの真相は「自分の病気で傷つけてしまった彼女への謝罪の手紙」でもあったと告白した。PASSION PITの音楽は明るく陽気なエレクトロ・ポップという一面と、意味深い歌詞世界の両面が複雑に絡み合って成り立っていることが明らかになった。また同年、Ayadは自身のレーベルBLACK BELL RECORDSをスタートさせている。

12年5月、ニュー・アルバムのリード・トラックとして「Take A Walk」を公開。続いて6月、新曲「I'll Be Alright」を公開。そして8月8日、待望の2ndアルバム『Gossamer』をリリースする。また、その直後の開催となるSUMMER SONIC 2012への出演が決定している。

GREEN DAY / RIHANNA / FRANZ FERDINAND / JAMIROQUAI / SIGUR ROS / NEW ORDER / GARBAGE / THE VACCINES / the HIATUS / 吉井和哉 / Adam Lambert / Calvin Harris / DEATH CAB FOR CUTIE / HOOBASTANK / Nelly Furtado / TEARS FOR FEARS / FOSTER THE PEOPLE / PASSION PIT / THE CARDIGANS plays Gran Turismo / CRYSTAL CASTLES / CAST / GOTYE / SBTRKT / ST.VINCENT / GRIMES / Mac Miller / TRIBES / AZEALIA BANKS / OTHER LIVES / [Champagne] / 髭 / モーモールルギャバン / Nothing's Carved In Stone / アルカラ ...and more

■SUMMER SONIC 2012オフィシャル・サイト

PASSION PIT インタビュー
[2010.03.03 UPDATE]

PASSION PIT 動画メッセージ
[2010.03.04 UPDATE]