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NEW ALBUM 『HELIGOLAND』
TOCP-66942 ¥2,500 (tax in)
2010/2/3 日本先行発売
日本盤のみ あの坂本龍一と高橋幸宏によるアルバム未収録曲のリミックス収録。 ボーナス・トラック「FATALISM」坂本龍一&高橋幸宏リミックス収録! 解説&歌詞/対訳付
<初回生産分のみ> 4色ジャケット仕様 グッズが当たる応募券付
2010/2/3 日本先行発売
日本盤のみ あの坂本龍一と高橋幸宏によるアルバム未収録曲のリミックス収録。 ボーナス・トラック「FATALISM」坂本龍一&高橋幸宏リミックス収録! 解説&歌詞/対訳付
<初回生産分のみ> 4色ジャケット仕様 グッズが当たる応募券付
MASSIVE ATTACKが、やっとアルバムをリリースする。やっとというか、MY BLOODY VALENTAINEみたいに噂ばかり先行してアルバムが出ることはないという状態になるんじゃないのと疑心暗鬼だったけど。
しかも、前作『100th Window』は実質的には3Dのソロ・アルバムだったわけで、3DとDaddy Gがタッグを組んだ本当の意味でのMASSIVE ATTACKのアルバムとなると『Mezzanine』以来とも言える。そうは言っても、別々のスタジオで制作を行ったらしく、二人の仲が完全に修復したわけではなさそうだけれど、ともかくこの素晴らしいアルバム『Heligoland』の完成を素直に喜びたい。
さて、7年も間が空けば、若い人の中にはMASSIVE ATTACKのことを知らない人も多いだろうから、簡単にMASSIVE ATTACKの歴史を振り返ってみよう。
イギリス・ブリストル出身のMASSIVE ATTACKの歴史は、1980年代まで遡る。当時、Daddy GはTHE WILD BUNCHというサウンド・システムを結成していたが、3DとMushroomの加入とそれまでのメンバーの脱退を受け、MASSIVE ATTACKとしての活動がスタート。1988年にはシングル「Any Love」をリリース。
1991年にファースト・アルバム『Blue Lines』をリリースし、その圧倒的なクオリティとHIP HOP、レゲエからソウル、JAZZなどあらゆるジャンルを飲み込んだ、浮遊感のあるサウンドで一気に評価を確立。その音楽性は、THE WILD BUNCH時代から親交のあるTRICKYやPORTISHEAD(ともに同郷ブリストル出身)等とともにトリップホップとして注目を集めることになる。
1994年にセカンド・アルバム『Protection』、1998年にロック色を強めた『Mezzanine』をリリース。『Mezzanine』は、 MASSIVE ATTACKに最も大きなセールス的成功をもたらしたアルバムとなったが、ギターを大胆に用いるなどこれまでとは違う音楽性を見せた『Mezzanine』に不満を持ったMushroomがこのアルバムを最後に脱退。
3DとDaddy Gの二人での活動となるが、2003年にリリースされた『100th Window』の制作には前述したように、Daddy Gは育児のために参加していない。ただ、Daddy Gも3Dが目指す音楽性や人間関係についていけない部分があったようで、これ以降二人による制作は進まなくなってしまった。
その後、3DはプロデューサーNeil Davidge(『Heligoland』でも3Dとともに制作を行い、重要な役割を果たしている)とのタッグで楽曲制作を行うなどしていたが、 MASSIVE ATTACKとしては2006年には完成と噂されていたニュー・アルバムのリリースが2010年まで延びてしまったというわけだ。こう考えると、12年ぶりのというよりも、二人のMASSIVE ATTACKとしては初のアルバム制作となったわけだ。それを別々のスタジオで行うこと自体(今ではそういう方法も珍しいことではなくなったとは言え)驚きだが、やはり二人の仲は完全修復とはいっていないようだ。ただ、それはそれとして、とにかくこのアルバムは『Mezzanine』とも『100th Window』とも異なる魅力を放っている。
この『Heligoland』は、豪華なゲスト陣にも目がいく。MASSIVE ATTACKと言えばHorace Andyはもちろんのこと、 Damon Alburn(BLUR/GORILLAZ) 、Hope Sandoval (Mazzy Star)、Dot Allison 、Guy Garvey(ELBOW)、Tunde Adebimpe(TV ON THE RADIO)、Martina Topley-Birdとヴォーカル参加だけを見てもこの陣容。
特に、Damon Alburnとのコラボがよほど良かったのか、「Splitting The Atom」ではベース、「Girl I Love You」ではキーボード、「Saturday Come Slow」ではヴォーカルと3曲も参加している。
このアルバムでは、前作『100th Window』ではまるで楽器のようでもあったヴォーカルが、はっきりとした輪郭を持つ歌として取り上げられているし、『Mezzanine』の恐ろしいほどにダークでメランコリックな世界観とも異なる温かみを持っている。
ある意味、『Blue Lines』にも似た質感を持っているのだが、『Blue Lines』がソウルやJAZZなどのフィーリングの上にあったのに対し、ゲストを見ても分かるが、『Heligoland』はやはり『Mezzanine』以降のロックへの接近がより顕著となっている。
TV ON THE RADIOのTunde Adebimpeがドラマティックな歌を聴かせる「Pray For Rain」に始まり、図太くフィジカルなビートにやられる「Babel」やギターとキーボードによるミニマルなナンバー「Psyche」では Martina Topley-Birdが凛とした歌声を聴かせる。
昨年10月にリリースされたシングル「Splitting The Atom」では、Horace Andyが、3DとDaddy Gとともに絡み合うようなヴォーカルを聴かせる。この神聖な儀式のような響きすら感じさせるダウン・テンポのトラックでは、Damon Alburnがサイケデリックなキーボードがさらに呪術的な雰囲気を醸し出している。
そして、「Girl I Love You」では、Damon Alburnの不気味にうごめくベースを軸にした、リヴァーヴのかかった音像の上でHorace Andyの美しい歌声が響く。この美しさと凶暴さを兼ね備えた曲が持つ不思議な覚醒感が、序盤のピークとなる。
アブストラクトな音世界が荘厳な歌へとはっきりとした輪郭を獲得していく「Flat Of The Blade」、ハンドクラップとピアノ、生々しいベース・ラインとHope Sandovalの妖艶なヴォーカルが絡み合う「Paradise Circus」、アルバムの中で最もロック色が全面に出た「Rush Minute」と続いて、Damon Alburnが歌うあまりにも美しいバラード「Saturday Come Slow」へと続く。シンプルなメロディの循環というMASSIVE ATTACKの特徴がここではその魅力を最大限に発揮している。Damon Alburnの歌とアコースティックなビート、壮大なストリングスが絡み合い、シネマティックな音が脳内を浸食してくる。
まるでまだまだ続きがあるんだと言わんばかりの力強さを持つ「Atlas Air」でアルバムが終わるところに、何か希望を感じるのは僕だけだろうか。
やっと実現した2人のMASSIVE ATTACKは、そのダークでメランコリックな世界観の中にもしっかりと光が宿る力強さがある。肉感的で生々しい音は、時に凶暴に時に温かく聴く者を侵食していく。このアルバムもまた、これまでのMASSIVE ATTACKの作品同様、高い中毒症状を世界中で引き起こすことになるだろう。(佐々木健治)
しかも、前作『100th Window』は実質的には3Dのソロ・アルバムだったわけで、3DとDaddy Gがタッグを組んだ本当の意味でのMASSIVE ATTACKのアルバムとなると『Mezzanine』以来とも言える。そうは言っても、別々のスタジオで制作を行ったらしく、二人の仲が完全に修復したわけではなさそうだけれど、ともかくこの素晴らしいアルバム『Heligoland』の完成を素直に喜びたい。
さて、7年も間が空けば、若い人の中にはMASSIVE ATTACKのことを知らない人も多いだろうから、簡単にMASSIVE ATTACKの歴史を振り返ってみよう。
イギリス・ブリストル出身のMASSIVE ATTACKの歴史は、1980年代まで遡る。当時、Daddy GはTHE WILD BUNCHというサウンド・システムを結成していたが、3DとMushroomの加入とそれまでのメンバーの脱退を受け、MASSIVE ATTACKとしての活動がスタート。1988年にはシングル「Any Love」をリリース。
1991年にファースト・アルバム『Blue Lines』をリリースし、その圧倒的なクオリティとHIP HOP、レゲエからソウル、JAZZなどあらゆるジャンルを飲み込んだ、浮遊感のあるサウンドで一気に評価を確立。その音楽性は、THE WILD BUNCH時代から親交のあるTRICKYやPORTISHEAD(ともに同郷ブリストル出身)等とともにトリップホップとして注目を集めることになる。
1994年にセカンド・アルバム『Protection』、1998年にロック色を強めた『Mezzanine』をリリース。『Mezzanine』は、 MASSIVE ATTACKに最も大きなセールス的成功をもたらしたアルバムとなったが、ギターを大胆に用いるなどこれまでとは違う音楽性を見せた『Mezzanine』に不満を持ったMushroomがこのアルバムを最後に脱退。
3DとDaddy Gの二人での活動となるが、2003年にリリースされた『100th Window』の制作には前述したように、Daddy Gは育児のために参加していない。ただ、Daddy Gも3Dが目指す音楽性や人間関係についていけない部分があったようで、これ以降二人による制作は進まなくなってしまった。
その後、3DはプロデューサーNeil Davidge(『Heligoland』でも3Dとともに制作を行い、重要な役割を果たしている)とのタッグで楽曲制作を行うなどしていたが、 MASSIVE ATTACKとしては2006年には完成と噂されていたニュー・アルバムのリリースが2010年まで延びてしまったというわけだ。こう考えると、12年ぶりのというよりも、二人のMASSIVE ATTACKとしては初のアルバム制作となったわけだ。それを別々のスタジオで行うこと自体(今ではそういう方法も珍しいことではなくなったとは言え)驚きだが、やはり二人の仲は完全修復とはいっていないようだ。ただ、それはそれとして、とにかくこのアルバムは『Mezzanine』とも『100th Window』とも異なる魅力を放っている。
この『Heligoland』は、豪華なゲスト陣にも目がいく。MASSIVE ATTACKと言えばHorace Andyはもちろんのこと、 Damon Alburn(BLUR/GORILLAZ) 、Hope Sandoval (Mazzy Star)、Dot Allison 、Guy Garvey(ELBOW)、Tunde Adebimpe(TV ON THE RADIO)、Martina Topley-Birdとヴォーカル参加だけを見てもこの陣容。
特に、Damon Alburnとのコラボがよほど良かったのか、「Splitting The Atom」ではベース、「Girl I Love You」ではキーボード、「Saturday Come Slow」ではヴォーカルと3曲も参加している。
このアルバムでは、前作『100th Window』ではまるで楽器のようでもあったヴォーカルが、はっきりとした輪郭を持つ歌として取り上げられているし、『Mezzanine』の恐ろしいほどにダークでメランコリックな世界観とも異なる温かみを持っている。
ある意味、『Blue Lines』にも似た質感を持っているのだが、『Blue Lines』がソウルやJAZZなどのフィーリングの上にあったのに対し、ゲストを見ても分かるが、『Heligoland』はやはり『Mezzanine』以降のロックへの接近がより顕著となっている。
TV ON THE RADIOのTunde Adebimpeがドラマティックな歌を聴かせる「Pray For Rain」に始まり、図太くフィジカルなビートにやられる「Babel」やギターとキーボードによるミニマルなナンバー「Psyche」では Martina Topley-Birdが凛とした歌声を聴かせる。
昨年10月にリリースされたシングル「Splitting The Atom」では、Horace Andyが、3DとDaddy Gとともに絡み合うようなヴォーカルを聴かせる。この神聖な儀式のような響きすら感じさせるダウン・テンポのトラックでは、Damon Alburnがサイケデリックなキーボードがさらに呪術的な雰囲気を醸し出している。
そして、「Girl I Love You」では、Damon Alburnの不気味にうごめくベースを軸にした、リヴァーヴのかかった音像の上でHorace Andyの美しい歌声が響く。この美しさと凶暴さを兼ね備えた曲が持つ不思議な覚醒感が、序盤のピークとなる。
アブストラクトな音世界が荘厳な歌へとはっきりとした輪郭を獲得していく「Flat Of The Blade」、ハンドクラップとピアノ、生々しいベース・ラインとHope Sandovalの妖艶なヴォーカルが絡み合う「Paradise Circus」、アルバムの中で最もロック色が全面に出た「Rush Minute」と続いて、Damon Alburnが歌うあまりにも美しいバラード「Saturday Come Slow」へと続く。シンプルなメロディの循環というMASSIVE ATTACKの特徴がここではその魅力を最大限に発揮している。Damon Alburnの歌とアコースティックなビート、壮大なストリングスが絡み合い、シネマティックな音が脳内を浸食してくる。
まるでまだまだ続きがあるんだと言わんばかりの力強さを持つ「Atlas Air」でアルバムが終わるところに、何か希望を感じるのは僕だけだろうか。
やっと実現した2人のMASSIVE ATTACKは、そのダークでメランコリックな世界観の中にもしっかりと光が宿る力強さがある。肉感的で生々しい音は、時に凶暴に時に温かく聴く者を侵食していく。このアルバムもまた、これまでのMASSIVE ATTACKの作品同様、高い中毒症状を世界中で引き起こすことになるだろう。(佐々木健治)
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『Blue Lines』 (1st ALBUM)
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『Protection』 (2nd ALBUM)
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『Mezzanine』 (3rd ALBUM)
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『100th Window』 (4th ALBUM)
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『Collected』 (BEST ALBUM)
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『Splitting The Atom EP』(PC配信限定)
MASSIVE ATTACK特集 | Skream! SPECIAL