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LIVE REPORT

Japanese

Nothing's Carved In Stone

Skream! マガジン 2018年07月号掲載

Nothing's Carved In Stone

Official Site

2018.05.22 @新木場STUDIO COAST

秦 理絵

"帰ってきたよ、新木場"――村松 拓(Vo/Gt)がそう放った。Nothing's Carved In Stoneが、3月8日の千葉LOOKを皮切りに、全国17ヶ所を回る全国ツアー"Mirror Ocean Tour"のファイナルを新木場STUDIO COASTで開催。バンド結成10年という節目の年だが、このタイミングで集大成のベスト・アルバムではなく、オリジナル・アルバム『Mirror Ocean』をリリースしたナッシングス(Nothing's Carved In Stone)。この日の公演は、あくなき進化を続ける彼らの今をそのまま体現するライヴだった。

チケットはソールド・アウト。満員の会場に真っ赤なライティングが激しく光るなか、村松、生形真一(Gt)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr)の4人がステージに現れた。最新アルバムの表題曲「Mirror Ocean」からライヴはスタート。10年、いや、個々で言えば、それ以前からライヴハウスで鍛え上げてきた強靭な4つの個性が歪に調和し合う曲たちは、まさに"Nothing's Carved In Stone"としか言い表すことができない音楽だ。ハンドマイクの村松が日向と絡み合いながら歌ったダイナミックな「In Future」、日向の鬼のようなスラップと大喜多が叩き出すダンサブルなリズムが自然と身体を揺り動かす「Out of Control」、キャッチーな歌メロの裏で生形が弾き倒すギターにも耳を奪われる「You're in Motion」。照明以外の派手な演出は当然ないが、ただ4人が演奏する姿に魅了され、目が離せない。

"いろいろなところで、いろいろな気持ちを吸収して、新木場に立ってます。ツアー・ファイナルです"。村松のMCは手短かななか、タイトル・コールで大きな歓声が沸いたのは「Brotherhood」。やんちゃで攻撃的なアップ・ナンバーを立て続けに披露したライヴ冒頭とは一転して、中盤は、辣腕のプレイヤーだからこそ生み出せる変幻自在のグルーヴと、フロントマン、村松が醸し出す大人の色気とが、さらにディープなナッシングスの世界へと聴き手を導いていった。おしゃれさと泥臭さが融合したミディアム・テンポの「Flowers」から、鋭角的なバンドの演奏に伸びやかなメロディを湛えた「Stories」へ。メンバー個々の貪欲な探求心が、今まで以上に幅広いサウンド・アプローチを実現した最新アルバム『Mirror Ocean』の楽曲たち。ナッシングスが、一瞬たりとも同じ場所に留まらず、"最新が最強"を実行しながら、常に新しい興奮をもたらすバンドであることを伝えていた。

"ナッシングス10年目に入りました。始まってから今日まで、俺たちがやり続けてる軸は、みんなの前でこうやってライヴをすることだと思っています"。そんな言葉と共に続けた「村雨の中で」では、最初のフレーズを歌ったあと、村松がマイクを通さずに"ありがとう!"と叫ぶ姿が印象的だった。さらに、「The Poison Bloom」でも、"10年"というキーワードに触れながら、"この曲を今やることで、ナッシングスが存在する意味が伝わると思います"と言葉を添える。ウォウウォウというシンガロングを巻き起こしたその曲の途中には、村松がメンバー全員のフルネームを呼び、短いソロ・プレイで沸かせると、"今日はお前たちが主役だー!"とあらん限りの声で叫んだ。何にも媚びず、ただストイックに自分たちの音楽を貫いてきた彼らは、10年の間、お客さんの絆と共に歩んできたバンドである。

"あ~、やっぱりいいわ。楽しい。へへへ(笑)。喋ろうと思うことはあるんだけど......ぐだぐだ言わなくても、もういっかな"。村松の感極まったような言葉だけを残して、ライヴは終盤戦へ。集まったお客さんと出会ったことの奇跡を綴ったという「Mythology」から、日向のモンキーダンスに合わせてフロアも踊ったロックンロール・ナンバー「Rendaman」、さらにフロアのハンドクラップや大合唱を呼んだ「Like a Shooting Star」や「YOUTH City」を畳み掛けると、ラスト1曲はバラード曲「シナプスの砂浜」だった。村松が"また会おうぜ。新木場に愛を込めて捧げます"と言うと、ステージ前面に紗幕が落ち、そこにシナプスが繋ぐ神経回路と砂浜とがシンクロする映像が映し出される。アコースティック・ギターと共に奏でる美しくも包容力のあるサウンドと、優しく紡がれるメロディ。迷いのなかでも、明日を信じようと静かな情熱を燃やす希望の歌は、この日のライヴの終わりに相応しかった。

アンコールでは、"もとは東北のことを歌った曲だけど、今回のツアーを通じて、みんなとの繋がりを感じる曲になりました"と想いを語った「青の雫」に続けて、陽性のロック・ナンバー「Winter Starts」を披露。最後に、すでに発表されている10月7日の初の日本武道館ワンマン"Nothing's Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN"の開催について、改めてメンバーの口から直接伝えられると、フロアからはそれを祝福するような長い長い拍手が沸き起こった。"俺たちはライヴハウス育ちのバンドだから、武道館でもいつもどおりのライヴをやる"と村松。生形も"武道館をやってそこから先......まだ言えないけど、いろいろ考えてるから"と、嬉しい言葉を添える。そして、ラスト・ナンバーは「Isolation」。バンドの始まりを告げた1stアルバム『PARALLEL LIVES』の収録曲というナッシングスの原点の曲で大暴れして、ライヴは幕を閉じた。