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LIVE REPORT

Japanese

魔法少女になり隊

Skream! マガジン 2018年03月号掲載

2018.01.28 @渋谷TSUTAYA O-EAST

Writer 秦 理絵

RPGでもメタルでもアニソンでも、自分たちの"これが好き!"に、"みんなもきっと好きでしょ?"と強制的に巻き込んでしまう強引さが、魔法少女になり隊のライヴにはある。昨年9月にリリースされた初のフル・アルバム『魔法少女になり隊~まだ知らぬ勇者たちへ~』を携えて、12月から開催してきた全国ワンマン・ツアー。そのファイナルとなった渋谷TSUTAYA O-EAST公演は、まさにそんなライヴだった。メジャー・デビューから1年半。常に新たな"面白い!"を探求しながら駆け抜けてきたましょ隊(魔法少女になり隊)だからこその圧倒的な楽しさが全編に溢れていた。

ライヴのオープニングはファミコン時代のドラクエを彷彿とさせるRPG映像から始まった。巨大なスクリーンに映し出されたのは、ましょ隊の4人で構成されたパーティーが悪いモンスターを倒すための旅に出るというストーリー。と同時に、火寺バジル(Vo)、gari(VJ/Vo)、ウイ・ビトン(Gt)、明治(Gt/Vo)の4人がステージ際に一列に並ぶと、「冒険の書1」が演奏の口火を切った。超絶ドラムと煌びやかなシンセのシーケンスに乗せて、エキゾチックな存在感を放つ明治と、ステージ上ではやんちゃなギター・キッズへと変貌するバンドの頭脳、ウイのツイン・ギターが両翼を固め、バジルのキュートな歌声とgariのシャウトとが目まぐるしく交錯する。"エブリバディ! 最後まで仲良くやっていけたらと思うのでよろしくぅ!"。ハイテンションなgariの掛け声を合図に、獰猛なメタル・サウンドがヘドバンの嵐を呼んだ「テッペン伝説」へ。この日の本編にMCはなし。ひたすらストイックに楽曲を畳み掛けていく。

開始から8曲を終えたところで、最新アルバムで初めて明治がメイン・ヴォーカルを務めたシンプルなギター・ロック「ヒトリ サク ラジオ」を披露。ステージに美しい光が注がれるなか、透明感のある歌声を響かせた明治は、以前のインタビューで"かつてヴォーカルをやりたかった時期があった"と言っていた。ましょ隊という"なんでもありのバンド"だからこそ、その願いも叶えることができた、と。ひたすら自分たちが楽しいことに忠実に、ジャンルも、パートの縛りも軽々と超える、ましょ隊だからこそすくい上げられた想いがある。

その後、再びオープニングの続編となるスクリーンの映像が流れて、見事モンスターを撃破すると、後半戦はgariのシャウトをメインに暴走する「Call me From Hell」で、さらに熱狂は加速していった。祭囃子のビートに乗せて、バジルが×印の扇子で踊った「ヒメサマスピリッツ」から、バジルとgariがパラパラ風のダンスを決めた「RE-BI-TE-TO」へと辿り着くころには、会場のボルテージはマックスに。「願い星」ではメンバー全員がコーラスを紡ぐ感動的なハイライトを築き上げると、ラストはメジャー・デビュー曲「KI-RA-RI」で締めくくった。"進め!進め!"というフレーズで、バジルは人差し指で力強く正面を指さしていた。魔女の呪いによって、歌以外に喋ることのできない彼女だが、その姿は"この先の未来にある最高の景色を一緒に見に行こう"という、バンドの意志を伝えていた。

アンコールでは、バジルがスケッチブックに綴った想いをgariが読み上げた。"みんなのおかげでここまでこれました。これからもまだまだ一緒に冒険してくれますか?"。当然のように会場からは"イエス"を意味する大きな歓声が巻き起こる。そして、最後はインディーズ時代の1stシングル収録曲「ちちんぷい」でフィニッシュ。独自のバンド道を切り拓いてきた魔法少女になり隊は、あのころと変わらないまま、これからも進化し続けていくだろう。


[Setlist]
1. 冒険の書1
2. my!show!time!
3. BA・BA・BA ばけ~しょん
4. テッペン伝説
5. アルテ魔ダンテ
6. ハッピーエンドの魔法
7. 革命のマスク
8. ヒトリ サク ラジオ
9. Call me From Hell
10. ヒメサマスピリッツ
11. おジャ魔女カーニバル!!
12. MEGA DASH
13. RE-BI-TE-TO
14. first star
15. 完全無敵のぶっとバスターX
16. 願い星
17. KI-RA-RI
en. ちちんぷい

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