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LIVE REPORT

Japanese

辻村有記

Skream! マガジン 2018年01月号掲載

2017.12.12 @渋谷Glad

Writer 吉羽 さおり

2016年に解散した元HaKUのフロントマン 辻村有記が、東京と大阪で"Into U"と題した初のワンマン・ライヴを開催した。7月にソロのデビュー・シングル「Ame Dance」を、8月に「Light」をそれぞれ配信リリースしたが、まだCDリリースはないなかでのワンマンとなる。

開演前のステージには"Into U"の文字が映し出された映像用の特殊スクリーン"Wonder Screen"がかかっており、その奥にはドラム・セットと積み上がった機材などが見える。このライヴは、辻村とドラマー 井上 司(fox capture plan)のふたりの編成でのステージ。バンドとはまた違った、新たな試みのあるライヴへの期待が募る。

アッパーな井上のドラム・ビートとカラフルなエレクトロ・サウンドによる「Into U -Opening-」で、ライヴはスタートした。辻村が高く手を掲げると、観客は手拍子で応える。Wonder Screenには、近未来型エンタテインメント集団"白A"が手掛ける映像が映し出され、サウンドをファンタスティックに、そしてアブストラクトな映像でクールに引き立てていった。躍動的なドラミングと、カラフルで濃密なサウンド、幻想的な映像、そこに辻村のイノセントで物語性のあるヴォーカルがリズミカルに言葉を紡いでいく。四つ打ちのダンサブルなエレクトロ・ポップ「In My Life」では、"会いたかったよ、渋谷"とフロアに呼び掛ける辻村。マイク1本を手に、信頼を寄せる井上のビートに身を委ね、高揚感のあるサウンドを全身に浴びるようにして、自由自在にステージを跳ね回っている姿には、新しいことが始まっているエネルギーを感じる。続く曲では、スクリーンはなしで、コール&レスポンスをしたり、「おとぎ話」では、辻村もスティックを持ってドラムのパットを叩いたり、よりダイレクトな音の交換で会場を盛り上げた。"今年2回目のステージですが、気づいてますか? まだCDはリリースしていません! にも関わらず来てくれたみなさんが大好きでたまらない"と辻村。そして改めて、"「Into U」へようこそ"と告げ、"歌って、踊って、自由に楽しんでいってほしい"と笑顔を見せた。

中盤には、1月31日にリリースとなる待望の1st EP『POP』に収録される、「Let Me Go」や「How Are You」、「I Won't Forget」などを、再び映像とのコラボレーションで魅せる。辻村自身の動きとシンクロした映像のエフェクトなど、臨場感のある演出も楽しい。辻村のルーツでもある北欧産エレクトロを探求し、彼のポップ・フィルターを通してキャッチーで、アグレッシヴでありながらも歌心のあるサウンドは人懐こい。観客は新しい曲で、新しい体験をしているわけだが、会場が居心地のよい空間となっているのは、サウンドや歌のキャッチーさがあるからだろう。またウクレレを用いた「Winter Is Coming」や、辻村自身が大事な曲と語った「Actions Over Words」、そしてデビュー・シングルとなった「Ame Dance」を光の洪水の中で歌い、"一緒に夜を越えていこう"と躍動するビートを歓喜で染めた。アンコールでは、この日初めてギターを抱え「Light」を弾きながら歌った、辻村。ファンにとっては、まだまだ曲の情報などが少ないなかでの初ワンマンとなったが、様々な魅せ方で楽しませるステージであり、またそういった創造性を引き出していくイマジネイティヴな曲、サウンドの可能性に触れる夜となった。作品がリリースされ、ここからさらにポップ・フィールドへ乗り出して見せてくれるだろう、新しい夢にも期待したい。


[Setlist]
1. Into U -Opening-
2. In My Life
3. Hate Love Song
4. おとぎ話
5. Let Me Go
6. How Are You
7. Sounds Like Feel It -introduction(rearrenge)
8. Sounds Like You Feel It(rearrenge)
9. Winter Is Coming
10. I Won't Forget
11. I Told You -You Are Gone x Snow(rearrenge)
12. Wonderland
13. Actions Over Words
14. Brave
15. Ame Dance
en1. Light

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