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LIVE REPORT

Japanese

Pyramid ACT ~Hand In Hand~

Skream! マガジン 2017年10月号掲載

2017.09.14 @Zepp Tokyo

Writer 石角 友香

常に100パーセント、命を燃やして音を鳴らしている同志―大阪では9mm Parabellum Bullet(以下:9mm)が、名古屋ではTHE BACK HORNが、各々"~カオスの百年~"、"~KYO-MEI~"と自主企画名をサブ・タイトルに冠し、ツアー・ファイナルのこの日はNothing's Carved In Stone(以下:NCIS)の企画名"~Hand In Hand~"と銘打たれて、濃密且つ開かれたアクトが展開された。

1番手は9mm。7thアルバム『BABEL』ツアー(2017年6月に行われた"TOUR OF BABEL")からの陣形である、サポート・ギタリストにHERE 武田将幸とfolca 為川裕也を加えた編成で、重厚なギター・シンフォニーが1曲目の「ロング・グッドバイ」から高い完成度でフロアを支配する。ダーク・ロマンな「ガラスの街のアリス」、菅原卓郎(Vo/Gt)の"戦えー!"の一声とともにサビのシンガロングにフロアの心情も熱くなる「Everyone is fighting on this stage of lonely」も見入ってしまうほどの緊張感。菅原はMCで新作は自分たちの金字塔であると言い、"金字塔って実はピラミッドのことなんだって。何が言いたいかってピラミッドは多くの人の力がなければ作れないのと同じように、ライヴも何かが足りなくても作れないんだよ!"と、9mmがピンチのときに助けてくれたTHE BACK HORN 山田将司(Vo)やNCIS 村松 拓(Vo/Gt)にも触れながら、バンドの今を見守るファンにも感謝していたのだ。「Punishment」での中村和彦(Ba)からかみじょうちひろ(Dr)まで5人横一列の戦隊ヒーロー感も楽しめる域に達した今年の9mmは頼もしい。

2番手はTHE BACK HORN。1曲目の「ブラックホールバースデイ」から、いつにも増してネジが外れたように肉体から自由になろうとしている菅波栄純(Gt)に釘づけになる。ひたひた迫ってくる印象の楽曲同様、深遠な世界を作る演出も功を奏する。特に、断罪を言い渡すようなドラマチックなギターから始まり物語が展開していく「悪人」が高い完成度を誇り、イントロだけで胸が締めつけられる「美しい名前」の2曲が作り出した、彼らならではの死生観の表現は、同志との親密な3マンだからこそ、その深度も研ぎ澄まされたものになるのかもしれないと感じた。そして優しさを陽気なアイリッシュ・パンク・テイストに乗せたベスト盤に収録される新曲「グローリア」への反応も上々。この3バンドの共通点として山田は"今、この時代を刻み続けて、今を鳴らし続けていること"と言った。まさに彼らの「戦う君よ」だった。

そして本日のホスト・バンド、NCIS。言うまでもないが、ギター・ロックの譲れない部分を生形真一(Gt)は堅持しつつ、ジャンルを越境していく日向秀和(Ba)との化学反応で限りなく体験的なバンド・サウンドに到達させたのだな、とこの日改めて感じた。まぁそれにしても冒頭から「Spirit Inspiration」、「Like a Shooting Star」という、確かなスキルでフィジカルに訴え掛け、誰もが身体を動かすキラー・チューンの連投。スパニッシュなイメージのイントロから人力テクノ的なピークに持っていくリズムに鼓舞される「Milestone」など、もう今日は"バンド・アンサンブル五つ星"級を連続で体感しすぎる贅沢極まりない日だ。さて最後の"ピラミッド・トーク"は当然、村松。"ピラミッドの1つ目の角は9mm、2つ目の角はバックホーン、3つ目はナッシングス。でもピラミッドって上から見ると四角にも見える。もうひとつの角はあなたたちですよ!"と言えば、フロアもそんなことは百も承知とばかりに呼応していた。アンコールでは山田と菅原を呼び込んで「Shimmer Song」を共演。生形のソロを正座して見る菅原と村松という普段ステージで見れないシーンも。素直で開かれた存在であることも、彼らが更新してきたロック・バンドの姿だ。またこの3マンに再会したいと切に願う。


[Setlist]
■9mm Parabellum Bullet
1.ロング・グッドバイ
2. Story of Glory
3. ガラスの街のアリス
4. Lost!!
5. Everyone is fighting on this stage of lonely
6. それから
7. ハートに火をつけて
8. Cold Edge
9. Punishment
10. 太陽が欲しいだけ

■THE BACK HORN
1. ブラックホールバースデイ
2. 孤独を繋いで
3. 罠
4. 悪人
5. 美しい名前
6. グローリア
7. コバルトブルー
8. 刃

■Nothing's Carved In Stone
1. Spirit Inspiration
2. Like a Shooting Star
3. The Poison Bloom
4. Red Light
5. Milestone
6. In Future
7. Sing
8. Out of Control
9. November 15th
En1. Shimmer Song
En2. Isolation

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