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LIVE REPORT

Japanese

海北大輔 / hozzy / 船津陽史 / 小山恭平(O.A.)

Skream! マガジン 2017年08月号掲載

2017.06.25 @下北沢LIVEHOLIC

秦 理絵

LIVEHOLIC周年イベントVol.16は昼公演で、4組のロック・バンドからヴォーカリストが弾き語りで出演した。オープニング・アクトのCamping Trailer 小山恭平を始め、the irony 船津陽史、藍坊主 hozzy、LOST IN TIME 海北大輔。それぞれアコースティック・ギターやキーボード、ループ・マシーンなどを使って、言葉を大切にしたシンプルな歌の力でアットホームな空間を作り上げた。




サポート・キーボードと共にステージに現れたオープニング・アクトの小山恭平は、「ランゲージライク」を皮切りにスロー・テンポな楽曲を3曲披露してイベントの幕を開けた。幻想的な音像を得意とするCamping Trailerのバンド・アレンジとは異なり、ピアノの弾き語りでは小山のソウルフルな歌声と美しいメロディの輪郭がくっきりと浮かび上がる。"バンドの大切な曲です"と紹介した「Get Ready」は、まるで物語を紡ぐように空想と現実の境目を曖昧にしながら、優しく聴き手の背中を押すナンバーだった。




"ライヴで歌うときは6時間前に起きるんだけど、今日は10時入りやったけんさ。......わかるよね? 頑張ります(笑)"という気さくなMCでフロアを和ませた本編のトップバッターは船津陽史。穏やかにアコースティック・ギターを弾きながら夏の思い出を描いた「夏の面影」から、軽やかなハンドクラップを誘った「蒲公英」など、抜群に伸びやかな歌声が優しくフロアに響き渡った。そのメロディに、言葉に、想いがしっかりと乗った情感豊かな歌こそが船津の大きな魅力だ。"悩んでるとき、支えてくれる人は絶対におるけん"と語り掛けた「光の指す方向へ」や、地元・九州から上京してきた自分自身の決意を綴った「軌跡」など、決して背伸びすることのない等身大の歌が熱かった。




続いて登場したhozzyは、「ステラー」のパワフルな第一声からガツンと会場の雰囲気を変えた。"20歳のときにお金がなさすぎて、帰り道に全部の自販機の下を漁ってたら......なんとタバコを買えたんですよ(笑)"という貧乏エピソードを披露してから歌い始めたのは「青葉台の夜」。普通なら隠してしまうようなかっこ悪いエピソードをあえて曝け出す潔さ。それが藍坊主のかっこよさでもある。途中、音響トラブルのためマイクを通さずに歌う場面もあったが、それがまたhozzyの飾らない魅力を引き立てて良かった。新曲として披露された「かさぶた」は、不器用でも、時に道を見失いながらも、前に進むことを止めずに進み続けるバンドの歩みに重なる、とても泥臭い歌だった。





海北大輔はかつてLIVEHOLICができる前、同じビルにあった下北沢屋根裏が縁のあるライヴハウスだったことに触れて「小さな町の小さな唄」でライヴをスタートした。この日のすべての出演者がそうだったように、歌い手の人柄はそのまま音楽へと滲み出る。繊細で感情豊かな船津、不器用でまっすぐなhozzy、音楽に対して誠実な海北。そのステージで海北は「灰色の夜明け」を始め、ループ・マシーンで丁寧に音を積み重ね、大人っぽい曲調のなかで円熟の歌声を聴かせるなど、アコースティック・ギター1本ながらも様々な音楽の世界を見せてくれた。アンコールで「30」を歌うとき、海北は"これからも素敵な音楽と出会い続けてください"と言った。それは音楽が持つ理屈を超えたパワーを愚直に信じる海北らしい別れの言葉だった。