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LIVE REPORT

Japanese

Permanent vol.2

Skream! マガジン 2017年07月号掲載

ORANGE POST REASON

Official Site

2017.05.22 @下北沢LIVEHOLIC

秦 理絵

Skream!編集部が若手アーティストをピックアップする、新しいライヴ・イベントとして今年4月に始動した"Permanent"の第2回が、下北沢LIVEHOLICにて開催された。今回の出演者はORANGE POST REASON、the cibo、Moshu、256の4組。まだ全国的には無名だが、今後の成長に期待を寄せずにはいられないバンドたちをいま知ってほしい。そんな編集部の熱い想いに応えるように、この日出演した4組は、それぞれ自分たちだけのオリジナリティを思う存分ぶつけ合う熱いステージを見せてくれた。
 
まず1組目は、群馬県を中心に活動する3ピース・バンド Moshu(モシュ)。SEに乗せて巻田俊介(Ba)、小林ヒロト(Gt/Vo)、ぱや(Dr)の3人がステージに現れると、小林がエレキ・ギターをかき鳴らしながらひとりで歌い出した「nameless」からライヴは幕を開けた。次第に加わるバンド・サウンド。がさりと心のひだをなぞるような小林のハスキーな歌声が印象的だ。"毎日、歯を食いしばって生きる俺たちの未来に、ありったけの愛を込めて1曲"と紹介した「喧騒に消える僕等の声に愛を」を始め、曲と曲との間にはフロントマンの小林がバンドの意志を熱い言葉で訴え掛けてきた。明日も今日と同じように笑い合って暮らせたら――そんな簡単で難しい命題のために、Moshuは声を嗄らしていた。ラストはブルーの照明のなか、淡いコーラスが楽曲をセンチメンタルに彩った「架空」。不確かな未来のために真摯に心を燃やすまっすぐな歌声が鮮烈な印象を残してくれた。
 
"深く深く潜ってしまえ!"。1曲目「ウォーターブルー」の歌詞を引用し、藤原裕輔(Vo/Gt)が不敵なひと言を放ってスタートしたORANGE POST REASON(オレンジポストリーズン)。そのフロントマン 藤原を始め、折原大輔(Ba)、坂口 亮(Gt)、山﨑涼平(Dr)の4人で構成される長崎出身のギター・ロック・バンドだ。出会いと別れのほろ苦い景色をオレンジ色のライティングのなかで爽やかに届けた「プロローグ」から、軽快なビートが自然とハンドクラップを誘った踊れるロック・ナンバー「ソーダ」へ。その楽曲はとても表情が豊かだ。"知っている人も知らない人もいると思うけど、俺はあんたたちに歌いに来たんだよ"。ヴォーカルの藤原が感情を高ぶらせて放つ言葉は一切飾り気がなくて、だからこそシンプルな強さがあった。疾走感のあるサウンドに乗せて、回り道をしながらも自分らしく生きることの大切さを歌い上げた「3mm」でライヴを締めくくったORANGE POST REASON。揺るぎないメッセージのためにバンドがひとつの塊になる、そんな泥臭いステージだった。
 
続いては、四つ打ちのリズムに乗せた抜けのいいサビのメロディに合わせて、ミラーボールの美しい光で照らした「アイタクテ」から会場を自分たちのカラーに染め上げた256(ニーゴーロク)。スイスからの帰国子女だという池田 光(Gt/Vo)を筆頭に、草野 仁(Gt)、本庄拓也(Ba)、中嶋将大(Dr)からなる平均年齢21歳の4人組ポップ・ロック・バンドだ。活動拠点は東京。そんな彼ららしいスタイリッシュな雰囲気でオーディエンスをゆったりと横に揺らした「SIGNAL」では、本庄の躍動感のあるベースの存在感が抜群だった。ミディアム・テンポの「壊れかけのメリーゴーランド」や痛快なロック・バラード「渡り鳥」では心の琴線に触れる繊細なメロディ・ラインが素晴らしかった。随所に挟まれる草野の華やかなギターのフレーズも、その端正な歌メロを何倍にも美しく引き立てていた。全6曲のステージの最後を、拭い去ることのできない臆病な心をありのままに描いた「東京の空」で締めくくった256。彼らには若さを言い訳にしない真摯なショーマンシップが備わっていた。
 
この日のラストを飾ったのは、神戸発のオルタナティヴ・ロック・バンド the cibo(シボ)。前川翔吾(Vo/Gt)とミブリュウヤ(Ba)のふたりにサポート・ドラムを加えた3人編成だ。1曲目の「in the future」から繊細且つ鋭利な轟音サウンドに耽美なメロディを乗せて、聴き手の心をかき乱していく。"徐々に熱を帯びていこうぜ。このスモークのように俺らの音楽が包み込んで、その空気を肺いっぱいに吸い込んで、共に気持ちよくなろう"。そんな詩的な言葉で前川が語り掛けたあと、バンドが知名度を上げるきっかけになった「今宵、駆け落ちる前に」へと続いた。そこには緻密に構築された音源の中で程よく制御されたthe ciboとは別の、荒ぶる衝動をまったく隠そうとしない獣のような姿があった。ラスト・ナンバー「7th chord」では前川とミブがフロアへと降り立ち、それぞれ楽器を激しくかき鳴らしてフィニッシュ。まさに音でオーディエンスを酔わせる、そんな強引で熱いステージだった。