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ミミノコロックフェス

Skream! マガジン 2017年07月号掲載

BOYS END SWING GIRL

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メランコリック写楽

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嘘とカメレオン

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神はサイコロを振らない

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2017.06.11 @吉祥寺ライヴハウス5会場

蜂須賀 ちなみ

吉祥寺のライヴ・シーン活性化を目指して、"ミミノコロック=耳に残るロック"をテーマに開催された"ミミノコロック吉祥寺~supported by Skream!~"。もともとはNUMBER VOGELの主催フェスとして立ち上げられたものだが、バンド解散後も元メンバーの小平雄希が携わる形でイベントは引き継がれ、このたび二度目の開催を迎えた。5つのライヴハウスに総勢38組のアーティストが集結したが、以下ではそのうち10組を駆け足で紹介していこう。



超満員のCRESCENDOにてイベントの幕を切って落としたのは、BOYS END SWING GIRL。冨塚大地(Vo/Gt)が先日路上ライヴを行ったと報告する場面もあったが、全体的に"今を生きるための歌"というバンドの軸を打ち出した演奏となっていたのは、自分たちの音楽を求めてやってきた人への誠意や愛情の表れだろう。"たぶんここを任されたのは仲間だからじゃねぇ。そんな甘っちょろい関係じゃなかったからよ"と語るのは、一番大きな会場であるCLUB SEATAのトップバッターを務めたBARICANG。かねてからの盟友、そして夢の岐路に立つ人々の背を押すように、その歌はどこまでもまっすぐに、力強く響いていく。



続くFOMAREはシンプルなサウンドが持ち味の3ピースだが、ただ直球なだけでなく、メンバーの出身地である群馬の原風景を彷彿とさせるような切なさが滲んでいるのがいい。"歌うだけじゃなくて大事なものを残していけたら"、"全力でライヴやって帰ります、よろしく!"という言葉とともに、全6曲を立て続けに放った。現在ツアー中のウソツキは、最新作のリード・トラック「惑星TOKYO」でスタート。同期を取り入れたサウンドは空間まるごと呑み込むように広がり、会場のキャパシティを悠々と飛び越える。事前インタビュー(※Skream!2017年5月号掲載)で公言していたとおり、ラストの「新木場発、銀河鉄道」では"吉祥寺発 下北沢へ"という歌詞替えもバッチリ決まった。
昨年度の"MASH FIGHT!"でグランプリを獲得したSaucy Dogは、飛躍の裏側で石原慎也(Vo/Gt)の大切な人が亡くなったこと、ライヴのため最後に会うことも叶わなかったことを告白。"大好きな音楽に大好きな人を奪われた。それでも歌いたい歌がある"と語る彼の絶唱とそれを支えるバンド・サウンドは3人の覚悟そのものだ。


18時ちょうど、CRESCENDOに登場したのは、嘘とカメレオンだ。紅一点のチャム(Vo)の妖しげな存在感と変拍子などを多用した緻密な曲構成が武器の彼ら。演奏時のシリアスな雰囲気から一転、MCでは渡辺壮亮(Gt)が大好きな声優のバースデー・イベントを断念してこの場に来たことを熱を込めて語るなど、まだまだ底の見えないバンドである。CLUB SEATAの神はサイコロを振らないは、"笑わせようとか踊らせようとか、そういうことはしません。俺らは俺らなりのロックを鳴らしたい"と最新作リード曲「フラクタル」を鳴らしきる。身体を動かしながら盛り上がるというよりも、バンドの存在証明を受け止めるようにじっと聴き入るオーディエンスの姿が印象的だった。


そしてSHUFFLEへ移動。メランコリック写楽は、ももす(Vo)のキュートなハイトーンがいきなり炸裂するオープニングでインパクトを残す。演奏時はメンバーの見せ場が訪れるたびに歓声が上がる、MCはオーディエンスとコミュニケーションをとるようにしながら進む、などアットホームな雰囲気を保ったまま、場内の熱量は上昇していく。WARPのトリを務めたab initioは、SHIMBASHI熊田(Dr)の脱退前ラスト・ライヴということで多数のバンドマンもフロアに集合。"精一杯歌っていきます。4人でab initioです"という宮崎優人(Gt/Vo)の言葉とともに届けられたのは、TOWER RECORDS吉祥寺店&会場限定で販売されているシングル表題曲「耳をすませば」だった。


このイベントを堂々と締めくくったのは、CLUB SEATAのthe irony。"全員が最高のミミノコロックフェスだったって言えるように全力を尽くします! ついてきてくれる人、どれだけいますか!?"と投げ掛けながら、シンガロングをも引き連れてバンド・サウンドは疾走する。この9時間超の間、the ironyを始め、多くの出演者が"耳に残るだけでなく、心にも宿る音楽を"という趣旨のMCをしていたのが印象的だったが、オーディエンスが自発的にピースサインを掲げたあの光景がこのイベントを象徴していたと言えるだろう。耳に残るロックがもたらすのは、かけがえのない記憶であり、心の火種である。ライヴハウスを出たあとのオーディエンス、そして出演者たちの背中をも強く押してくれるような、懐の深いサーキット・イベントだった。