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LIVE REPORT

Japanese

ザ・チャレンジ / HINTO

Skream! マガジン 2017年07月号掲載

ザ・チャレンジ

Official Site

2017.06.10 @下北沢LIVEHOLIC

松井 恵梨菜

HINTOもザ・チャレンジも、メンバーそれぞれがキャリアのあるバンド。酸いも甘いも噛み分けてきた、そして遊び心を忘れない大人たちが、それぞれの形で"朝まで踊ろうぜ"と最高に楽しい音楽の遊び方を提案してくれた――総括すると、そんな一夜だった。




下北沢LIVEHOLICオープン2周年イベント2日目、先手はHINTO。安部コウセイ(Vo/Gt)と伊東真一(Gt)によるアコースティック・ユニット"堕落モーションFOLK2"での出演も含めれば、こけら落としから2周年まで、彼らは下北沢LIVEHOLICの記念イベントにおいて唯一の皆勤賞だ。オープナーは「バブルなラブ」で、ほのかに夏の香りがする穏やかな幕開け。しかし1曲の中でも、彼らは大胆に曲を展開、しかもシームレスに繋いでいく。なかでも伊東のギターは"これ全部ギターで鳴らしちゃうの!?"という素朴な驚きを禁じ得ないレベルの多彩さで、ギターだけに注目していても全然飽きない(ザ・チャレンジの沢田チャレンジいわく、エフェクターを推定30~40個くらい使用)。新曲「summergazer」でのコウセイ、伊東、安部光広(Ba)、菱谷"ビッツ"昌弘(Dr)の4人それぞれの楽器の絡みも、心をくすぐるような絶妙さで抜群に心地よかった。HINTOの演奏は、本当に音楽が好きで、造詣が深い集団だということが音のひとつひとつから伝わってくる。この日はステージの性質上通常の立ち位置が組めないため、コウセイいわく、"こだわり派のバンドに見せたくて、一時期やっていた立ち位置"にしてみたということで、彼が下手に立ち、ステージ中央を空けて4人が弧を描くように並ぶスタイル。全員の演奏がよく見えるうえに、そのセッションの巧みさも目の当たりにさせられる。そして、"歴史に名を刻むであろう曲をやります。刮目せよ!"と大仰な前振りで始まったのは、新曲「DREAMdeath」。あからさまに妖しげなリフが鳴り始めたかと思えば、コテコテのメタルに"death! death!"の掛け声。そのぶっ飛び具合に顔がにやけるのを堪えていたが、コウセイが曲の途中、デス・ヴォイス気味に"オーライ......"と零したのが面白すぎてつい笑ってしまった。卓越したプレイでもって、完全にハメを外す様は非常に痛快且つあっぱれなもので、そういう遊び心を忘れないところもまたHINTOの魅力だろう。またこの日、たびたびMCで"梅雨"というワードが出ていたが、「風鈴」からの、波の音と恒例の三三七拍子を挟んでHINTO流祭囃子「ぬきうちはなび」へと続いた流れは、本格的な夏が目前まで迫ったこの時期とシンクロし、風情たっぷりだった。特に「ぬきうちはなび」ではギターが笛のような音色まで奏でているわけだが、どんなサウンドもギター2本、ベース、ドラムのフォーマットで表現してしまう彼らのすごみや味を生で堪能できるライヴは贅沢と言っていいほど。ラスト「シーズナル」の、季節の巡りに対する気だるさと期待が入り交じった心模様を映した歌が、会場に余韻を残していった。




後攻の︎ザ・チャレンジは、幕が上がる途中から"お前ら準備はいいのかー!......スタッフさん、お客さんが全然盛り上がってないので幕を下ろしてください!"という茶番で笑いを起こし、早々に観客の心をキャッチ。初期からの定番曲「会いたい 会いたい ちょー会いたい」では1曲目にもかかわらず、沢田チャレンジ(Vo/Center)は基本的にステージからはみ出し、客チャレ(ザ・チャレンジファン)との距離を最小限まで縮めて歌っていた(フロア中央モニターで見ると、常に沢チャレの顔がアップに/笑)。対するフロアの振付けもバッチリ。序盤ながら、もう完全に両思いだ。ここで沢チャレが、"初っ端からROCKAHOLIC 2周年おめでとうって、下のバーの名前を言ってしまいました(汗)!"と告白。しかしながらそれもご愛敬、全力でお祝いする姿勢はひしひしと伝わってくる。そんな沢チャレについ目が行きがちだが、彼とは好対照な、チャレンジオノマック(Vo/Gt)とタラコチャレンジ(Vo/Gt)によるクール&セクシーなヴォーカルとギター、名前のとおりの佇まいでワイルドなベースを鳴らすヤンキーチャレンジ(Ba)、パワフルなドラミングながらどこか愛嬌のあるドラゴンチャレンジ(Dr/Ei Ei Oooh)......全員がとにかくいい味を出しているのもこのバンドの魅力。MCでは、"音楽の話ばかりしてる"というHINTOの楽屋での大人な様子に驚愕した話でHINTOをいじり倒し、"そんな大人な下北の夜に"と告げて「東京レコード」へ。彼らはチャラめのラヴ・ソングを得意としているイメージがあるが、東京という街が持つドラマを描いたこの曲のセンチメンタルな詞やメロディは心にグッと響く。決してただのパーティー・バンドではないことを証明してくれる1曲だ。ドラチャレによるマッスル・コール&それを引き継いでの沢チャレによる"新曲をやっていいでございマッスルかー!?"、"マッスル×2~!"のコール&レスポンスが口火となり、後半戦は畳み掛けるようにハイテンションで駆け抜ける。新曲の鉄板ダンス・ナンバー「そんなことより踊ろうぜ」、続く「サマーライダー」では沢チャレがオノマックに"お前さ、HINTOの伊東さんを前にそんなナメたギター弾いてんじゃないよ! すごいのちょうだいー! (ROCKAHOLICで)ギターでモスコミュール注文してみろよー!"と、この上ない無茶振りをして超絶ギター・ソロを弾かせるというやりとりに会場は爆笑の渦。「オレオマエフェスティバル」で本編ラストになると、沢チャレのやりたい放題っぷりも最高潮を迎え、フロアを練り歩いたのち観客に交じって騒ぐわ、タラチャレが歌っているときにちょっかいを出して突き飛ばされるわ、ステージから身を乗り出したまま天井の出っ張りで額を支え、"ひとりタイタニック"状態になるわ......もうおかしくて仕方なかった。人を笑わせるためなら身体を張ってでも全力でパフォーマンスする、その旺盛すぎるくらいのエンターテイメント精神でもって届けられる音楽は、きっと多くの人にとって、嫌な日常を忘れて楽しませてくれる、そしてまた明日から頑張るための糧として機能していることだろう。


[Setlist]
■HINTO
1. バブルなラブ
2. デート
3. summergazer(新曲)
4. かなしみアップデイト
5. にげる
6. NightChance(新曲)
7. DREAMdeath(新曲)
8. 風鈴
9. ぬきうちはなび
10. ガラスのハート
11. シーズナル

■ザ・チャレンジ
1. 会いたい 会いたい ちょー会いたい
2. あいうえお
3. 愛のロケット
4. マイガール
5. 東京レコード
6. 会いたい夜はどうすればいい?
7. そんなことより踊ろうぜ
8. サマーライダー
9. 最高の男
10. お願いミュージック
11. オレオマエフェスティバル
en. 恋をしようよ