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LIVE REPORT

Japanese

Permanent vol.1

Skream! マガジン 2017年06月号掲載

2017.04.14 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 沖 さやこ

Skream!編集部がイチ押しする若手アーティストをピックアップしたライヴ・イベント"Permanent"。その記念すべき第1回が下北沢LIVEHOLICで開催された。

トップバッターはKAKASHI。3月31日に堀越颯太(Vo/Gt)のポリープ除去手術安静期間から活動再開したばかりの群馬県前橋市出身の4ピースである。全国流通音源はまだリリースしていないながらに、ライヴで着実に知名度を伸ばしているバンドだ。メンバー全員がフロアを穏やかな表情で見渡しながら力強い音を繰り出していく。手数の多い激しいドラムが鮮烈なイントロの「流星の中で」は大地を蹴り飛ばして、つんのめるように走りまくる音像で魅了した。声量のあるヴォーカルがひとつ芯になっているからこそ、楽器隊がどれだけ暴れても崩れることはないのだろう。
ミディアム・テンポから加速するエモーショナルな「灯京」は、心の中に抱えた熱をすべて発するような迫真の演奏。ヴォーカルの温度が上がるたびに楽器隊の演奏の温度も上がり、「違うんじゃないか」ではフロアにもその熱が燃え広がった。堀越が"イチ押しされてもされなくてもやることは変わらないです。でも、この場に立たせてもらえて嬉しかったです。ありがとう"と告げるとラストは「ドラマチック」。がむしゃらさが眩しいステージだった。現時点でも高いライヴ力を誇るKAKASHI、今後の飛躍にも注目である。

"前に来い、もっと前に来い! 俺とHしようや、やるぞ!"と樋口侑希(Vo/Gt)がフロアに向かって叫び、この日が初披露となった未発表の新曲「人間なんです」を1曲目に投下したWOMCADOLE。今年1月にリリースしたミニ・アルバム『15cmの行方』も好調、追い風が吹き荒れている滋賀出身の暴れ馬4ピースが2番打者として登場だ。太くて鋭い牙でこちらに食らいついてくるような獰猛さ、大泣きしながら怒り狂うような沸騰しまくりの感情が、たちまち空間を支配した。そのあと「ハシル」で甘酸っぱいセンチメンタルを奏で、激情ミディアム・ナンバー「オモチャの兵隊」はその想いの強さに瞬きすら忘れるほどだった。
悲しみ、強がり、やるせなさ、ひねくれた感情と、純粋な気持ち、希望、すべてが入り混じる、まさに青春をかたちにした新曲「アオキハルヘ」のあと、樋口が"あんたらの拳、その中にはすげぇスーパー・パワーがある。目の前の敵なんて吹き飛んでしまうよ、共に行こう"と告げ「アルク」へ。彼の弾き語りの歌い出しから、楽器隊3人の音が鳴った瞬間の美しさは格別だった。男のロマンでねじ伏せる、その乱雑ささえも気持ちがいい。樋口が歌っている最中にマイクから遠ざかると観客からは自然とシンガロングが起こった。ラスト「唄う」では樋口がハンドマイクで柵から身を乗り出し背中からフロアに飛び込む。血と涙が滲む、もとい噴き出し続けるようなアクト。彼らは完全に追い風を味方につけているようだ。

トリはこの日唯一の3ピース・バンド、ジラフポット。先2組がバンドのエネルギーでひとつのかたまりを作って勢いよく突き抜けるアンサンブルを得意としているのに対し、彼らは鮮やかなパズルのように巧妙なアンサンブルを組んでいるところも特徴的だ。1曲目「Beautiful Nonsense」から3人の奏でる音が心地よく混じる。原田直樹(Dr/Cho)と関 浩佑(Ba/Cho)によるコーラスも楽曲の彩りには欠かせない。3人とも序盤からかなりフルスロットルでテンションも高く、中野大輔(Gt/Vo)の表情もとにかく終始明るい。続いてはダンス・ナンバー「I don't know don't I」。関はベース・プレイだけでなく身のこなしも美しく、全員の高揚が音の躍動感に直結していた。
3曲終えて"飛ばしすぎた(笑)"と息を整える3人。関が"この企画をしたトモ君は(Skream!編集部に入る前に)僕らの東京のライヴの物販とかを手伝ってくれていた"と縁を明かし、イベントの開催を祝した。"2組の残した熱量をさらに増幅させてぶっこみたいと思います"と中野が言い、彼のファルセットとギター・リフが効いた、鮮やかな展開を見せる「Can I sleep now now now?」へ。様々なアプローチで曲ごとに異なる色味を出せるのも彼らの強みだ。

中野は"全部の期待に応えたい! 誰かにとって期待はずれでも、俺は諦めずにそいつが納得するまでやってやろうと思います"とまっすぐな瞳で力強く語る。「ローリングローリング」、「ブライターロックは風に乗って」をいまの言葉として噛みしめるように歌う姿は、過去の彼らがいまの彼らの背中を煽っているようでもあった。3人全員が胸のうちの感情を全身で放出できるようになったことで、ライヴの爆発力は格段に上がった。いまのジラフポット、かなり攻めのモードのようだ。

3組とも媚びることなく自分たちなりの戦い方で、自分たちの音楽を突きつけた。今後も続くであろう"Permanent"のスタートに相応しい、堂々たるロックの宴になったのではないだろうか。


[Setlist]

KAKASHI

1. 失くせないから
2. 愛なんて
3. 流星の中で
4. ナイフ
5. 灯京
6. 違うんじゃないか
7. ドラマチック

WOMCADOLE

1. 人間なんです(新曲)
2. ドア
3. ハシル
4. オモチャの兵隊
5. アオキハルへ(新曲)
6. アルク
7. 唄う

ジラフポット

1. Beautiful Nonsense
2. HECTOR-G
3. I don't know don't I
4. Can I sleep now now now?
5. ローリングローリング
6. ブライターロックは風に乗って
7. nocebo effect

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