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LIVE REPORT

Japanese

ねごと

Skream! マガジン 2017年05月号掲載

2017.03.24 @Zepp DiverCity TOKYO

沖 さやこ

ねごとにとって挑戦の1作となった4thフル・アルバム『ETERNALBEAT』リリース時のインタビューでも"ライヴでどう演奏しよう(笑)!?"と話してくれたが、生音と同期を巧みに使い分けるというアプローチで、より1曲1曲を深く印象づける堂々たるステージングだった。何より彼女たちがとても楽しそうに演奏に興じている姿が印象に残っている。同期を用いているとはいえ、生演奏を主体にしているためバンド感が損なわれることはないし、同期を用いることで各プレイヤーの不必要な負担が減っているようにも見えた。彼女たちは音楽に没頭できる環境を作れたのだと思う。ひとりひとりの出す1音1音の存在感が増していることは、1曲目の「PLANET」から明らかだった。
 
この日、沙田瑞紀(Gt)はギターを肩から下げたままキーボードを弾くシーンも多々。電子音のビートと澤村小夜子(Dr)の生ドラムが描くリズムのコントラストも美しい。「DESTINY」では蒼山幸子(Vo/Key)のエモーショナルな歌声に、3人のコーラスによるハーモニーが彩りを添える。藤咲 佑(Ba)のベースで幕を開けた「Ribbon」は音源よりも骨太な印象を与えるライヴ・アレンジに。4人のそれぞれの音を活かしたアンサンブルが心地いい。
蒼山が"ライヴでもみんなそれぞれのビートにノって身体を揺らして、肩の力を抜いて最後まで一緒に踊って楽しんでいきましょう"と笑顔を浮かべると「天使か悪魔か」へ。この中盤のゾーンはかなりディープで、彼女たちの音楽的好奇心や欲求が存分に発揮されたセクションだった。かわいらしい容姿とは裏腹に(?)たくましさも兼ね備えているところも彼女たちの魅力のひとつで、そのしなやかでクールな色気は年々増している。藤咲がシンセ・ベースを弾く「school out」は蒼山のヴォーカルも艶を放ち、演奏の緊迫感がもたらすスケール感に圧倒された。4人全員が自分たちの音楽と演奏に触発されて高揚しているよう。その姿にしばし見とれた。「cross motion」では華やかにステージ上からもフロア後方下からもレーザーが放射され、サウンドと照明がシンクロして宇宙空間を生んでいく。特にドラムの迫力は見事で、プログラミングの音色と共に銃撃戦をしているようだ。「mellow」は蒼山がハンドマイクで可憐且つ感傷的に歌い上げ、沙田のギターもそこに想いを重ねていくようだった。
 
新曲が多いなか、蒼山が"東京でも久しぶりの曲をやります"と言い演奏されたのは『ex Negoto』に収録されている「メルシールー」。続いて「君の夢」でメランコリックで繊細な焦燥感を煌びやかに作り出すと、「シグナル」ではダイナミックなバンド・サウンドを届け、そのアウトロのロック・バンドぶりは感心しきりだった。続いて披露されたのは3rdフル・アルバム『VISION』から「endless」。「メルシールー」といい「シンクロマニカ」といい、この「endless」といい、今回のセットリストに組み込まれた過去曲は、すべてその時期その時期でバンドを新しい道へと切り開いた大きな鍵となるものだ。それがアレンジをほとんど変えずとも、音楽的変化が反映された最新曲と調和を持っているということは、ねごとの根本的な部分――音楽に対する愛情と探求心、音楽と共に自然体で踊りたいというマインドは変わっていないということではないだろうか。「アシンメトリ」と「ETERNALBEAT」でBOOM BOOM SATELLITESイズムをねごと流にしっかりと昇華していく様子に、彼女たちの音楽への情熱がさらに燃え上がっていることを再確認し、加えてこうして音楽の遺伝子は後世へと受け継がれていくのだと胸が熱くなる。蒼山の無防備なほど無邪気な歌声は、隅々まで温もりを帯びていた。
 
アンコールでは藤咲が"ねごとは今年10周年で。更新し続けていくバンドだと自分たちでも思っているんだけど、変化もするし変わらない部分もある"、澤村は"2年前とは全然違うバンドだったでしょう? 次はヤマンバみたいになってるかもしれない(笑)。これからのねごとを楽しみにしていてほしい"と語る。沙田は"10本のライヴ・ツアーで、こんなにころころとセットリストを変えることになるとは思わなかった(笑)。今回のツアーは自分たちが音楽を追いかけて作っている感じがしました。とにかく前に進もうと思っているので、次の作品どうなるかな......? みんなにも楽しみにしていてほしいと思います! 待っていてください"と力強い言葉で次回作の構想を匂わせた。
最後に蒼山が"『ETERNALBEAT』はすごく新しいこともしているし、でもすごく私たちらしい、自分でもどきっとするような作品になったと思っていて。いろんな(ジャンルの)枠を超えて楽しめるものを作れたらいいなといつも思っています。きっと......飽きさせないよ? 飽きさせないぜ(笑)!"と前向きに語り、バンド初のオリジナル曲「ループ」、『ETERNALBEAT』のラストを飾る「凛夜」を演奏し、夢からゆっくりと目を覚ますようにしとやかにこの日を締めくくった。この日彼女たちは次回作を制作中であることと、6月に自主企画東阪対バン・ライヴを開催することも発表。『ETERNALBEAT』を自分たちの音楽としてちゃんと身体に取り込んだねごと、その絶好調ぶりは結成10周年という記念すべきタイミングにも相応しい。

 
[Setlist]
1. PLANET
2. DESTINY
3. Ribbon
4. holy night
5. 天使か悪魔か
6. school out
7. シンクロマニカ
8. cross motion
9. mellow
10. メルシールー
11. 君の夢
12. シグナル
13. endless
14. アシンメトリ
15. ETERNALBEAT
en1. ループ
en2. 凛夜