Japanese
植田真梨恵
Skream! マガジン 2017年02月号掲載
2017.01.13 @渋谷TSUTAYA O-EAST
Writer 石角 友香
アコギの弾き語りでもピアノと歌のガチンコ勝負でも、そしてバンドでのフルセットでも、色が違うだけで、植田真梨恵というアーティストは自分の世界観を等しく渾身の力で立ち上げる人だ。各々の形態の良さというより、彼女が書くメロディの強さと歌が醸し出すオリジナリティの強度の成せる業なのだと思う。今回はメジャー2ndアルバム『ロンリーナイト マジックスペル』のリリースに伴うツアーなのだが、結果から言うと本作から全曲、そして本作を軸にしつつ、過去曲もアンコールを含めるとほぼ半分を占めるというなかなかのボリュームのセットリストである。
様々な夢がテーマになった新作を表現するかのように、ライヴのオープニングにおとぎ話風の映像が流れ、単に音の厚みや音源の再現性に主眼を置くだけではない、『ロンリーナイト マジックスペル』という"物語"をオーディエンスの頭の片隅に意識させながらライヴはスタートした。ちょっと驚くほど植田の"ロック・スターっぷり"が発揮されたオープニングからのピン・ヴォーカルでの独自のアクションや突き抜けたパフォーマンス、そしてもちろん自在なヴォーカル表現に笑ってしまった。いわゆるすごいものを見たとき、人間笑うしかなくなるという、あれだ。バンドを背負ってフロントを張るその姿はドレスコーズの志磨遼平にも似たかっこよさ(髪型のせいじゃないですよ!)。新作からのナンバーと懐かしい「RRRRR」が違和感なく並ぶ。アッパーなものから、ユーモアの効いたアレンジまですっかり息の合ったところを見せるバンド"いっせーのーせ"の緩急のある演奏もいい。ギター・ロック・バンドとして過剰なところがないのが、今の植田の音楽性に実にハマッている。
華奢な身体から声が尽き果ててしまうんじゃないか? と思うほど、大声ではなく"全部出す"彼女の歌に震える場面がたびたび訪れるのだが、自身もテレキャスをカッティングしながら、淡々とした地メロから積み重ねるように歌が拡張していく「スペクタクル」に見えた覚悟。希望も絶望もあって当然で、それでも目の前に道は続く、そして彼女はまた歩を進める。"雷鳴は響くよ"とロング・トーンを渾身の力で歌う、その声にこもった意志の力に揺さぶられた。
また、「ラズワルドピアノ」でもおなじみの西村広文(Key)のピアノが大きな意味を持つ「僕の夢」では、マイナーに転ずるメロディがナマで、さらに迫力を増していたし、西村のピアノもバンド演奏のときより自由で緊迫感のある展開が見どころになっていた。
また、西村のピアノと植田のアコギと歌、もしくはピアノと歌のみのまさに"ラズワルドピアノ"なコーナーも配置。ここでは言葉や息遣いがより近くまで届くのだが、そこでの選曲が「ハイリゲンシュタットの遺書」という、ジェットコースターのように上下するメロディとラップ的なヴァースも持つ曲なのが面白い。そしてこれまで残してきた曲が新作の楽曲と並列したときに、植田の尽きることのないメロディメーカーとしての計り知れない資質を再認識する。
そうやってシンプルに見せたかと思えば、そういえばちょっとウエスタン・フレイバーのある「WHO R U ?」をテンガロン・ハットを被って歌ったり、また、「パエリア」の前振りでメンバーとちょっとシュールな演出(というかヒゲダンスにも似た、メンバーのキャラクター紹介的なもの)があったりしたのも遊び心に溢れていた。おそらく初見の人でも歌詞を聴き取って楽しむことができたんじゃないだろうか。と、言いつつ歌詞そのものに明確なメッセージや情景が立ち上がらない曲もある。メロディに乗るからこそ共振するもの。その最たる曲が「夢のパレード」で、今も意味はわからないのだが、ライヴでひたすら疾走するようにリフレインするサビを浴びていると、自分自身が風の中にいるような気持ちになって、意味じゃない何か儚くも大事な決意に触れたように感じたのだった。「スペクタクル」同様、身体の中のすべての声を出してしまうような、すべてを捧げるような歌。歌詞の内容で泣くわけじゃない。この感覚は"音楽"でしか味わえないものだと思う。彼女自身、"みなさんが日常の中でどうしてもつらいことがあったとき、今日声を一緒に出したことを思い出してもらえたら嬉しいです"と語った。意味より先にまず感情を解き放て――ますます植田真梨恵のただものじゃない感を強めた2時間強だった。
[Setlist]
1. わかんないのはいやだ
2. RRRRR
3. ふれたら消えてしまう
4. 悪い夢
5. おおかみ少年
6. ペースト
7. スペクタクル
8. 愛おしい今日
9. 僕の夢
10. ハイリゲンシュタットの遺書
11. 虹はかかるから
12. I was Dreamin' C U Darlin'
13. WHO R U ?
14. パエリア
15. 中華街へ行きましょう
16. まわる日々
17. 夢のパレード
18. ダイニング
19. 犬は犬小屋に帰る
20. JOURNEY
en1. ザクロの実
en2. ハルシネーション
- 1
LIVE INFO
- 2024.04.24
-
ReN
FINLANDS
UNISON SQUARE GARDEN
AJICO
BUMP OF CHICKEN
- 2024.04.25
-
フレンズ
a flood of circle
FINLANDS
SHIFT_CONTROL
UNISON SQUARE GARDEN
Bubble Baby
挫・人間
BUMP OF CHICKEN
神はサイコロを振らない
the shes gone
KANA-BOON ※開催中止
- 2024.04.26
-
四星球
ReN
The Ravens
フレンズ
a flood of circle
BREIMEN
ズーカラデル
愛はズボーン
Base Ball Bear
原因は自分にある。
Mr.ふぉるて
ザ・クロマニヨンズ
Maki
いきものがかり
Alstroemeria
Aqilla
超能力戦士ドリアン
yama
THE BOYS&GIRLS
LONGMAN
MOROHA
Rhythmic Toy World
Homecomings
ORCALAND
POPPiNG EMO
ヤングスキニー
SANDAL TELEPHONE
- 2024.04.27
-
ぜんぶ君のせいだ。/ 星歴13夜 / TOKYOてふてふ
ReN
TK from 凛として時雨
TRIANGLE 2024
People In The Box
ポップしなないで
"ARABAKI ROCK FEST.24"
BIGMAMA
SEKAI NO OWARI
ズーカラデル
KEYTALK / キュウソネコカミ / ポルカドットスティングレイ ほか
セックスマシーン!!
SAKANAMON
原因は自分にある。
BACK LIFT
リュックと添い寝ごはん
Base Ball Bear
SCANDAL
岡崎体育
the engy
豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL
Johnnivan
スカイピース
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
Novelbright
Amber's
THE YELLOW MONKEY
Ado
SPENSR
- 2024.04.28
-
ASP
眉村ちあき
ASH DA HERO
ポップしなないで
TRIANGLE 2024
SAKANAMON
ザ・クロマニヨンズ
People In The Box
"ARABAKI ROCK FEST.24"
SEKAI NO OWARI
ぜんぶ君のせいだ。/ 星歴13夜 / TOKYOてふてふ
The Ravens
Omoinotake
THE BOYS&GIRLS
MAIZURU PLAYBACK FES.2024
いきものがかり
MYTH & ROID
愛はズボーン
SCANDAL
超能力戦士ドリアン
忘れらんねえよ
"JAPAN JAM 2024"
ハシリコミーズ
礼賛
にしな
Ado
Laughing Hick
- 2024.04.29
-
ReN
fox capture plan
岡崎体育
TRIANGLE 2024
小山田壮平
ザ・クロマニヨンズ
シノダ(ヒトリエ)
リュックと添い寝ごはん
私立恵比寿中学
ゆいにしお
Creepy Nuts
眉村ちあき
ASIAN KUNG-FU GENERATION / THE ORAL CIGARETTES / Vaundy ほか
moon drop
MAIZURU PLAYBACK FES.2024
Age Factory
the shes gone / Ivy to Fraudulent Game / ドミコ / パスピエ ほか
ぜんぶ君のせいだ。/ TOKYOてふてふ / Not Secured,Loose Ends ほか
The Ravens
愛はズボーン
"JAPAN JAM 2024"
Novelbright
超能力戦士ドリアン
ヤユヨ
Poppin'Party × MyGO!!!!!
- 2024.04.30
-
I Don't Like Mondays.
シノダ(ヒトリエ)
藤巻亮太
君島大空
山内総一郎(フジファブリック)×斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/XIIX)
フラワーカンパニーズ
- 2024.05.01
-
I Don't Like Mondays.
神はサイコロを振らない
ハンブレッダーズ
忘れらんねえよ
Rhythmic Toy World
アカシック
GRAPEVINE × Hedigan's
- 2024.05.02
-
サカナクション
君島大空
Novelbright
神はサイコロを振らない
ゆいにしお
Maki
- 2024.05.03
-
I Don't Like Mondays.
サカナクション
古墳シスターズ
フレデリック / 04LimitedSazabys / キュウソネコカミ / BLUEENCOUNT ほか
ぜんぶ君のせいだ。/ TOKYOてふてふ / 弐ノ名 ほか
忘れらんねえよ
"JAPAN JAM 2024"
清 竜人
ザ・クロマニヨンズ
VIVA LA ROCK
RAY
いきものがかり
- 2024.05.04
-
Machico
KiSS KiSS
ExWHYZ
"OTODAMA'24~音泉魂~"
ビッケブランカ
KEYTALK / THE BACK HORN / THE BAWDIES / FLOW ほか
SCANDAL
岸田教団&THE明星ロケッツ
フィロソフィーのダンス
ドレスコーズ / 特撮 / 小林私 / 月蝕會議 ほか
halca
"JAPAN JAM 2024"
ずっと真夜中でいいのに。
VIVA LA ROCK
- 2024.05.05
-
go!go!vanillas
I Don't Like Mondays.
古墳シスターズ
ExWHYZ
愛はズボーン
Machico
"OTODAMA'24~音泉魂~"
ザ・クロマニヨンズ
ユプシロン
ASP
ぜんぶ君のせいだ。/ TOKYOてふてふ / 星歴13夜 ほか
JYOCHO
SEKAI NO OWARI
"JAPAN JAM 2024"
BiS
ずっと真夜中でいいのに。
VIVA LA ROCK
- 2024.05.06
-
I Don't Like Mondays.
愛はズボーン
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
小山田壮平
ヒトリエ
挫・人間
ぜんぶ君のせいだ。
SHAKALABBITS
夜の本気ダンス
SEKAI NO OWARI
ヤングスキニー
SCANDAL
かりんちょ落書き
VIVA LA ROCK
- 2024.05.08
-
礼賛
I Don't Like Mondays.
WANIMA
MOROHA
KALMA
Ryu Matsuyama
神はサイコロを振らない
cadode
RELEASE INFO
- 2024.04.24
- 2024.04.25
- 2024.04.26
- 2024.04.27
- 2024.05.01
- 2024.05.02
- 2024.05.03
- 2024.05.04
- 2024.05.05
- 2024.05.06
- 2024.05.07
- 2024.05.08
- 2024.05.09
- 2024.05.10
- 2024.05.15
- 2024.05.17
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
BREIMEN
Skream! 2024年04月号