Japanese
ハルカトミユキ
Skream! マガジン 2016年11月号掲載
2016.09.24 @日比谷野外大音楽堂
Writer 金子 厚武
昨年の10月3日、同じ会場で行われたフリー・ライヴ"ひとり×3000"は、後に本人たちも語っているように、まさに"極限状態"のライヴだった。彼女たちにとって過去最大キャパの会場であり、当日蓋を開けてみるまで、オーディエンスが何人集まるのかもわからないという状況で行われたライヴ。結果として3,000人を集めたものの、ステージ上でのふたり、特にハルカは"途中で倒れるんじゃないか?"というぐらいの熱量で、全身全霊を振り絞るかのような、ギリギリのパフォーマンスだったことをよく覚えている。
あれから1年。47都道府県ツアーを経て、"約束の地"に再び戻ってきたふたりの様子は、昨年とは明らかに異なっていた。開演前のSEが流れる中、サポート・メンバーと共にステージにフラッと姿を現したふたりの表情はとてもリラックスしていて、ライヴは「世界」で軽やかに幕を開ける。"やることはすべてやった。あとはこの場を楽しむだけ"という自然体のフィーリングが伝わってくるうえに、「Hate you」では場内がクラップで包まれ、"野音、ただいま!"というふたりからの呼び掛けに、オーディエンスが"おかえり!"と大歓声で応えるなど、とてもいい雰囲気が生まれている。
開演直前まで激しく降り続いた雨もほぼ止み、ハルカがハンドマイクでしっとりと歌い上げた「春の雨」、ハルカトミユキのふたりだけで披露された「シアノタイプ」などに続くのは、ミユキが手掛けたスケール感のある「奇跡を祈ることはもうしない」。今年の前半には舞台への出演も経験し、より表現の幅を広げたハルカは曲前にモノローグを披露し、さらには高低差のあるダイナミックなメロディを伸びやかに歌い上げる。一方、この日サポート・ギタリストを務めた野村陽一郎作曲の「夜明けの月」では、"つらいときはいつだってそばにいる"とストレートな想いを告げた。この2曲には、この1年でのハルカの成長が凝縮されていたように思う。
雨上がりの夜空に星は見えなかったが、サイリウムが地上に星空を作り出した「宇宙を泳ぐ舟」からのダンス・ゾーンでは、ハルカに代わってミユキが主役。アルバム同様に「Are you ready?」からシームレスに展開していった「見る前に踊れ」では、ハルカの"踊れ 踊れ"という歌やトランシーなサウンドに鼓舞されるかのように、自らを解放してフリーキーなダンスを披露した。この日のミユキは何度もステージ前方まで出ていき、オーディエンスに"伝えよう"、オーディエンスと"繋がろう"という姿勢を見せ続け、80年代ポップな「tonight」での華やかな高揚感は、この姿勢が結実したものだったと言えよう。「DRAG & HUG」からの後半戦では「振り出しに戻る」、「ニュートンの林檎」といったロック・ナンバーを並べてオーディエンスの熱狂を生み出すと、本編ラストを「世界」の先を描いた「光れ」で締めくくり、18曲でひとつの円環を描いてみせた。
アンコールで最初に届けられたのは、この日の直前に歌詞が公開されていた「LIFE 2」。昨年の野音に向けて曲を書き、歌詞は当日にその日の想いを込め、"忘れないでいて/今日の日のことを"と歌った「LIFE」の歌詞を、この1年の経験を経て改めて書き直したという「LIFE 2」は、"今日にあとがきはない/明日にあらすじはない/過去への切符はない/未来のバス停はない"と"ない"のリフレインが諦念と期待の間を揺らぎながら、"それでも いいさ"という境地に辿り着き、やがて"あたたかい命がある"と希望を見いだしていく、感動的な生命讃歌。"ない"ということを決してネガティヴなだけでなく、豊かなことだと捉える視点は、"誰しもがどこか欠けている"ということを肯定する"LOVELESS/ARTLESS"という新作のタイトルとも、響き合うものである。否定と否定の掛け合わせは、やはり強力な肯定なのだ。
そして、この日最後に"希望の歌を"と言って演奏されたのは、初期の代表曲「ドライアイス」だった。"僕らの夜に出口はなかった"という絶望的なシチュエーションを、"希望の歌"だと言い切ることは、"ない"を肯定的に捉えることにも通じる感覚であり、つまり彼女たちは最初から"シリアスに現実と向き合うことこそが、私たちに残された唯一にして最大の希望である"というメッセージを投げかけ続けてきたのだ。奇跡を祈ることはもうしない。まっすぐに生きる強さは今もまだ持てない。僕らの夜に出口はない。ここはまだ終着点ではない。ハルカトミユキの眼前には、この先の未来へと続く道がある。この日発表された、来年2月に行われる5周年ツアーは、ふたりの原点である池袋MANHOLEからスタートする。
[セットリスト]
1. 世界
2. バッドエンドの続きを
3. Hate you
4. 春の雨
5. Pain
6. Vanilla
7. シアノタイプ (acoustic)
8. 奇跡を祈ることはもうしない
9. 夜明けの月
10. 宇宙(そら)を泳ぐ舟
11. Are you ready?
12. 見る前に踊れ
13. tonight
14. DRAG & HUG
15. 振り出しに戻る
16. ニュートンの林檎
17. 青い夜更け
18. 光れ
[ENCORE]
1. LIFE 2
2. ドライアイス
- 1
LIVE INFO
- 2024.03.19
-
神はサイコロを振らない
BIGMAMA
MyGO!!!!!
怒髪天
WurtS
EASTOKLAB
eill
XIIX
milet
East Of Eden
the chef cooks me
- 2024.03.20
-
神はサイコロを振らない
Mr.ふぉるて
いきものがかり
怒髪天
yama
BUMP OF CHICKEN
MAGIC OF LiFE
CRYAMY
AJICO
SUPERCHUNK × NOT WONK
SHE'S
UNCHAIN
Galileo Galilei × BBHF
Tsukasa Inoue
GLIM SPANKY
れん
シノダ(ヒトリエ)
WurtS
Hakubi
ZAZEN BOYS
ザ・クロマニヨンズ
DURAN
秋山黄色×石崎ひゅーい
Amber's
竹内アンナ
TOOBOE
milet
Hello Sleepwalkers
the chef cooks me
- 2024.03.22
-
"HY SKY Fes 2024"
怒髪天
Mr.ふぉるて
さかいゆう
シノダ(ヒトリエ)
キュウソネコカミ
yama
クジラ夜の街
マルシィ
MyGO!!!!!
Creepy Nuts
FABLED NUMBER
a flood of circle
Base Ball Bear
TAIKING
Hakubi
Age Factory
Absolute area
PEDRO × MONO NO AWARE
スピラ・スピカ
ORCALAND
シンガーズハイ
ズーカラデル
- 2024.03.23
-
ヤバイTシャツ屋さん
"HY SKY Fes 2024"
怒髪天
クジラ夜の街
yama
眉村ちあき ※振替公演
ORCALAND
AJICO
原因は自分にある。
Tsukasa Inoue
indigo la End
King Gnu
ExWHYZ
TAIKING
SUPERCHUNK × NOT WONK
EASTOKLAB
Base Ball Bear
MAGIC OF LiFE
Laughing Hick
Creepy Nuts
sumika
東京初期衝動
大塚紗英
フラワーカンパニーズ
"ツタロックフェス2024"
マカロニえんぴつ
Uniolla
離婚伝説
めいちゃん
THE BACK HORN
SUPER BEAVER
虎の子ラミー
TENDOUJI
- 2024.03.24
-
"HY SKY Fes 2024"
眉村ちあき ※振替公演
にしな
いきものがかり
ハンブレッダーズ
MAGIC OF LiFE
さかいゆう
JYOCHO
sumika
indigo la End
東京初期衝動
KiSS KiSS
"ツタロックフェス2024"
Ivy to Fraudulent Game × osage
マハラージャン
cinema staff
GLIM SPANKY
SUPERCHUNK × NOT WONK
めいちゃん
SUPER BEAVER
Newspeak
- 2024.03.25
-
Base Ball Bear
怒髪天
ザ・クロマニヨンズ
SUPERCHUNK
- 2024.03.26
-
神はサイコロを振らない
挫・人間
reGretGirl
- 2024.03.28
-
Hakubi
神はサイコロを振らない
レイラ
リーガルリリー
yama
LEGO BIG MORL
WurtS
- 2024.03.29
-
ORCALAND
いきものがかり
レイラ
BIGMAMA
Mr.ふぉるて
the McFaddin
yutori
Mega Shinnosuke
FABLED NUMBER
Creepy Nuts
佐々木亮介(a flood of circle)
Panic Monster !n Wonderland
Tsukasa Inoue
The fin.
CVLTE
マルシィ
- 2024.03.30
-
キュウソネコカミ
MAGIC OF LiFE
シノダ(ヒトリエ)
神はサイコロを振らない
04 Limited Sazabys / My Hair is Bad / go!go!vanillas ほか
フラワーカンパニーズ
ヤングスキニー
ザ・クロマニヨンズ
Laughing Hick
KANA-BOON ※開催中止
東京初期衝動
BUMP OF CHICKEN
夜の本気ダンス
夜の本気ダンス
Mega Shinnosuke
にしな
This is LAST
the telephones
yama
SEKAI NO OWARI
GLIM SPANKY
SHE'S
kobore
Base Ball Bear
Subway Daydream
TAIKING
People In The Box
マカロニえんぴつ
AJICO
ハク。
MAN WITH A MISSION / サンボマスター / ACIDMAN ほか
indigo la End
Saucy Dog
- 2024.03.31
-
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
東京初期衝動
ヤングスキニー
ORCALAND
フラワーカンパニーズ
神はサイコロを振らない
sumika / THE ORAL CIGARETTES / SiM ほか
MAGIC OF LiFE
いきものがかり
ザ・クロマニヨンズ
ズーカラデル
Mr.ふぉるて
BUMP OF CHICKEN
超能力戦士ドリアン
リーガルリリー
yutori
the telephones
odol
挫・人間
yama
moon drop
SEKAI NO OWARI
This is LAST
People In The Box
マカロニえんぴつ
原因は自分にある。
さかいゆう
怒髪天 / GLAY / さだまさし
Saucy Dog
- 2024.04.02
-
神はサイコロを振らない
SCANDAL
- 2024.04.03
-
ハク。
ヤングスキニー
indigo la End
RELEASE INFO
- 2024.03.20
- 2024.03.22
- 2024.03.27
- 2024.03.28
- 2024.03.29
- 2024.03.31
- 2024.04.03
- 2024.04.05
- 2024.04.07
- 2024.04.09
- 2024.04.10
- 2024.04.17
- 2024.04.21
- 2024.04.22
- 2024.04.24
- 2024.04.26
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
MGMT
Skream! 2024年03月号