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Japanese

NICO Touches the Walls

Skream! マガジン 2015年08月号掲載

NICO Touches the Walls

Official Site

2015.07.19 @東京国際フォーラムホールA

山口 智男

"どんだけ待たせるんだ、といろいろなところでお叱りを受けて、東京に帰ってきました(笑)"

序盤の7曲が終わったところで、改めて挨拶した光村龍哉(Vo/Gt)が言った通り、5月21日の東京・豊洲PIT公演を皮切りに北は北海道・札幌から、南は九州・宮崎まで、NICO Touches the Wallsが実に2年ぶりに全国を回った"まっすぐなツアー"。そのツアー・ファイナルとなるこの夜のライヴは、光村によるアコースティック・ギターの弾き語りに古村大介(Gt)、坂倉心悟(Ba)、対馬祥太郎(Dr)が演奏を重ねた懐かしい「雨のブルース」でしっとりとスタート。そこからダンサブルな「TOKYO Dreamer」に繋げ、徐々にエンジンの回転を上げていき......と思いきや、早くも3曲目の「ローハイド」で一気にテンポアップ。力強い対馬のドラムに急きたてられるように古村と坂倉が前に飛び出し、光村が"行くぞ東京!"と客席に合図すると、すでに総立ちの5,000人の観客が跳びはね、ホール全体が上下に揺れ始めた。

"思いっきり楽しむ準備はできてますか? 最高の夜を作ろうぜ!"満面の笑みを浮かべながら光村が客席に呼びかけ、彼らはこの夜、前述した「ローハイド」を始め、昨年2月にリリースしたベスト・アルバム『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』に収録されている代表曲の数々に加え、6月にリリースした目下の最新シングル「まっすぐなうた」とそのカップリングの「いいこになっちゃいけないの」、さらには9月2日にリリースするニュー・シングル「渦と渦」(この日がライヴ初披露だったそうだ)も披露。そのセットリストはやっと実現したベスト・アルバムを引っ提げての、光村曰く"10年に一度のツアー"に相応しいものだったが、"新旧いろいろなところからごちゃまぜで持ってきた"というセットリストを決めるにあたって、"久しぶりに引っ張り出してきたら、いい曲ばかりだった"と語ったことを思えば、この夜の聴きどころは会場を揺らせたアップテンポの曲よりもむしろ、中盤、じっくりと聴かせた「かけら‐総べての想いたちへ‐」「エトランジェ」「君だけ」といったしっとりとした曲の方だったのかもしれない。

あるいは、サビのアカペラを曲の頭に持ってきた「夏の大三角形」や光村と古村がギターのハモりやかけ合いを聴かせ、会場を沸かせた「ニワカ雨ニモ負ケズ」といったライヴにおける曲の進化を印象づけたその2曲だったかもしれない。新曲を作ることや新しいことに挑戦することだけがバンドの進化じゃない。もちろん、彼らは新しいことにも挑戦しているが、何よりも歌を大事にしているバンドの原点というか、変わらない芯の部分を、大きなホールにふさわしい煌びやかな照明や映像を効果的に使いながら改めて見せてもらえたようなところが良かった。

かき鳴らす2本のギターが放つ轟音にリズム隊の図太い演奏が割り込み、"今、残ってるエネルギー全部使ってくれ!"という光村のシャウトで始まったラストの「天地ガエシ」では最後のリフレインを、これでもかと繰り返して、ダメ押しで盛り上げた。しかし、ファンもバンドもそれで満足するわけがない。

"みんな欲しがりすぎ(笑)。僕らもまだまだやりたい曲がいっぱいあります!"(光村)と観客の手拍子も応え、出てきたアンコールは活動休止していたACO Touches the Wallsが復活を遂げ、4人全員がドラムを叩き、観客も含む全員でサビを合唱した「手をたたけ」他3曲をアコースティック・セットで披露した。"拍手と声援がめっちゃ気持ちよく降ってくる。生きてて良かった(笑)"と語ると、光村は"西の渦" "東の渦"と題して、この冬、念願の大阪城ホール公演(12月23日)と3度目の日本武道館公演(2016年1月8日)を開催することを発表。そして、そのときにはメンバー全員が30歳になることを踏まえ、"30代になってもみんなにもっともっと会いたいという思いを込め、最後に1曲プレゼントします"とモータウン調の跳ねるリズムに胸が躍る「口笛吹いて、こんにちは」を全員で口笛を吹きながら演奏すると、終演を惜しむように最後の"la la la "という大合唱がいつまでも会場に鳴り響いた。

これからバンドは新しいアルバムの制作に入るそうだ。200人~5,000人というさまざまな会場でライヴをやった今回のツアーを経験して、"場所を選ばず、自分たちの曲を届けることができる自信がついた"と語った彼らはこれまでにも増して、いいアルバムを作り上げるに違いない。大いに期待している。