Japanese
SHAKALABBITS / FOUR GET ME A NOTS / FLiP
2015.06.20 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 山元 翔一
下北沢LIVEHOLICのオープニング・シリーズもいよいよ終盤戦。12日目となったこの日の公演には、FLiP、FOUR GET ME A NOTS、SHAKALABBITSという3組が顔を揃えた。ソールド寸前というだけあってか、開演前からフロアには静かな熱気が漂っていた。
一番手はFLiP。ヒリヒリした焦燥感をソリッドな音像で描き出す、というロック・バンドの必勝方程式を地で行くサウンドとど真ん中を貫くポップネスの共存をここまできちんと体現できるバンドは今どき珍しい存在なのかもしれない。冒頭に畳み掛けられた「MADONNA」、「GIRL」、「ワンダーランド」というそれぞれの色こそ違えど無駄のないシンプルなギター・ロックを鳴らす4人を見てそんなことを思った。
"LIVEHOLICのオープンを祝福したいという気持ちで"とSachiko (Vo/Gt)がひと言添えて、5月にリリースしたばかりのミニ・アルバム『BIRTH』から3曲が披露された。Yuko(Gt/Cho)の刻むモダンなファンクネスの香るギター・リフが心地良い「YOU」、MTV的アメリカン・ポップスの血を引くキャッチーさと大きなノリで踊らせる「JEREMY」、Yuumi(Dr/Cho)とSayaka(Ba/Cho)のリズム・セクションが生み出すタイトなグルーヴの映える「ONE」。どれもSachikoの切ない歌声とメロディを軸にしてぐいぐいと攻める演奏が印象的だった。
最後に演奏された「平成ジュラシック」では4人がMUTEMATHの如くドラムを一心に叩くパートも挟まれる。Sachikoも"ここにいるみんなの歌声聴かせてくれますか?"とシンガロングを求め、"vol.12、まだまだ始まったばかりなんだよ。もっともっとみんな声が欲しいんだよ"とさらに煽り、観客もそれに応えるように大きな声で歌う。シンガロング・パートから最後のサビへと突入する爆発力は凄まじいものがあった。約30分の短いセットであったが彼女たちの魅力がぎゅっと凝縮されたステージであった。
二番手はFOUR GET ME A NOTSだ。「Heroine」のアルペジオを高橋智恵(Vo/Gt)が鳴らすと"うおーっ!"という雄叫びが上がる。石坪泰知(Vo/Ba)が"行こうぜー!"と叫び、阿部貴之(Vo/Dr)の疾走するドラミングに誘われるように初っ端からハンドクラップにダイヴ、"オイ!オイ!"と拳を振り上げ大盛り上がりを見せる。すかさず「Universe」を畳み掛け、高橋が"どんどん行きましょうよ!"と焚きつけ「My guitar my songs」をドロップ。3月にリリースされたベスト・アルバム『FOLLOW THE TRACKS -The Best of 10years-』に収録された新曲「Our chords」では高橋のヴォーカルが気持ちよく突き抜け、まだ若い楽曲にもかかわらずきっちりと観客を沸かせる楽曲の強度を見せつけられる。
"LIVEHOLIC、オープンおめでとうございまーすっ!"と石坪がライヴハウスのオープンを清々しいMCで祝福。"お祝いの気持ちを込めてこの歌を"というひと言が高橋からあり、アンセミックな「Crescent moon」を歌い上げた。石坪のリード・ヴォーカルが光るポップ・チューン「All I need」、7月にリリースを控える『ASTREA』から「Music is my life」を立て続けに聴かせる。
実はこの公演、日本テレビ系音楽番組"バズリズム"の収録が入っていること、ヴィンテージの武井氏がライヴを観に来てくれていることを告げ、ニュー・アルバムより「Sail」を披露。阿部の叩きつけるような2ビート、石坪のさわやかなヴォーカルや高橋の熱いギター・ソロで魅せる。続く「Firm resolution」では爆発的な盛り上がりを見せ、武井氏も人生初のダイヴをキメていた。休む間もなく高橋と石坪のツイン・ヴォーカルが涙腺を刺激する「Beginning」を叩きつけ、フロアの熱がクライマックスに向けて一層高まる。石坪の"激しい曲行くぞー!"のひと言とともに「The first thing」を演奏。FOUR GET ME A NOTSの真骨頂的なサウンドの楽曲が続き、彼らのステージは終了した。"もっとやってくれー!子供のころ思い出すわー。メロコアさいこー!"と武井氏が叫んでいたのがとても印象的だった。
この日のトリを飾ったのはSHAKALABBITS。まだSEが鳴り止まないうちに「MONSTER TREE」をUKI(Vo)が歌い始めると観客もすかさず大合唱で応え、拳を振り上げる。これまでの空気を一瞬で塗り替えてしまう彼女たちの地力の高さを見せつけられた思いだ。そして出だしの勢いそのままに「SADISTIC AURORA SHOW」が畳み掛けられ、会場の熱は高まっていく。
挨拶もそこそこに開口一番、LIVEHOLICとROCKAHOLICのオープンを祝う。そして、"全然関係ない話ではありますが"、と前置きをしてFLiPとFOUR GET ME A NOTSの面々との楽屋での談笑の一幕で会場を和ませ、今日という日を祝福する「BIRTHDAY」を披露。明るいポップ・パンク的ヴァイヴスを湛えたこの曲に続けて、最新シングル曲「Climax」をドロップ。往年の定番曲と並べても何の遜色もない楽曲の持つ魅力やSHAKALABBITSの本質のブレなさを実感させられた。キュートなスカ・パンク調「Jammin'」では、UKIのヴォーカルを引き立たせる3人のプレイヤビリティの高さを改めて認識した。続くシャカラビ流のミクスチャー・ファンク的一面も覗かせる「ダズリングスープ」では、UKIが"長男!""次男坊!"とTAKE-C(Gt)とYOSUKE(Ba)をそれぞれ紹介。MAH (Dr)も負けじと力強いドラムでこちらを沸かせる。本編の最後に演奏された「THAT THING YOU DO!」では、前のめりな観客がモッシュやダイヴ、シンガロングや振り上げる拳で一心不乱に楽しむ姿を見せてくれた。
文字通り本編が一瞬で終わってしまったため、観客は口々に名残惜しそうな言葉を投げかける。UKIも"帰っていいの?"と思わずこぼすが、客席からは"だめー!"という声が飛び交った。"じゃあ1曲だけやろう。最後の最後の最後の曲ということで"とUKIがアンコールに応える。サビで巻き起こるシンガロングやダイヴに見ているこちらも清々しい「CAN'T ESCAPE THE CHOCOLATE SYRUP」で大盛り上がりのまま幕を閉じた。
幅広い年齢層の人たちが混在し、同じ時間を同じ場所で過ごす――こう言ってしまうとなんだか軽くなってしまうようにも思うが、こういったライヴハウスならではの光景に思わずグッときてしまった。世代もシーンも異なる3組の共演で三者三様の盛り上がりを見せたこの日。LIVEHOLICの歴史はまだ始まったばかりであるが、そういった夜が繰り返されることでライヴハウスは成長していくのだろうかと思わされた夜であった。
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