Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

LIVE REPORT

Japanese

indigo la End

2014.10.24 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 齋藤 日穂

今年の4月にメジャー・デビューを果たし、夏にはサポート・ベースだった後鳥亮介が正式メンバーとして加入、9月にはメジャー1stシングル『瞳に映らない』をリリースと、止まらぬ勢いで音楽シーンを沸かせ続けているindigo la End。そんな彼らが4人体制になってから初めて行ったワンマン・ツアー"ハートは4つ"恵比寿LIQUIDROOMでのライヴに足を運んだ。

19時30分、大きな拍手に包まれながら暗転したステージにメンバーが登場する。それぞれ楽器を持ち、一呼吸置いたあとに、川谷絵音(Vo/Gt)の澄んだ歌声と共に場内がぱっと明るくなった。目がくらむような白い光に包まれて始まったのは「ダビングシーン」。1曲目から無数の手が会場から上がる。続いて鳴らされた「名もなきハッピーエンド」では、間奏で川谷が"ベース、後鳥亮介"と声をかけると会場からは歓声が上がる。期間で言えば正式メンバーに迎え入れられてからまだ2ヶ月しか経っていないというのに、すっかりファンからも受け入れられた様子を見れば、サポート・ベース時代からいかに濃密な信頼関係を築いてきたか一目瞭然だった。そんな後鳥のテクニカルなベース・ソロを導入に「billion billion」でメロディアスに染めあげた場内に切り込む。メンバーそれぞれの個性が際立つこの楽曲はindigo la Endのテクニカルな一面を知ってもらうのに最適な1曲のひとつではないだろうか。ひとりひとりのたしかな実力を場内の観客たちにしっかりと刻みつける。もちろん最新の曲ばかりではなく昔からの名曲たちも今のindigo la End として新たに鳴らされた。1stアルバム『夜に魔法をかけられて』より、サポート・コーラスとして彼らの演奏に彩りを添えたササキミオの朗読が美しいinterludeから「スウェル」への流れはまるで映画を見ているかのような気分になった。朗読される少女に場内の誰もが憑依し、物語の主人公になっていたことだろう。日常の喧騒を忘れて儚く、刹那的に瞬間の主人公になった私たちは、indigo la Endの音の中を彷徨った。続いて1stアルバムより演奏された「抱きしめて」では、なぞるような甘いメロディと胸をぎゅっと掴まれるような切ない歌詞に会場中の気持ちが移入したかのようで、どっしりとした太い音の芯を感じさせた。新曲「ワンダーテンダー」まで披露したところで、この日初めてのMCが挟まれ、後鳥加入時のエピソードを話して会場に笑いを起こした。

その後、9月にリリースされた「瞳に映らない」を披露。大サビに入る直前の"どうか どうか 忘れてないと答えて安心させてよ"と歌った瞬間ふっと消える照明が楽曲の切なさとマッチしていて、実に粋な演出で魅了した。
この日2度目のMCでは、現在、破竹の勢いで活動しているゲスの極み乙女。でも作詞・作曲を務めている川谷のリアルな心情が吐露された。家族のようなバンドを背負い、どちらのバンドでもフロントマンとして引っ張っていく存在の彼の葛藤は計り知れない。しかし悩んだ日々を昇華させ、命のように大切だと語ったバンドを守るために彼はもう1度背負いなおしたのだ。"どうか穿った見方をしないで、変わったとか言わないで欲しい"という言葉に続いて少し恥ずかしそうに"俺についてこい"と発言した。その姿は2つのバンドを引っ張っていくという覚悟で自らを奮い立たせているようにも見えた。
その後1stミニ・アルバム『さようなら、素晴らしい世界』より「秘密の金魚」を披露。川谷と長田カーティス(Gt)による歪んだギター・サウンドの絡み合いがとても暴力的で、獲物を狙うかのようなギラギラとした感情がむき出しになったその姿はワンマン・ライヴだからこそ見せてくれた一面だと思った。それぞれの楽器に持ちうる限りの力と思いを込めて「幸せな街路樹」を轟音で鳴らし、本編は終了した。

アンコールで登場した彼らは12月24日にリリースする『さよならベル』を早速披露。"すごく悲しい曲"と表現して鳴らされた新曲は、indigo la Endらしいギター・リフで導入し、サビでは川谷の美しいファルセットと共に"Good bye Good night"というフレーズがいつまでも胸の中にじんわりと残るような余韻を持った1曲だった。この日の最後に演奏されたのは彼らの代表曲の1つである「緑の少女」。待ってましたと言わんばかりに会場は歓声をあげ、最高潮の盛り上がりを見せた。
今のindigo la End、そしてこれからのindigo la Endを示してくれるかのようにたしかな指針を提示した一夜。4人にとっても手ごたえのある、迷いが確信に変わった記念すべき公演になったことだろう。

  • 1