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LIVE REPORT

Japanese

Drop's

Skream! マガジン 2014年05月号掲載

2014.03.29 @新宿 紅布

Writer 奥村 小雪

昨年12月に渋谷CHELSEA HOTELで開催した東京初ワンマンを成功させた札幌在住のDrop'sが、今度は新宿紅布にて2バンドを迎え、東京初の自主企画"アイスクリーム・シアター"を開催。会場ではリラックスした様子のオーディエンスたちがステージを眺めながら、開演を待つ。

SEであるLou Reedの「Walk On The Wild Side」が鳴り止みLarge House Satisfactionがステージに登場。いきなり轟く爆音とともに、クールに挨拶すると「暗室」がスタート。田中秀作(Dr)が叫び、小林賢司(Ba)が右に左に飛び跳ねる。そして小林要司(Vo/Gt)の漢らしく力強いハスキー・ヴォイスが圧倒的な存在感を示す。1曲目が終わると拍手喝采、その後も勢い止まらずフロアを盛り上げていく。小林要司のギター・ソロ中に、下手に立っていた小林賢司が上手のマイクへ移動して歌う姿が印象的だった。紅布の広くはないステージを目一杯活かした彼らのステージ・パフォーマンスには目を見張るものがある。音楽だけでなくアグレッシヴなライヴにも癖になりそうだ。小林賢司がMCで冗談を飛ばしてフロアを沸かせた後にはアッパーな新曲も披露。一転してダークな「その間隙で揺れている」ではリズム隊の重厚なサウンドが会場を揺らし、小林要司の凶暴な歌声がオーディエンスを痺れさせる。「Traffic」ではファンが拳を掲げ一緒に歌い、壮大な「I'm In Time」で締め括った。

続いてSkeeter Davisの「The End Of The World」をSEに現れたのは、3月5日に3rdアルバム『3』をリリースしたばかりのザ・ビートモーターズ。初っぱなからハイ・テンションで「自由マン」をぶちかますと、間髪入れずに2ビートの疾走感が気持ち良いスピード・チューン「マリー」、続けて披露された4つ打ちの新曲に胸躍る。MCでは秋葉正志(Vo/Gt)が"俺からするとDrop'sの姿は眩しすぎる"と会場の笑いを誘い、秋葉が友達の結婚式のために作ったという「Hallelujah」を披露。ハープの旋律と秋葉のストレートな歌声に思わずうるっときてしまう。「いつかのサマータイム」では、鹿野隆広(Dr)とジョニー柳川(Ba)のリズミカルなビートに、木村哲朗(Gt)がヴィオラのような美しいギター・サウンドを重ねる。そしてアップ・テンポな新曲からデビュー曲の「ジェット先生」の流れにオーディエンスもノらずにはいられない。4人のグルーヴに引き込まれ、心地よさに身を委ねていると、あっという間に最後の「テルミーティーチャーブルース」へ。秋葉が踊り、鹿野のドラム・ソロにはオーディエンスから歓声が起こる。"テルミー"というサビのコール&レスポンスで最大限までフロアを盛り上げ、メンバーはステージを去った。

そしていよいよ本日の主役、Drop'sがステージへ。中野ミホ(Vo/Gt)が、あどけなさの残る容姿からは想像もつかない程に力強い歌声で"ハロー"と歌い上げ、会場を圧倒する。中野が色気のある憂いた声で"新宿の皆さん、こんにちは。アイスクリーム・シアターへようこそ"と告げると「太陽」へ。CDで聴いた時はハスキー・ヴォイスが際立っていてライヴでは映えにくいのではないかと思ったが、実際に生で聴いてみるとそんな心配は無用だった。中野の低めな声はよく通り、その魅力が最大限に活かされて会場に響き渡る。続いて石橋わか乃(Key)が奏でるエレクトロなイントロから始まったのは「STRANGE BIRD」。マラカスを振りながらダイナミックに歌う中野の姿も印象的だが、小田満美子(Ba)がずしんと鳴らす重厚なベースにも心奪われる。中野が"ありがと"と一言キメて、荒谷朋美(Gt)と奥山レイカ(Dr)のリズミカルなセッションが心地良い「DIRTY Smoke」が流れ出す。フロアはヒート・アップし、オーディエンスからは歓声が上がる。息切れしつつ大人しめなMCをする中野が、続く「トラッシュ・アウト」では別人のように堂々と歌う。その後もロック・チューンを畳み掛け、5人のヒリヒリとした闘志が感じられる。MCを挟んでの「カルーセル・ワルツ」で、中野は儚げに歌いつつ身振り手振りでめいいっぱいに切ない感情を表現する。最後に新曲の「コール・ミー」を明るくまっすぐに演奏し、5人はステージを後にした。

フロアからの熱烈なアンコールに応えDrop'sが再登場。「星の恋人」、「コーク・エイジ」の2曲をパワフルに披露し、オーディエンスは踊りまくる。最高にロックな女子5人による"アイスクリーム・シアター"は幕を閉じた。まだハタチという若さにも関わらず、ここまで会場を圧倒できるバンドはそういないだろう。まさに音楽を演るべくして集まった5人による強固たるライヴ・パフォーマンスを見て、彼女たちは今後、日本のロック・シーンの未来を背負って立つことになるだろうと感じた。Large House Satisfaction、ザ・ビートモーターズ、そしてDrop's、音楽を愛する至高のロックンローラーたちの活躍に、今後も期待したい。

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