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LIVE REPORT

Japanese

赤い公園

2014.03.27 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 山口 智男

『風が知ってる/ひつじ屋さん』『絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く』という2枚のシングルを2ヶ月連続でリリースして、活動を一気に加速させた感のある赤い公園。テレビドラマの主題歌として書き下ろした「絶対的な関係」では、高校の軽音楽部時代、一ファンとしていろいろなバンドを聴いていた頃の気持ちに戻ることを意識したと語っていたが、それが関係しているのか、2年ぶりの開催となった今回の自主企画イベントはクリープハイプと藍坊主(出演順)という先輩バンドの胸を借りる形となった。
題して、"~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~"。

まずトップバッターでの出演となったクリープハイプが代表曲の数々を披露し会場を盛り上げる。
続いて登場した藍坊主は1曲目の「螺旋」から激しい感情を露にしたロック・ナンバーをたたみかけ、ストレートなロック・バンド像を印象づける。彼らってこんなに骨太なバンドだったっけ?!うれしい驚きに思わず快哉を叫んだ。途中、"(赤い公園が)気になる存在だった"と明かした彼らは終盤、"藍坊主を聴いてくれたらしい。彼女たちが藍坊主を知った時に聴いていたであろう曲をやります"と懐かしい「スプーン」をバンドにプレゼント。その「スプーン」を含め、「伝言」「ホタル」など、彼らが後半演奏した曲が持つ唱歌風の、どこかノスタルジックなメロディが胸にしみたのだった。

トリを務める赤い公園のステージは"おまえら全員まとめてかかってこいや!"という佐藤千明(Vo)の雄叫びとともに赤い公園史上最速(かつ、たぶん最短)のロック・ナンバーである「絶対的な関係」でスタート。一気に上がった会場の温度は、彼女たちが間髪を入れずにたたみかけたアバンギャルドな「ひつじ屋さん」によって、さらに上昇。痛快すぎるオープニングに思わず頬がほころぶ。
中盤ではクリープハイプと藍坊主に感謝と愛を伝えるため、藍坊主の「テールランプ」とクリープハイプの「社会の窓」のカヴァーを披露するというイベントならではのサプライズも飛び出した。

終盤、壮大なバラードの「風が知ってる」、情念が渦巻いているような「ふやける」で熱度満点のバンド・アンサンブルをアピールした彼女たちはアンコールで新曲「108」も披露。ちょっとぎくしゃくしたリズムがおもしろい、この赤い公園流ダンス・ナンバーが音源として仕上げられたとき、どんなふうになっているか今から楽しみだ。そして、自主企画イベントの大団円を飾った「きっかけ」。
この日のライヴはいろいろな見どころがあったと思うが、ハイライトを1つだけ挙げるならこの「きっかけ」に尽きる。津野米咲(Gt/Key)が奏でるピアノとシーケンスによるノイズが静寂を作り出すアンビエントなポスト・ロックの極致とも言える曲だが、津野がギターに持ち替えてからの後半はバンドが奏でる爆音とともに、あらゆる感情がほとばしる激情ロックに変化。その数十秒で印象づける4人の集中力、緊張感、熱量は現在の赤い公園が持つ破壊力をこれでもかと見せつけるものだったのだ。

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