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LIVE REPORT

Japanese

fifi

Skream! マガジン 2014年02月号掲載

2014.01.18 @代官山UNIT

Writer 奥村 小雪

12月25日にリリースされたfifiの1stフル・アルバム『first finder』のレコ発ワンマン"Battle of Egypt-2"。18時半の開演時間を前にステージ上のスクリーンにて「homecoming」や「さよなら少年」、「ホタルナ」といった数々のミュージック・ビデオが流れ始める。スタートを心待ちにしているファンにとって、非常に嬉しい演出だ。しばらくミュージック・ビデオを観ていると、会場が暗転し、ついにメンバーが登場。
中村(Vo/Gt)の、透明感のある歌声から始まったのは「スタート」。4人の楽器が一斉に鳴らされる様は目覚ましい程にぴったりと息が合っており、背後からメンバーを照らすライトはミュージック・ビデオの1シーンを思わせる。サビではコール&レスポンスが起こり、1曲目から会場はヒート・アップ。
「Tequila Shout」で4人が全身全霊でぶつかり合い、「kagefumi」では仲(Dr/Cho)がスティックを高く掲げ、植谷(Vo/Gt)が前に出て観客を煽る。ラストで坪井(Ba/Cho)が人差し指を天へ向けて高く突き上げる姿は、メンバーの高揚をありありと表していた。アップ・テンポな「窓際に未来を」から一転、「NO NAME飛行船」「(drawing your)circle」「two cups&one chair」では、中村と植谷が甘美で心地よいハーモニーで歌い上げる。柔らかなギターの音色と深みのあるベースが、ツイン・ヴォーカルとしての魅力を存分に生かしている。
中村が"アルバム(『first finder』)の中に1曲だけ変な曲なかった(笑)?"と語り、坪井が初めて実在の人物に描いたという「傍観者は綴る」がスタート。ズシンと重いイントロからはじまり、坪井のシャウトが会場内に轟く。「scumcream」から続く「Dreaming Hero」で響めく音色の壮大なスケールに見惚れ、「silvestri」での力強い演奏に心を打たれる。
MCでは坪井がミュージック・ビデオを紹介しながら笑いを誘い、会場はほんわかした雰囲気に包まれる。ライヴ前日の1月17日は仲の誕生日ということでHAPPY BIRTHDAYを歌ってお祝いをしたり、中村がモノマネを披露するなど、メンバーとファンの距離がぐっと縮まったところで、「triangle」がスタート。爽やかで甘酸っぱい「SNOWTIME」に続いて「さよなら少年」では色とりどりの照明が、ポップで明るいメロディを彩る。
テンポは収まらず「At Last Night」「voice of wonder」と会場のヴォルテージはどんどん上がり、軽快なドラムとともに2人の澄んだ歌声が後方まで響く「うしなわれる季節」へ。ラストの「ホタルナ」ではオーディエンスの手拍子が響きわたり、会場全体が幸福感に満ち溢れた。
アンコールで登場した中村が一発芸を披露し、場を和ませてから始まった「homecoming」では、中村の儚く優しい歌声が会場を包む。植谷が"皆のために音楽やってるってことが伝わればいいな、という気持ちを込めてアルバムを作った"と語り、年内に代官山UNITでもう1度ワンマン・ライヴをやって"ソールドさせる"と宣言。
会場が盛り上がったところで「約束」を披露。フロアからは力強く拳が突き上げられ、メンバーも楽しそうに動き回る。めまぐるしく楽器が入り乱れる間奏のセッションで歓声が湧き上がり、植谷のハイ・ピッチな歌声が突き抜けてライヴは幕を閉じた。
音源を聴いただけでは想像できなかった圧倒的なスケール感、個性を十二分に生かした逞しいライヴ・パフォーマンス、想像以上のクオリティの高さに驚かされたが、なによりも感じたのは"愛情"。MCでファンからの暖かな歓声にメンバーが答える様子を観ていると、まるで会場にいる全員が家族になったかのような絆を感じた。ライヴ終了後には物販スペースに登場し、ファンに一言一言"ありがとう"と伝えている姿も見受けられた。fifiのメンバーとファンの間には、深い繋がりがあることを思い知らされたワンマン・ライヴであった。

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