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LIVE REPORT

Japanese

ROCKBELL records

Skream! マガジン 2014年01月号掲載

2013.12.12 @渋谷CLUB CRAWL

Writer 沖 さやこ

Bellwood Recordsが立ち上げた次世代に向けてのロック・レーベル、ROCKBELL recordsのスターティング・メンバーであるオトループとreading noteが12月4日にアルバムをリリース。そのレコ発イヴェントのトップバッターを、1月22日にアルバム・リリースを控える第2弾アーティストのユビキタスが務めた。
ライヴは自主リリースされたミニ・アルバムの1曲目を飾る「シンドローム」でスタート。ひとつひとつ的確にリズムを刻むニケ(Ba)とヒロキ(Dr)。その上に乗るヤスキ(Vo)の歌が優しく輝く。"ユビキタス始めます"と一言彼が告げると「セツナウト」。彼らの音楽は直球のギター・ロックだ。だがそのなかには広いバックグラウンドを感じさせるギミックがたくさん転がっている。いろんなジャンルの音楽を純粋に身体へ取り込んできたことがよくわかるサウンド・メイクだ。続いてニュー・アルバム『リアクタンスの法則』から「SNS」。ライヴならではのテンポ・アップで、3人の音もよりエモーショナルに響く。感情を込めた音を、フロアのひとりひとりの腕のなかへ投げ入れていく3人。ヤスキの弾き語りで始まる「再生」は、会話をするように言葉をぶつける。フロアがサビで左手を挙げる「足跡」、軽快なギター・カッティングがキュートな「ワンダーランド」と、よりフロアと繋がるために丁寧に歩み寄る。
"何年も音楽を続けててやっと全国流通ができる" "しんどいこともたくさんあって何回も(音楽を)やめようかと思った"と語るヤスキが"諦めんとやれば、俺は何でも叶うと思ってます"と続け「僕の証明」。ニケもヒロキもヤスキと同じ思いだったのだろう。互いの拳を突き合わせるように力強く、大切に音を鳴らす。ユビキタスの始まりでもあるこの曲は、この先も進化を続ける彼らにとって重要なアンセムとなるのではないだろうか。ラストの「ループ」まで強靭な思いを放ち続ける、堂々たるパフォーマンスだった。

2番手はオトループ。新作『オトノベル』の1曲目である「ヨワムシ OVER DRIVE」からうねるベースがグルーヴを牽引する。ファンク色の強いダンス・ナンバー「ムジカ」、ギターがロマンティックに響く「消印東京」と、色とりどりの音楽性はJ-POPとも親和性がある。ミディアム・テンポの「ライフノベル」、纐纈悠輔(Vo/Gt)の母親が他界する直前の闘病生活中に父親とやり取りしていた交換日記にまつわる壮大なバラード「交換日記」で深い空間を作ると、誰もが恋愛で経験しがちのもやもやをポップに消化した「Re」、疾走感のあるギター・ロック「青」で締めくくった。まさしく"オトノベル"と言うべきドラマ性は、3ピースの常識を覆すサウンド・アプローチ。フロアを微笑みの空間に変えた。

トリはreading note。冷ややかなギター・リフと湿度のある歌声、マイナー・コードが強かに響く。"自分らがいいと思うものを妥協せずに作った"と語る新作『7+3』中心のセットリストが、妖しげな空気と倦怠感を醸し、その空気は媚薬のようでもある。流麗なメロディが響く「たゆたう」は、曲の持つ核を繊細かつ確かに掬い上げる4人の音色が美しかった。上京後初ワンマンを行った渋谷eggmanでフリー・ライヴを行うことを告知するとラストは「name」。"生きることは苦しい"ともがきながらも"それでも生きていたい"と歌う――その切実な思いが、彼らの持つ強さと光だ。
最後に3バンドがステージに集合し、満員のフロアに感謝の弁を述べた。ROCKBELL recordsとバンドの結束がより強まった決起集会とも言える一夜。新たなスタートを切ったバンドとレーベルの信頼関係を感じさせる、あたたかいイヴェントだった。

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