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LIVE REPORT

Japanese

Helloes

2013.03.29 @渋谷CHELSEA HOTEL

Writer 沖 さやこ

昨年10月に1stフル・アルバム『Helloes』で全国デビュー。MINAMI WHEEL 2012にも出演を果たし、今年3月27日に1stシングル『ビデオテープ』をリリースした4人組バンド、Helloes。そのレコ発ツアーである“東京エスケープ”の初日が、この渋谷CHELSEA HOTELでのワンマン・ライヴだった。8日間で関西、四国、名古屋の計7ヶ所を回るツアーへ旅立つファンファーレとも言えるライヴ。そして『ビデオテープ』という作品でバンドの表現したいものを掴んだ彼らが外へと向かう、新たな第1歩でもある。

SEが流れると威勢よくメンバーがステージに飛び出した。1曲目はアルバムのリード曲にもなっていた「モラトリアム」。アポロン増田(Ba)と斎藤雄太(Dr)の跳ねるリズムと、廣田幹治(Gt)が奏でる瑞々しい音色のコントラストが心地よい。続いてもアルバムから「BIRTHDAY」。音源で聴いたときは内向的な印象を受けた楽曲だが、この日は音の隅々にまで歓喜の感情が行き渡っていた。とにかく今、音を鳴らしていることが楽しくて仕方がないと言わんばかりに4人の音のひとつひとつが頭を振り乱すように踊り狂う。その後も休む間もなく「UNLOCK」「SWIM」「SHOOTING STAR」を投下。増田と廣田の織り成すコーラス・ワークも米田圭一郎(Vo/Gt)のヴォーカルをそっと支えるように美しく響く。

米田のMCを挟み、シングルに収録されている「空想ゲーム」を披露。いつの間にか上裸になっていた斎藤は職人のようにリズムを作り出してゆく。廣田はステージをあちこち動き回り、トリッキーなフレーズをより躍動的にフロアへと植えつける。ドラム・カウントから「11」。クールに交錯するベースとギターの呼応に魅了されていると、その空気をそのまま「YOU」へ繋げる。パワーを緩めず突き進む楽器隊。米田の歌声が、音に負けじと喰らいつき絶唱する。廣田と増田がクラップをあおり「PARALLEL PORT」。4人の笑顔は止まらない。「サテライト」では丁寧に音を編み込んでゆく。ラストの展開までの高揚感が持ち味の楽曲だが、静と動を繋ぐなめらかさが加わるとよりスケールが増すのではないだろうか。とはいえ新生Helloesの挑戦がサウンドから漲るナンバー。この先の進化が楽しみである。続く「BLACK SEA」では叙情的な曲の空気に相応しく、心の中を掻き出すが如く痛烈に音を刻む。ミディアム・ナンバー「LIVE BY LIVE」では廣田のギターが描く、優しく微笑みながらもどことなく泣いているような切なさが生々しく、じっくりと聴き入る。

「エスケープ」、「I UNDERSTAND」と続け、「ビデオテープ」。この曲がこの日、1番圧倒的だった。楽曲そのものの持つ明確さだけではなく、この曲で新たな扉を開いたバンドの自信が強く漲っていたからだ。アンコール「声」まで持ち曲16曲全てを披露したライヴ。ステージでも“このライヴでバンドの全てを出し尽くす”と語っていた。だが“本当に出し切ったの?”というのが筆者の本音でもある。初めてレコーディングを行った1stアルバムからたった5ヶ月というインターバルで、バンドの思いや行く先をしっかりと示した4曲を作り上げたHelloesだ。バンドの気迫はまだまだこんなものではないと信じている。今後どうバンドが進化するのか、この先も見ていきたい。

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