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LIVE REPORT

Overseas

THE TEMPER TRAP

2009.08.09 @千葉マリンスタジアム&幕張メッセ

Writer 佐々木 健治

 今夏、デビュー・アルバムを前にして世界中から熱い視線を注がれる存在となった、オーストラリア出身のTHE TEMPER TRAP。その肝は、ダイナミックで叙情的なメロディと、攻撃的で分厚いビートが生み出すグルーヴ感。それはまさに、メンバー自身が影響を認める、初期U2を連想させる。つまり、THE TEMPER TRAPに対する期待というのは、細分化が進む中で、そのど真ん中を貫くような、王道ロックの新たな担い手としての期待だと言ってもいいだろう。

 だが、そのライヴは、もっと変態的なビート、激しいギター・サウンドが生み出す、カテゴライズを拒むようなもの。一曲目の「Rest」から、ひたすらシャウトするヴォーカルのDougy。「Sweet Disposition」のU2直系の美しいメロディも、ダイナミックにSONIC STAGEを駆け抜けていく。
彼らの強みは、そういう現代的とも言える変則でカテゴライズを拒むようなサウンドの上に、美しいメロディを載せることができることだ。それは、デビュー・アルバム『Condition』を聴いてもらえばよく分かる。ポスト・ロック的な構成と美しくスケールの大きなメロディが絡み合い、生み出されるグルーヴこそ、彼らの最大の武器なのだ。
そして、それは「Resurrection」のどんどん激しく、ダイナミックになっていく後半から「Dram Song」へなだれ込む、分厚いカオティックなグルーヴに最もよく現れていた。 あの眩くも、衝動性に満ちていた瞬間こそ、このバンドが持つポテンシャルそのものだと言ってもいい。

 先行シングルとして話題になった「Science Of Fear」の攻撃的なビートが高揚感を煽るラストまで、ダイナミックさを失うことなく駆け抜けたTHE TEMPER TRAP。本人達は、これだけ大きなフェスは初めてだったと後日のインタビューで語ってくれたが、そんな中でも新人離れしたスケール感をしっかりと叩きつけたライヴだった。

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