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INTERVIEW

Japanese

FINLANDS

FINLANDS

メンバー:塩入 冬湖(Vo/Gt) コシミズカヨ(Ba/Cho)

インタビュアー:沖 さやこ

BALLOND'ORとのスプリット・アルバムのリリースなど、精力的な活動を続ける神奈川県出身の女子2人組、FINLANDS。彼女たちが世評も高い前作『LOVE』から約1年ぶりの新作であり、フル・アルバムとしては2枚目となる『BI』を完成させた。"BI"="ふたつの"、という意味を持つ。この言葉がアルバム・タイトルになったのは、フロントマンでありソングライターである塩入冬湖が気づいた自分自身のとある性質がきっかけだった。『LOVE』をリリースしてから様々な変化があった彼女たちは、今どんなことを思い、自分たちの音楽と向き合っているのだろうか。

-前作『LOVE』(2017年)をリリースしてからの1年は、大型フェスや多数のサーキット・イベントなどに出演し、スプリットEP(2018年5月にリリースしたBALLOND'ORとのスプリットEP『NEW DUBBING』)をリリースなさったりと、有意義な期間だったのではないでしょうか?

塩入:今までの活動ではやったことがなかったことをたくさんできて、変化と経験がすごく多く、充実した1年でした。『LOVE』をリリースしてから手を貸してくれる人が増えて。周りの人と積極的に関わっていこうと思ってなかったんですけど、それを機にもっと周りの人に自分のことを話してみるのもいいのかもしれない、相手の意見や思っていることを知るのは面白いことだなと気づいたんですよね。FINLANDSも5年経って、やったことがないことをやって"これは自分には向かないな"と思ったら帰ってこれる場所が確立されてきた。だからこそ"好きか嫌いかを見定めるのは飛び込んでからでいい"という自信がついたんです。それもあっていろんな経験ができたんじゃないかなと思います。

コシミズ:『LOVE』は、FINLANDSを聴いてくれる人が増えたきっかけになって、呼んでいただくライヴや活動の場が広がったんです。それで私たちの視野もどんどん広がっていって、考え方も柔軟になったと思います。

-2018年3月に行われた5周年記念ワンマン・イベント"記録博"(3月26日、27日に下北沢BASEMENTBARにて開催した"記録博 FINLANDS 2days ONEMAN LIVE")は、バンド活動においてひとつの区切りになったようですが。

コシミズ:曲も増えてきたし、せっかく5年という期間一緒にやってきたので、お祭りみたいなイベントにしたいなと思って。

塩入:お祭りって感じだったかな?

コシミズ:過去の写真を飾ったりもしたし。

塩入:5年間の区切りというよりは5年間を放出したかった、という気持ちが強かったです。お祭り騒ぎがしたかったわけではなく、5年間の記録を提示したかった。観てくれている人、アートワークを作ってくれる人、写真を撮ってくれる人......一緒にFINLANDSを作ってくれた人の記憶や記録がすべて重なってできたのが今のFINLANDSだと思うんです。音楽を作っていると"表現は音楽だけじゃないな"と思う瞬間がすごくあるんですよね。自分たちから発信してきた音楽だけではないものを、FINLANDSを知ってくれている人たちにすべて提示したかったし、そうすることで私たちがFINLANDSというものを再度理解できるのかなと思いました。

-どんなことが理解できました?

塩入:5年間で6枚アルバムを作ってきて、曲がこんなにたくさんあるんだなと改めて思って。2日間で40曲弱くらい演奏したんですけど、私たちが積み重ねてきたことはきちんと曲として残っているなと感じたし、演奏している最中に飾ってある写真を眺めて、音楽だけでなく写真としても残っているんだなと思いました。きちんと5年間の記録を残せてこれたことが嬉しかった。来てくれるお客さんはFINLANDSの5年間のすべてを知ってくれているわけではないと思うんですけど、間違いなく私たちの記録の中にいてくれる人たちだから。そういう人たちと空間を作れたこともすごく嬉しく思いましたね。

-これまでFINLANDSのアートワークは引きで顔を隠した女性でしたが、新作『BI』は一新されています。これも変化の一環でしょうか?

塩入:この2本の発光体はアートワークを作ってくれている大川さん(大川直也)の手作りなんですよ。去年の年末あたりから大川さんとミーティングをしていたんですけど、どうやら大川さんが発光体を作ることに夢中な時期で(笑)。それを見て、小学生のときにお祭りの出店で光るブレスレットとかを見てわくわくした感覚が湧いてきたんです。今まではずっと、絶対にアートワークに意味をつけてきたんですけど、今回はとにかく小難しいことを考えずに、意味はないけれど"わっ、かっこいいな!"と思える写真にしたかったんですよね。

-"BI"はBisexualやBicycleにもある"ふたつの"という意味がある単語ですが、このテーマに至った経緯とはどういったものだったんですか?

塩入:このふたりでFINLANDSを始めてから、バンドをどうやって動かしていくか、どうやって音楽を作って、どうやって人に聴いてもらうか――そんなことを考えながら活動してきて。一瞬たりとも止まっていた時間はなくて、バンドマンとして、音楽家としてすごく充実した日々を送ってきていたんですけど......ふと"私は音楽を通さないと人と対等に喋ることができないんだろうな"と気づいて。それがずっと覚えていた違和感の正体だったんですよね。

-違和感?

塩入:音楽をやっていない友達と話したり、恋愛をしたりしているときに、劣等感......ではないんですけど、それに近いものを抱いていることに気づいて驚いたんです。音楽を作っているときの自分はすごく好きだけど、女性としての自分は誇れるところも好きなところもなくて。すごく屈託した考え方なんですけど(笑)、それが私の二面性なんだろうなと思った。このふたつがひとつになることは、今の私は全然見いだせてなくて。ひとつにならないふたつが存在しているということが、私の違和感だと思うんです。それが『BI』の始まりですね。最初にアルバムのできあがりが想像できていたので、曲を作るのにあまり時間がかかりませんでした。今までずっと"私対何か"という対峙を歌ってきていたことも、二面性と関係してくるのかなと思っています。