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INTERVIEW

Japanese

瀧川ありさ

2018年07月号掲載

瀧川ありさ

Interviewer:吉羽 さおり

-そして一転して冬の歌である「snow train」は、うまく相手に想いを言えないもどかしさが、美しく映像的な曲になっていて、とてもらしい曲だなと思いました。

嬉しいですね。これは最初にサビの言葉ができて。最終的に恋愛ソングに落ち着いたんですけど、サビの言葉だけだと、人生についても言えるというか。仕事でもなんでも、報われない、救われないことはあると思うんです。自分も恋愛ではないことで、悶々としていたことがあって。最初は人生の悲観的なところから出てきた言葉を、冬の恋愛ソングに着地させたんです。

-この曲のシチュエーションの駅やホーム、電車は、「東京」でも出てきますが、やはり物語が起こる、絵が動くような舞台になるイメージがあるんですか。

私、待合室が好きなんです(笑)。ホームのベンチもそうですけど、友達を待ったり、電車には乗らずにボケーっといたりするんですよ。待合室って、誰もいないとちょっと広い個室みたいになって、そこで音楽を聴くと密閉されて曲がよく聴こえたり、過ぎていく人々を見たりとか、意外といいところなんですよね。そこで、デート帰りのカップルとかも目に入ったりして。この曲の冒頭のシーンもそうですけど、女の子が"君"方面のベンチまでついていく時点で、負けてるんですよね(笑)。普通だったら、男子が、女の子が電車に乗るのを見届けるべきなのに、彼の方についていくっていうことで、女の子が追い掛けている側だっていうのを思いついたときに、これは報われない恋にしようと書いていった曲です。

-今回いろんな曲調の曲が収録されたと冒頭でありましたが、まさに「FRIENDS」がそうで。こういうファンキーな曲って今までなかったですよね。

これは、いい意味でこんなはずじゃなかった曲なんですよ(笑)。レコーディングの最後にコーラスを重ねていったら、だんだんと楽しくなってきちゃって。コーラスを重ねまくって、全然違う曲になりました。それがすごく、自分でもいいなと思ったんですよね。これがやりたかったんだなって。最初はもっとシンプルな曲だったんです。今時のちょっとしたバンドがやっているような感じになるかなと思っていたら、わりとド派手になりました(笑)。

-明るいイメージの心地いい曲なんですけど、瀧川さんのヴォーカルの成分なのか、ちょっと切なさが入ってきちゃうのも、キュンとする感じで。

新しいタイプの曲だったので、この曲が一番、歌は苦労しました。自分の中ではJUJUさんやMISIAさんとかR&Bの方に歌ってほしいなって作っちゃって。"あ、これ自分で歌うんだった"っていうか(笑)。でも、この機会なので挑戦しようと思って。自分で書いておいて、相当苦労しました。でも歌の幅を広げるのが楽しかったですね。

-そんなふうに、自分が歌わない想定で作っちゃう曲って結構あるんですか?

この1年間は、自分の型にハマらないようにしようといろんな曲を書いていたんです。それで、"もしこの人が歌うなら"とかもやっていて。そういう曲をスタッフもみんな気に入ってくれて、採用されちゃったんです(笑)。こういうソウルフルな曲は、ヴォーカリストとしても挑戦したかったので、楽しかったですね。逆に歌詞はフランクにしてます。今までもうちょっと重い感じだったんですけど、10代の子も楽チンに聴けるようにしようと思って(笑)。10代の子も共感できるような友情ソングにしたいなって思ってました。

-かわいらしい歌詞になってますね。

この曲も歌詞は何度か書き直していますね。もっと、自分の面倒臭さが出てた歌詞だったんですけど、自分がヴォーカルとしても違うところにいるんだったら、言葉も違うところにいようと思って。違う人になった気分というか。最終的には自分の本心が出てきたなと思うんですけどね。私、友達が少ないので、1個1個の友情が重いんですよ。幼馴染のふたりしか親友がいないので、その子たちに向けると、本当にもう君たちが笑ってくれればそれでいいよっていう感じになっちゃうんです(笑)。女の子はその重さを理解してくれるんじゃないかなって思うんですけどね。

-わかります(笑)。こういう歌詞も、1年間制作を重ねてきて書けたものですかね。

そうですね、気取らずに書ける曲があるといいなと思って。ツイートするくらいの気持ちで、フランクに肩の力を抜いて書ける曲が1曲あったらっていう。

-そして「only one」もツアーで先に披露していた曲ですね。

これは弾き語りで作っていて。そのときから、最終的な着地は今の形を思い描いていたんです。でもこの曲は、ツアーでは弾き語りでやっていました。エレキ・ギターで、コーラスをかけた音で、海の家っぽい感じで弾き語りしていたんですけど、今の形のものをラジオでかけたときに、こういうサマー・チューンになるのがみなさん意外だったみたいで。それが面白いなって思ったんです。ツアーで先に弾き語りでゴールを見せずに披露して、そのあとにゴールをリリースするという(笑)。それは初めての試みで、面白かったですね。

-これは最後のフレーズ"二度とないこの瞬間に/悲しい歌は必要ない 隣にいて"で、まっすぐな想いが響きます。

そうですね。でも、一緒にいるときから、これはゆくゆく切なくなるなっていう日があるじゃないですか。ネガティヴなわけじゃないんですけど、どんなに楽しい瞬間も、すぐに"もうすぐ家に帰るんだ"とか思ってしまって、楽しい瞬間を100パーセントで楽しめない自分がいて。でもそこを100パーセント楽しみたい、君と僕がいるこの瞬間を楽しめたら一番いいのにっていうところとか、その人が自分のことを一番わかってくれた嬉しい瞬間とか、でも捻くれてしまう自分とか、Aメロでの素直になれない自分とかもあるなと思っているんです。ある夏の1日に考えたことですね、これは。

-「FRIENDS」の話もそうですが、瀧川さん自身、広く浅くの人間関係よりは、人と人とでがっつり向き合う濃い関係性が多いですか?

そうなんです。自分が心を開くのもヘタっていうのもあるんですけど、ウマが会う人を見つけるのが大変というか。逆に合うなって気づいた瞬間、ガーって扉が開いちゃって(笑)。でもまた急ブレーキがかかったりとか、そこらへんがヘタなんですよね。そういう自分の人とのヘタな距離感も書けたらいいなと思いつつ。歌詞にある"only you! be with you"とか永遠という言葉も、斜に構えてはいるけど、やっぱりどこかで憧れていたり。そういう感じが出せたらいいなと思って。天邪鬼ソングになりましたね。