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INTERVIEW

Japanese

瀧川ありさ

2018年07月号掲載

瀧川ありさ

インタビュアー:吉羽 さおり

リリースとしては、シングル『ノーサイド/ONE FOR YOU』以来、約1年半ぶりとなるミニ・アルバム『東京』が完成した。今作は、東京をテーマとした瀧川ありさ初のコンセプト・アルバムであり、自らの生まれ育った"東京"を描きながら、試みのある、新たな瀧川ありさを見せてくれる作品となっている。バラエティに富んだ曲調はもちろん、ヴォーカルのタッチの変化もあり、またカメラで様々なシーンを切り取るような描写は、より内なる感情をダイレクトに示す表現にもなった。無二の美しい歌声を持ったシンガーから、シンガー・ソングライターとしての個性を発揮した作品。新たなフェーズへと突入している、彼女の現在について話を訊いた。

-今作は"東京"にちなんだコンセプト・ミニ・アルバムということですね。作り方として、何か今までと変わった面はありますか?

前回のリリース(2017年リリースの両A面シングル『ノーサイド/ONE FOR YOU』)からの1年間、ツアー(2017年4月~5月にかけて開催した[瀧川ありさ 1st recital live tour 2017 "Spring Journey"])を回りながら制作をしていたんですけど。1stアルバム『at film.』(2016年)をリリースして、そのあとにシングル『ノーサイド/ONE FOR YOU』を出したんですが、「ノーサイド」はユーミン(松任谷由実)さんのカバーだったので。ここからが本当の第2章という感じで、2ndアルバムに向かって制作をしていたんです。そのなかで、"自分らしいアイデンティティってなんだろう?"と他の方の作品と照らし合わせて考えたとき、東京で生まれ育ったことや、生まれ育った都会で音楽をやろうと思ったあたりが、他の方と違う感覚だなと。この、いい違和感はなんだろうって、昔からずっと思っていたんです。それで、もっと自分のアイデンティティが伝わる何かが、この"東京"というコンセプトだったらできるかもしれないと思って。

-いろんなミュージシャンが"東京"という曲や東京について歌っていますが、その街の捉え方が、自分とは違うんだな、違った風景に映っているんだな、と感じることが多かったのですか?

そうですね。東京にいても、私はあまり東京っぽく生きてないなと感じていて(笑)。東京を謳歌しているかって言われると、そういうタイプでもないし。逆に、上京している人の方が楽しんでいるなって思う瞬間もあるんです。そこに寂しさを感じるというか。自分が生まれた街なのに、自分の居場所がない感じがあって。もしかしたら東京で生まれ育った人で、同じような思いをしている人がいるかもしれないなって思ったんです。ただ、なかなかそういう人たち同士って巡り合わないんですよね。でも、こうしてアルバムにすることで、そういう人たちにも届いて、繋がることができるんじゃないかな、そういう人のためになれる曲ができるんじゃないかな、ということを考えました。

-上京をして音楽や仕事をしている人は、故郷を離れることですごくハングリーになれるところがあると思うんです。そのへんの感覚が違ったのですかね。

ガッツが違いますよね(笑)。"上京をする"というのが、ひとつあるので。

-と言っても、東京出身の人が決して甘えているというわけじゃないはずなんですけどね。

そうなんですよ。だから、自分でもどうにかしてそういう感じを作ろうと、ひとり暮らしをしてみても、すぐ実家に帰れるとか(笑)。そのやる気のないように見える感じも、東京生まれのミュージシャンあるあるだなと思いつつ。でも、言葉にはしない熱量はすごくあるなと思うので、そこが出せたらいいなと。

-最後にくる「東京」という曲にその想いは詰まっていますね。今回の作品は、どんな順番で書かれているんですか?

前回のツアーで未発表曲をやろうと、「night light」と「only one」はやってまして。「night light」をみなさんに先行して届けていたので、これを入り口にしていこうと思ってました。今回曲調が意外とバラバラなので、並びは悩んだんですけど、最後に「東京」がくるのは自分で決めていました。

-「night light」は、コンパクトな曲ですが、構成で心模様を聴かせる曲で。しかも、最後にそれまでなかった新しいメロディが出てきて、そこで想いも変化するのがとてもいいですね。

この1年間、アレンジャーとして重永(亮介)さんという方と初めて一緒に制作をしてきたんです。そういうなかで作っていた曲なので、新鮮な感じにもなったのかもしれないですね。その最後のメロディは、もともとはAメロだったのかな。Aメロが今のものに変わったときに、最初のメロディは思い入れがあったし、もったいないなと。それで、歌詞の切なさと合わさっていいかなと思って、最後に持ってきたりとか。そういういろんな遊びができたのは楽しかったですね。

-第2章が始まるということもあって、どんなイメージで書いていった曲だったんでしょう?

この曲は、年相応の曲を作りたいという気持ちがありました。"night light"という言葉は自分の中で先行してあったもので、ビル群が点滅している夜景の感じがあって。そこに曲をつけたようなイメージです。イメージが先行してあったので、作りやすかったのはありつつ、でも意外とこういうミディアム・バラードは今までなかったなと思って。今までよりもちょっと大人っぽいコード感にしようとか、重永さんとそういう具体的な話をしながら作った曲でしたね。