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INTERVIEW

Japanese

SPANGLE×黒猫チェルシー

2018年05月号掲載

SPANGLE×黒猫チェルシー

黒猫チェルシー

Official Site

銀杏BOYZの峯田和伸にも注目される横浜発の3ピース・バンド SPANGLEが、ヴォーカルの失踪と約1年の充電期間を経て、新作EP『VERY GIRL』をリリース。Hi-STANDARDやGOING STEADYなど、正統派ジャパニーズ・ロックの流れを汲んだ泥臭い音に乗せて、夢に向かう葛藤や恋の切なさをデカい声で歌う。そんなSPANGLEの新作リリースを記念して、今回はバンドと親交の深い黒猫チェルシーの渡辺大知を迎えた対談を行った。一時は解散の危機にあったSPANGLEが再び立ち上がるきっかけになったエピソードをはじめ、SPANGLEの裏も表も知る渡辺の視点で、SPANGLEの魅力を解明してもらいつつ、互いに考えるかっこいいロック・バンド像とはなんなのか、大いに語ってもらった。

SPANGLE:菱田 明裕(Ba/Vo)
黒猫チェルシー:渡辺 大知(Vo)
インタビュアー:秦 理絵 Photo by 石崎祥子

-SPANGLEと黒猫チェルシーの付き合いはどれぐらいなんですか?

渡辺:出会いは3年ぐらい前かな。

菱田:もっと前じゃない?

渡辺:たしか"モーターズ"(※渡辺が大学の卒業制作で手掛けた初監督映画)を撮ったころだったから、4年ぐらい前ですね。俺が23歳で。

菱田:俺が25ぐらいか。全然覚えてないなぁ(笑)。

-知り合ったきっかけはなんだったんですか?

菱田:共通の友達がいて、"一緒に酒を飲もう"みたいな感じだったんですけど。俺、絶対に感じ悪い奴だったんですよね。そのとき、大知は黒猫チェルシーでメジャー・デビューをしてて、俺もバンドをやってたから、"あ、そう......ふ~ん"みたいな。

渡辺:いや、感じは悪くなかったですけど(笑)。初対面なのにいきなり携帯で音源を聴かせてきたんですよ。何も言わずに、"これ、どう思う?"って。"え? これ誰の音源なんですか?"とか聞いたら、"そんなんいいから、この曲にコメントを言いなよ"みたいな。

菱田:あ、そうだ! やったね(笑)。

渡辺:それで俺、たしか......"すごくいい曲なのに、ガチャガチャしてる"とか"ベースが遅れをとってる感じがします"とか言ったら、"なるほどね。じゃあ、これは?"って、次の音源を聴かされるんだけど。本人の曲かもしれないから、あんまり下手なことも言えないし(笑)。怖ぇ~ってなりながらも、ちょっと楽しくて。でも、やたら汗をかくっていうか。なんか、ちょっと独特の出会い方をしたんですよね。

-それ、菱田さんは何がしたかったんですか(笑)?

菱田:そのときから黒猫(黒猫チェルシー)は有名だったけど、俺はライヴハウスで少しやってるぐらいで、初めて音源を録ったときだったから。"お前プロだろ? 感想を聞かせろよ"みたいな。

渡辺:完全に怖い先輩ですよね(笑)。

-そこにSPANGLEの曲もあったんですか?

渡辺:あったと思うけど、なんて言ったかは覚えてないなぁ。

菱田:なんか"キャッチーでいいっすね"って言ってくれたので。"あぁ、そう?"みたいに答えました。"悪い気しないね"って感じでしたね(笑)。

渡辺:で、それから結構頻繁に会って、僕、あそこはSPANGLEの町なんじゃないかって思ってる、(横浜の)中川っていうところがあるんですけど。そこにバイクで遊びに行くのが楽しかったんですよ。酒飲んで、次の日に帰るっていうのを繰り返してて。

-最初は怖い先輩だったのに?

渡辺:一緒にいて楽しかったんですよね。本当に音楽好きなんだなぁっていうのが嬉しかったんですよ。ちょっと界隈が違うっていうか。自分とは違うものが好きで音楽をやってるから、自分の知らない世界を教えてくれるのも楽しかったんです。

-逆に、菱田さんは、最初は"メジャー・バンドでしょ?"みたいな感じだったのに、打ち解けられたのはどうしてだったんですか?

菱田:大知は普通のロック好きのガキっつぅか、純粋を絵に描いたような感じだったんですよね。有名人なのにまったく気取らないんですよ。一緒に飲んでるからって、ずっと音楽の話をするわけでもなく、"昨日あのテレビ面白かったよ"みたいなくだらない話を延々とできたり。そういうテンションで話ができる奴ってあんまりいなかったので。

渡辺:話すどころか、行きつけのバーみたいなところがあって、5時間ぐらいずっとチンチロ(※サイコロを使って行うゲーム)をやってたこともあったよね(笑)。会話すらしてないっていう。

菱田:そうだね(笑)。

-音楽の話をするときは、どんな話をするんですか? ちょっと好きな界隈がズレてるっていうことですけど。

菱田:お互いの音楽は好きなんですけど、めちゃくちゃ好きな自分のゾーンみたいなものは違ってるんですよね。俺の中ではHi-STANDARDが超デカくて。もともとTHE CLASHが大好きだったり、うちのドラムの(中野)翔平はキャロルとアナーキーが好きだったりするんですよ。だから、"バンドは不良がやるもんだろ"みたいな感覚もあるし。ちょっとこう......悪い感じのロックとかパンクが好きで。海外だと、西海岸の音楽の影響がデカかったり。でも、なんだかんだ言って、キャッチーな音楽が好きだったりはするんですけど。

渡辺:僕らは日本の初期パンクですよね。THE STALINとか町田町蔵がやってたINUみたいな感じを、ちょっとキャッチーにするバンドをやろうと思って始めたんですけど。メンバーはハード・ロック畑にいたから、ハード・ロック下地のパンクっていう感じかな。あと、自分はフォークとかブルース系から好きになったのもあるんですけど。菱君にはFIDLARみたいなアメリカの西海岸系のバンドを結構教えてもらいましたね。車で移動するときには絶対にかけてました。"これ、めっちゃいいっすね"とか言いながら。

菱田:好きなのを流し合ったよね。ロケハンのときとか。

渡辺:そうそう。僕が"モーターズ"を撮るときのロケハンで、その当時、免許を持ってなかったから、ギターの前ちん(前田裕樹/SPANGLE)の車に乗せてもらったんですけど。

菱田:楽しかったよね。

渡辺:そういう遊び方って、大人になって知り合った人とはなかなかできないじゃないですか。さっき"出会って4年"って言いましたけど、SPANGLEはもっと昔から知ってるような、幼馴染みたいな感覚で話せる唯一の人たちなんです。

菱田:そうだね。