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INTERVIEW

Japanese

LiSA

2018年05月号掲載

LiSA

インタビュアー:沖 さやこ

2011年4月にソロ・デビューを果たしたLiSAが、初のベスト・アルバムを2作同時リリース。これまでに担当した12曲のアニメ・テーマ・ソングと2曲のゲーム主題歌はもちろん(※挿入歌は除く)、ライヴのキラー・チューン、そしてベスト盤のための新曲を収録という、現在のLiSAがLiSAの歴史を作品に落とし込んだ、まさにベストなアルバムと言っていいだろう。アニメに寄り添い、ライヴを主軸にした活動を続けてきたLiSAは、いまどんなヴィジョンを描いているのだろうか。

-このタイミングでのベスト・アルバム・リリースは、上京なさって10年経つことと関係していますか?

あっ、なるほど! 言われてみれば上京して10年ですね。でもタイミングにはまったく意味がなくて(笑)。"そろそろベスト・アルバムを出してもいいんじゃない?"という提案をいただいて......今ならば"LiSA BEST"という名前を付けて出せる曲たちが揃ったので、出してもいいかもと思ったんですよね。

-LiSAさんが"ベスト・アルバム"に抱く印象とは?

解散や活動休止、レーベル移籍のタイミングで出されるものが多いですよね。だからこそ作品としての意味を持ったベスト・アルバムを作りたいなと思ったんです。これまでLiSAが重ねてきたLiSAの軌跡ってなんだろう、柱とはなんだろう......と考えると、大きな柱は"アニメ"で、積み重ねてきたものは"ライヴ"だと思うんですよね。リード曲として世に出た曲たちはエースとしての責任があるので育っていったけれど、そうじゃない楽曲たちはみんなと一緒に育ててきた。そのふたつを一緒に並べて、第1弾"LiSA BEST"という名前を付けて出したいなと思ったんですよね。

-そうですね。"Day"(『LiSA BEST -Day-』)と"Way"(『LiSA BEST -Way-』)の楽曲の分け方、曲順、新曲、再録など、隅々まで作り込まれているベスト・アルバムだと思います。

リリース順に並べるだけじゃ面白くないですよね(笑)! "CD全部持ってるし!"と思う人もきっといるだろうから、ちゃんと私の想いが込められたものであることが伝わる表現にしたいなと思って。"手に取った人がわくわくする"というのは"LiSA"という名前を付けて世に出すものの条件だと思うんです。曲順も収録曲もめちゃくちゃ悩んだし......。一緒に思い出を重ねてきた人たちとの宝箱のようなアルバムになるといいなと思って。LiSA初のノンタイアップ・シングル曲である"best day, best way"というタイトルからベスト・アルバムを"Day"と"Way"という2枚に分けて、私のアルバムは必ず"L"で始まるので、今回は最上級の"L"である"LiSA"と付けて(笑)。

-毎度毎度、すべてはこのためにあったんじゃないか......と思うほどのお見事な伏線回収です(笑)。では新しい人の入り口になるようにというよりは、ファンのみなさんに向けて作られたベスト・アルバムということですか。

ベスト・アルバムという仕様はシングル曲やタイアップ曲がたくさん収録されるものだから、これからLiSAを聴く人でも楽しめる要素はもともとたくさんあると思うんです。だから、今まで一緒に私と生きてくれた人たちがどういう想いで手に取るのか......その方が大事だったんですよね。今まで一緒に歩いてくれた人たちが誰かにLiSAをおすすめするときに"これ!"と出せるベスト・アルバムにしたかった。ライヴ映像もついて、アニメの歌もいっぱい入っていて、ライヴの主力となる楽曲も入っていて。"これ聴いてライヴに行けば大丈夫!"みたいな(笑)。

-"Day"と"Way"の2デイズ・ワンマンを観ているような感覚になるベスト・アルバムでした。LiSAさんがベスト・アルバムをリリースするというのは意味があることだと思います。いつの時代もこれまでの歩みを大事にしていて、過去のご自分にもリスペクトを持っている印象があるので。

もともとそうというよりは、そう思えるようになってきた、という感じだと思います。昔は女がロックを歌うことでナメられることもあったから"なんで女なんだろう?"と思ってたけど......そういうことも含めて"辿り着いた今"なんだなと思うと、大事な過去。そう思えるようになってきました。昔の私は自信がないくせに自信があるフリができたけど、今の私はいろんなことを前向きに"今日もいい日だっ!"と言える努力ができるようになった。探せるようになった。自分の状況が変わると、見つけ方も変わるなって。

-そうですね。子供のときは肯定的に捉えられないことも、大人になると経験や発想の転換によってそう受け取れるようになったり。

昔の私は希望を探すように、無理矢理にでも"今日もいい日だっ!"を探さなくちゃ! じゃないと今日がかわいそうだ、と思っていた。卑屈でしたね(笑)。でも今は"楽しいことがいっぱいあるな。幸せいっぱいあるな。その中でもこれが特に幸せだな"みたいに、思考がプラスになってきました。だから"今日もいい日だっ!"を貫いてきて良かったなと思います。

-「WiLL~無色透明~」は1stミニ・アルバム(2011年リリースの『Letters to U』)に収録されている「無色透明」の続編でもあるのでしょうか。

わたしは家出して上京したので、リュック1個に必要なものだけを詰めて名古屋から新幹線に乗って出てきたんですよね。「無色透明」は"東京に何かあるといいな......。東京に行くことでどうにか状況が変わるといいな......"という不安や期待を詰め込んで上京したときの心情を描いていて。"無色透明"だった私の現在という意味で、白盤"Day"(※"Day"のジャケットの背景は白)に"色がついた私"である「WiLL~無色透明~」を収録しています。この色はみんながつけてくれた色。誰かが暗闇で見つけてくれた、LiSAという人の"WiLL"なのかなと思います。

-この曲はSPEEDのプロデューサーである伊秩弘将さんが作曲を担当しています。LiSAさんはSPEEDに憧れて音楽を始めたんですよね。

ベスト・アルバムを作るなら、CDいっぱいに曲を入れたいと思ったんですよね。今回はそのマックスが14曲で、その中に新曲が入れられるぞ、という話になって。せっかくベスト・アルバムに新曲を入れるなら、きちんと思い出が詰まっているものにしたいと思ったんです。SPEEDさんの歌を歌って"歌うのって楽しいんだな"と初めて思って、人前で歌いたいと思った。東京に出てくるもっと前の私に伊秩さんが夢をくれて、その夢を持って歌手として歌っている――ベスト・アルバムを出すタイミングで伊秩さんにオファーをするならば、現在の歌を歌いたいと思ったんですよね。

-制作はどのように進みましたか?

伊秩さんは私の生い立ちやスタンス、心持ちや不安とか、本当に親身になって話を聞いてくださって、ライヴにも何度も何度も遊びに来てくださって。"LiSAにはこういう曲が必要だと思うよ"と言って3曲くらい書いてくださったんです。"SPEEDにはこんなふうに寄り添って楽曲を作ってくれるプロデューサーがいたんだ。SPEEDに夢中になる子供たちがたくさんいたのは、この人がいたからだ"と思いましたね。