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INTERVIEW

Japanese

アーバンギャルド

2018年04月号掲載

アーバンギャルド

アーバンギャルド

Official Site

メンバー:浜崎 容子(Vo) 松永 天馬(Vo)

インタビュアー:荒金 良介

今年、CDデビュー10周年を迎えるアーバンギャルド。その大きな節目に2年4ヶ月ぶりとなる8thアルバム『少女フィクション』が完成! 今作はループする歌詞フレーズも多く、カラフルなキラキラ感をよりいっそう高めたポップな作風に仕上がっている。楽曲のほぼ大半を現メンバー4人でアレンジから音色まで煮詰め、確固たるサウンド像を掲げて挑んだアルバムは、これまでになく外に開かれたキャッチーな楽曲が勢揃い。ここに辿り着くまでの10年の軌跡を振り返ってもらいながら、音楽と真正面から向き合った今作について話を訊いた。

-今年でCDデビュー10周年を迎えますが、この10年を振り返っていかがですか?

浜崎:ひと言で言えば疲れた。

松永:冒頭から(笑)。

浜崎:よくあっという間と言いますけど、そんなことはなくて。いちヴォーカリスト、いちバンドとしてもいろいろ勉強させてもらいました。10年は長かったですね(笑)。

松永:世の流行り廃りのなかで消えてしまいそうなバンドがよく続けてこれたなと。10年前は配信サイト・ブームがあって、MySpace、ネクストミュージックとか、そこでうちはグランプリ(※"NEXT MUSIC AWARDS"2008年度グランプリ)を獲ったんですけど。ちょうどネット発のバンドが出てきたころで......。

-あぁ、神聖かまってちゃんとか?

松永:そうですね。インターネットの口コミで広がるバンドが増えてきて、アーバンギャルドはまさしくネットで話題になったバンドですからね。その現象をいかに肉体に置き換えるかに試行錯誤した10年でした。アーバンギャルドのリスナーは家からなかなか出ない、学校に行かない、会社に行かない、ライヴハウスなんて行ったことがないという人が多くて。そういう人たちから、アーバン(アーバンギャルド)をきっかけに家から出られるようになった、ツアーに行くためにひとり旅できるようになりました、という手紙を貰うんですよ。そこは僕らの音楽も同じで、ネット上の幽霊みたいなものがライヴ・バンドに変わった10年でしたね。

浜崎:ライヴハウスどころか、リハスタにも入ったことがなかったから。普通のロック・バンドとはスタートが違ったので。10年経って、これがアーバンギャルドのライヴというものが確立されたと思います。昔は音源をライヴで表現したいと思ったけど、今は音源は音源、ライヴはライヴの良さがあって、ふたつの良さを見つけてラッキー! みたいな気持ちですね。

-その考えは完全にバンドマンですよ。普通のロック・バンドでもガチッと固まるまでに10年はかかりますからね。

浜崎:そうですよね。天馬がよく言ってるんですけど、アーバンギャルドという女の子が産まれて、もう10歳になって、自我も芽生えて意見も言えるようになったのかなと。音楽的にも自立して、自分の考えで選べるようになりました。

松永:アーバンギャルドは僕がリーダーですけど、メンバーのものでもあるし、リスナーのものでもある。作品自体も音楽を飛び越えて他の文化にも波及しているので、もはや自分のものじゃないというか。アーバンギャルドという別の人格があって、そのアーバンギャルドがいろいろ重要なことを決めてる感覚はありますね。

-もはや"YAZAWA"の境地ですね。

松永:そうそう!

浜崎:それはありますね。私はいいけど、"HAMASAKI"はどうかなって。

-ははははは(笑)。

松永:ここ数年で僕と浜崎とおおくぼけい(Key)がそれぞれソロ・アルバム(松永天馬『松永天馬』/浜崎容子『フィルムノワール』『Blue Forest』/おおくぼけい『20世紀のように』)を出して、バンドとメンバー個々の違いが浮き彫りになったんですよ。

浜崎:変に意固地になっていた部分があったのかなと。私はこうしたいみたいなエゴがソロをやらせてもらうことで、いい意味で削ぎ落とされました。これをやりたいと思っても、ソロでやればいいかって、柔軟に考えられるようになったんですよ。

-ソロをやることできっちり棲み分けができるようになった?

浜崎:うん、それでバンド像がより強固になりましたね。

松永:アーバンギャルドは変なバンドなんですよね。通行人に声を掛けられることなんてあまりないのに、六本木でフランス人から突然"「Japan Expo」で観ました!"と英語で言われたりとか(笑)。海外の有名な映画雑誌に取り上げてもらったり、NHK Eテレの"Let's天才てれびくん"に2年間出て、彼女も声優として出演して、挿入歌(「キスミーきれいみー」)を作らせていただいて。子供向けなのか、大人向けなのか、日本人向けか海外向けか、メジャーかマイナーか、よくわからなくて(笑)。自分たちで作っているのに、数奇な運命をたどっているなと。売れ線的な動き方をしたわけじゃないのに、いろんなところに広がってるなと思いました。

浜崎:フレンチ・ポップスとかヨーロッパの文化も取り入れているけど、それはもしかしたら外国人の方からすると、日本人っぽく感じるのかなと。アーバンギャルドはわかりやすく日本なんだなって。

松永:日本人が考えるクール・ジャパンって、きれいにマスキングされているけど、日本人の文化は変態という言い方をするわけですよ。ローマ字でHENTAIと書いて、"HENTAI=クール"みたいな。クール・ジャパン=HENTAI JAPANの文脈でいけばアーバンギャルドはジャストかもしれない。テクノ・ポップにニュー・ウェーヴ、メタル、現代音楽の要素もあるから、特殊な音楽に映るのかなって。