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INTERVIEW

Japanese

バンドごっこ

2018年04月号掲載

バンドごっこ

Member:ヒロ(Vo/Gt) 半妖ゲッチ(Ba/Vo) アッキー(Dr)

Interviewer:服田 昌子

-それが3月28日リリースのミニ・アルバム『終わりの始まり』ですね。

ヒロ:今回は制作方法を結構変えました。前作までは"こんなフレーズあんねんけど?"って、スタジオでギターを弾いて、みんなで"じゃあ、やってみよう"って感じで作ってったんです。すごくアナログな感じで、頭から順に作っていくみたいな。

ゲッチ:ノリやな(笑)。

ヒロ:そこでの指揮は僕が執るんですけど、個々のフレーズはみんなが考える。そうしたときに、メロディは一応僕の頭にあるんですけど、基本的にあとづけになるんで、しっくりこなくてボツになるパターンが結構多くて。でも、メロディが良くないと曲が生きてこないし、ボツになって時間がかかりすぎるからって、今回打ち込みとかで作るようになったんです。基盤ができあがった状態でみんなのところに持っていくという。

ゲッチ:前より全然、作りやすくなりました。というのも(ヒロは)語彙力がないところがあるんで、どうしてほしいのかが口頭だけじゃわかんないんですよ(笑)。例えば弾いてみて、"こうかな?"ってヒロに聞いたら、"ちゃうねん"って言われて、"じゃあ、こうかな?"って聞いたら、"それもちゃう。なんかええ感じのやつ"って(笑)。

アッキー:そうなんすよ。前は"どんなフレーズにしてほしい?"って聞いても、ヒロは"なんかドッシャーンみたいな"ってしか言わない(笑)。でも今回は、それをちゃんと聞かしてくれるから"あ、彼の頭の中のドッシャーンはこうなってんねや"って格段にわかりやすくなりましたね。

ゲッチ:それだけに曲のクオリティもしっかり上がったと思います。前は個々に違ったイメージでそこに向かって作ってたから......いい意味では個性がすごく出てたんですけど、でも今回は、個性を出しつつも、それだけじゃなくって、まとまりがある。

ヒロ:でもそれがいいのか、今悩んでるんです。そのバラバラやったのが味やったんかな? って。だから、作曲でもう2行程ぐらいが見えてるんです。そうしたらもっと良くなるのかなっていう......まぁ、それは次回に。

-すごくいろいろなことが見えているが故に、伝え切れないのかもしれないですね。

アッキー:今日からステージ・ネーム、コスモにしたら? 頭の中、小宇宙(笑)。

ゲッチ:コスモ・ヒロやな(笑)。小宇宙・ヒロ。

ヒロ:ほかの作曲してる人はどうかわからないですけど、僕の場合はメロディがあるフレーズやったら、メロディとベースとドラムと全部一緒に出てくるので、それを口頭で伝えるのが難しいんです。例えばサビが浮かんだと思ったら、もうそのあとの間奏まで全部、楽器つきでバーンとくるんで......。

-なるほど。では今後もいろいろなやり方で作ることになるのかも。

アッキー:そうですね。たまにはセッションして作ってみようって。

ヒロ:それ(セッション)が結構楽しいんですよね(笑)。

アッキー:でもそればっかりだと煮詰まって、良くないところを全員が探し出すっていう(笑)。

ヒロ:個人的には、曲を作るときは完成までのスピード感が結構大事で、あまりに長すぎるといろんな要素が頭の中に出てきて、どれが正解かわからなくなっちゃうんです。それなら、わかるまでやったらいいやん! って話なんですけどね(笑)。

-直感や衝動が大切なのかもしれないですね。それらがあるからなのか、『終わりの始まり』には揺さぶる力がありますよね。詞も後ろ向きなのかと思いきや、チラッと前を向くような部分も......。

ヒロ:まぁ、バンド全体で言うと、マイナス思考。でも、めっちゃ前向きな"頑張ろうぜ"みたいなのを書かれても、俺は歌いたくないです(笑)。

ゲッチ:あんまり好きじゃない(笑)。

アッキー:僕ら自身がそういう曲を演奏しているのを想像できないんです(笑)。たぶん"うまく笑えないけど、それでも生きていこうぜ!"みたいな方がしっくりくる。

ゲッチ:"悩んでるかもしれんけど、まぁ、どうしようもないやん!"って(笑)。人間、上を向く思考というのはあると思うんですよね。立ち止まることもあるかもしれんけど、なんとかして前に行こうとする。それがあると思うから、最後に若干励ますくらいで僕らはいこうと。下しか向いてなかったら、もう悩まないと思う。理想があるから悩む。その理想があるんやったら頑張るしかない。ただ"頑張ろうぜ"じゃなく"そうじゃない?"っていう感じです。松岡修造的な火のような熱さじゃなく、終わりかけのカイロぐらいの温もりを......(笑)。

-さすが人生経験豊かなゲッチさん。

ゲッチ:いろいろあったんで(笑)!

アッキー:詳しくは過去のSkream!インタビュー(※2016年7月号掲載)をご覧ください(笑)。

-そんなゲッチさんの詞は、中年にはニヤリとできる部分もありつつですが、若い層にはグサグサ刺さるでしょうね。

アッキー:それはいいんじゃないですかね。結局歌詞は刺さるか刺さらないかやと思うから。曲もだけど。

ゲッチ:その子たちが何年後かに聴いたら、たぶん聴こえ方も変わってくると思うんですよね。